ひそかなブーム! 新定番ご当地調味料「○○スコ」を全味見してみた

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ご当地調味料「○○スコ」、知っていても使ったことがない人が多いのでは? 片手でちょいがけできる便利さと、ひとかけで酸っぱ辛くなる刺激的な旨味が魅力の新アイテム。ご当地ならではの原料を使用するものが多いので、お土産需要がありますが、それだけでなく、毎日の食卓を刺激的に変える新定番調味料として、こだわりのスーパーなどでの扱いも増えてきています。

 

現在、少なくとも全国13社19商品が流通するとみられる新定番ご当地調味料「○○スコ」の世界。すべて味見し、その特長を紹介するとともに、下記のメニューからベストマッチな料理を調査しました。

【知られざる「スコ」の意味】

「○○スコ」ブームの火付け役となったのは、2008年に発売された「YUZUSCO」(ゆずすこ)です。そもそも九州は伝統的にゆず皮とこしょう(九州で唐辛子のこと)を塩と合わせすり潰し熟成させた調味料「ゆずこしょう」を使う地域で、福岡の高橋商店もゆずこしょうを製造していました。しかし、「世界中の人にもっと知ってもらいたい」と同社が2年近い年月をかけ完成させたのが、液体ゆずこしょう「ゆずすこ」でした。

酢をプラスし粘度を弱め、片手で好みの分量を簡単に振り入れることができるようになったことで、今まで小瓶の中から細身の匙(さじ)を使って、ほんの少量を取り出していた不便さが一挙に解消。原料の酢は、約100種類の中から2つの酢を選りすぐりブレンドした、こだわりの味です。

そこで付けられた「ゆずすこ」という名。ゆず皮+酢+こしょう(唐辛子)=「ゆずすこ」という意味でした。

タバスコのスコじゃ、ないんです!

ところで世界180カ国で愛用されている米国・マキルヘニー社の「タバスコ」は、メキシコ先住民の言葉で「土が湿る場所」、または「サンゴまたはカキ殻の場所」の意で、メキシコ・タバスコ州原産の唐辛子「タバスコペッパー」の品種名に由来します。米国では「スコ」だけの意味は存在しません。

福岡への出張者が「ゆずすこ」の美味しさに驚き各地に持ち帰ったり、有名ブロガーのSNSで紹介されたりして、その味がクチコミで広がり現在のブームにつながりました。この「ゆずすこ」の成功を見て、ゆずだけでなく、かぼすやすだちなど香酸柑橘類の産地である西日本を中心に、ご当地産物を前面に押し出した「○○スコ」がこの10年で次々と誕生。なかには「酢+こしょう(唐辛子)」の「スコ」セオリーが通じない新ジャンル「スコ」商品も登場してきており、層の厚い「○○スコ」の世界が構築され始めています。

■ 【1.元祖系 香酸柑橘類スコ10種】

辛さとともに爽やかな香りとほどよい酸味が食欲を刺激する香酸柑橘類「スコ」。基本的にはゆずこしょうと同じ使い方ができます。

●〔福岡〕ゆずすこ 500円/高橋商店

【原材料】醸造酢、青唐辛子、ゆず皮、食塩 【特徴】ゆずの香り、辛味、酸っぱさのバランスが絶妙/深い緑色/無添加

合う料理:唐揚げ、焼き魚、鍋、味噌汁、ピザなど 【ポイント】元祖「○○スコ」。開発した高橋商店は福岡では、魚介や野菜を粕漬した名産「有明漬」で知られた老舗。使い勝手のよさ、無添加の原料、味のバランスなど、元祖であり老舗である王者の風格です。

●〔福岡〕ゆずスコレッド 500円/高橋商店

【原材料】醸造酢、赤唐辛子、ゆず皮、ゆず果汁、食塩 【特徴】爽やかな香りながら、刺激的な辛味とフルーティな後味/赤色/無添加 【合う料理】唐揚げ、焼き魚、鍋、味噌汁(白味噌)、ピザなど 【ポイント】元祖「ゆずすこ」誕生から1年、「もっと辛く!」の声に応えた、視覚的にもビビットな同メーカーの商品。赤唐辛子の辛味が生きていますが、果汁を加えたことでフルーティさも感じる激辛品。

●〔広島〕レモスコ 800円/ヤマトフーズ

【原材料】レモン果汁、青唐辛子、醸造酢、食塩、レモン皮 【特徴】レモンの爽やかな香りと飛び抜けた酸味、ほどよい辛味/茶っぽい緑色/無添加 【合う料理】揚げ物全般、醤油や塩ベースの鍋など。生の魚介や生牡蠣にも。【ポイント】広島レモンの発祥地・生口島(いくちじま)産レモンの果汁と皮、上蒲刈島の海人の藻塩使用。レモン栽培も手がける広島の食品メーカーのご当地愛を感じる商品。「レモスコ味イカ天」など関連商品を多数展開しています。

●〔広島〕レモスコレッド 800円/ヤマトフーズ

【原材料】レモン果汁、赤唐辛子、醸造酢、食塩、レモン皮 【特徴】レモンの爽やかな香りと飛び抜けた酸味、パンチある辛味/赤/無添加 【合う料理】揚げ物全般、醤油や塩ベースの鍋など。生の魚介や生牡蠣にも。【ポイント】「レモスコ」同様に丸ごと使えるレモンの魅力をフルに生かした新ご当地調味料の、さらに辛さを高めたレッド。奥出雲産のハバネロが風味高く一瞬甘さを感じますが、じつは激辛です。

●〔徳島〕鬼スコ(青)500円/おいし工房

【原材料】青唐辛子、すだち(果汁・皮)、ゆず果汁、リンゴ酢、食塩 【特徴】すだちの皮のつぶつぶ感を残し、香りと旨味が鮮烈/緑色/無添加 【合う料理】揚げ物全般、焼き鳥、焼き魚など。鍋ものやうどんにも。【ポイント】徳島産のすだちと、美馬地方特有の唐辛子で“辛さはハバネロ級、糖度はメロン級”と言われる「みまから」を使用した、「おいし工房」の看板商品「鬼うますだち胡椒」のスコバージョン。

●〔徳島〕鬼スコ(赤)500円/おいし工房

【原材料】すだち果汁、青唐辛子、赤唐辛子、リンゴ酢、食塩、柑橘果皮、ゲル化剤(増粘多糖類) 【特徴】すだちの皮のつぶつぶ感を残し、鮮烈な香りと旨味に辛味をプラス/赤色 【合う料理】揚げ物全般、焼き鳥、焼き魚など。鍋ものやうどんにも。【ポイント】香りと旨味を残しながら、さらに辛いもの好きの声に応えた、鬼スコの赤唐辛子バージョン。

●〔沖縄〕島スコ 唐辛子 600円/比嘉製茶

【原材料】シィクヮシャー(シークワーサー)果汁、酢、唐辛子、沖縄塩、ヒハツモドキ 【特徴】沖縄シークワーサーの爽やかさと、コショウ科の植物ヒハツモドキの実「ピパーツ」の風味が個性的な島の激辛スコ/赤色/無添加 【合う料理】揚げ物全般、焼き鳥、焼き魚など。沖縄そばにも。【ポイント】茶葉だけでなく、コーレグースなど沖縄式スパイスを扱っている比嘉製茶が開発した、島の新しい調味料。シナモンのような香りで、ピリッとするエキゾチックな「ピパーツ」の風味が活きてます。

●〔沖縄〕島スコ ピパーツ 600円/比嘉製茶

【原材料】シィクヮシャー(シークワーサー)果汁、酢、沖縄塩、ヒハツモドキ 【特徴】島こしょう「ピパーツ」の個性が際立つ沖縄シークワーサーの果汁調味料/薄黄/無添加【合う料理】だんぜん沖縄そば。特に八重山そば。その他、レモンの代わりに揚げものなどにも。【ポイント】唐辛子は入っていません。エキゾチックな香りでピリッとする風味の「ピパーツ」と、シークワーサーの酸味を味わう沖縄らしいスコ商品。

●〔大分〕かぼすこ 600円/こうこう屋

【原材料】醸造酢、唐辛子、かぼす果汁、かぼす皮、食塩 【特徴】かぼすの爽やかさと苦味が活きた、酸味も辛味もマイルドスコ/薄緑/無添加 【合う料理】揚げ物のほか、特筆すべきマッチングを見せたのは、焼き魚と味噌汁 【ポイント】日本一の生産量を誇る大分県産のかぼすをはじめ県内産食材のみ使用した、ご当地度ナンバーワン商品。かぼす自体の穏やかな風味は、和食にマッチします。

●〔和歌山〕じゃばすこ 600円/熊野鼓動

【原材料】じゃばら(和歌山県産)、砂糖(てんさい)、米酢、食塩、昆布、唐辛子 【特徴】涼やかな「じゃばら」の酸味に甘みプラスした穏やかな辛味/赤/無添加 【合う料理】フルーティーな味わいがあらゆる料理にフィット。意外にもカレーにもマッチ 【ポイント】「邪気をはらう」という意味の「じゃばら」は、和歌山県北山村原産の珍しい果実で、地元では正月の縁起物。独特なスパイシーな香りがあります。パッケージに描かれたカラスは、熊野本宮大社の神様に仕える八咫烏(やたがらす)とご当地アピールが高め。

■ 【2.風味系 薬味スコ4種】

香酸柑橘類以外の薬味を酸味と絡みの「スコ」にした、ちょっと変化球な刺激。個性的な分、使い方は簡単。「ごまスコ」ならごま味、「しょうがすこ」ならしょうが味の料理にオンするだけ。スコウメ以外はご当地色、薄めです。

●〔京都〕ごまスコ 470円/山田製油

【原材料】米酢、胡麻油、唐辛子、塩、胡椒、ねぎ、生姜、山椒、桂皮、陳皮 【特徴】濃度のある液体は、それだけでもう担々麺の奥深い風味の辛味/朱色 【合う料理】担々麺、棒々鶏、ラーメンにベストマッチ。

【ポイント】ごま油専門店がつくる濃厚スコ。ごま+酢+胡椒=ごまスコ

●〔福岡〕しょうがすこ 500円/高橋商店

【原材料】しょうが、酢、こしょう(唐辛子) 【特徴】辛みのまろやかな九州産しょうがと、酢、こしょう(唐辛子)の新ハーモニー/黄茶 【合う料理】豚のしょうが焼きはもちろん、しょうがの薬味として何にでも 【ポイント】元祖「ゆずすこ」のメーカーが、「ゆずすこレッド」に続き開発した「しょうがすこ」。実食し、食材とのマッチ能力が一番高いスコ調味料と判明。スコ界の真の王者かもしれません。

●〔和歌山〕スコウメ 500円/岩本食品

【原材料】梅、醸造酢(りんごを含む)、唐辛子、食塩、梅果汁、還元水あめ、柚子表皮、甘味料(スクラロース) 【特徴】ピリッと辛くて梅ならではの酸味でフルーティ/オレンジ色 【合う料理】通常のタバスコ同様に使用。特に和風ピザや和風スパ、冷しゃぶなどが梅の風味を活かせます。 【ポイント】和歌山の梅農家が営むカフェで評判だった「タバスコに梅を加えた調味料」を発展させ、オリジナル商品を開発。

●〔長崎〕バジスコ 500円/喜代屋

【原材料】リンゴ酢、醸造酢、バジル、青唐辛子、食塩、香辛料、唐辛子エキス、酵母エキス(銅含有)、PH調整剤、増粘多糖類 【特徴】バジルの爽やかな香りと黒胡椒や青唐辛子のスパイシーな辛さ/緑色 【合う料理】イタリア料理を中心にした洋食と、魚介類 【ポイント】両手いっぱいの国産フレッシュバジルをひと瓶に使うイタリア系スコは、なんと長崎・島原の味噌・醤油醸造業の喜代屋のこだわりの作。

■ 【3.味付け系 調味料スコ5種】

刺激的な「スコ」の世界の新たなる形は、風味づけとしての「○○スコ」から、味の主役の調味料スコへの展開。味噌・醤油の醸造メーカーが手がける伝統的調味料がベースであることが多く、新しい伝統の味が誕生しています。

使い方は、ソースコならソースにオンが基本ですが、激辛なので、くれぐれもかけすぎ注意です。

●〔福岡〕ソースコ 500円/キヨトク

【原材料】醸造酢、砂糖、野菜、果実(たまねぎ、しょうが、トマト、その他)、食塩、香辛料、しょうゆ、魚醤、酵母エキス、こんぶ、カラメル色素(原材料の一部に大豆、小麦、りんごを含む)【ポイント】超激辛のウスターソース

●〔東京〕しょうゆスコ 450円/岡直三郎商店

【原材料】バルサミコ酢、ワイン、醸造酢、薄口しょうゆ(大豆・小麦を含む)、ハラペーニョ酢漬、ヤラピーノ、はちみつ、ガーリック、ホワイトペッパー/増粘剤(キサンタンガム、グアーガム)、香料、調味料(アミノ酸)、酸味料 【ポイント】想像する「しょうゆスコ」ではない、不思議で複雑な味わい

●〔新潟〕醸すこ(一年熟成醤油×ゆず×ハバネロ)430円/小林醤油

【原材料】醸造酢、しょうゆ(大豆、小麦、食塩)、ゆず(果汁、皮)、食塩、ハバネロ、食塩、酒精、酸味料 【ポイント】一年熟成させたしょうゆが「醸す」から、「醸すこ」

●〔新潟〕醸すこ(十年熟成味噌×ハバネロ)430円/小林醤油

【原材料】米みそたまり(大豆、米、食塩)、米みそ(大豆、米、食塩)、ハバネロ、食塩、酒精 【ポイント】十年熟成味噌が「醸す」、たまり醤油と味噌の「醸すこ」

●〔愛知〕ミソスコ 500円/佐藤醸造

【原材料】醸造酢、コチジャン、味噌、キムチ調味料(野菜、魚介発酵液、その他)、ぶどう糖、砂糖、魚醤、豆板醤、醤油、還元水飴、ハバネロ、ソルビット、酒精、着色料(カラメル、紅麹)、調味料(アミノ酸等)、酸味料、ビタミンB1、香辛料抽出液、(原材料の一部に小麦、いか、かに、りんご、大豆を含む) 【ポイント】豆味噌文化の愛知県民の食文化に寄り添った味わい

■ 【これからの調味料○○スコ】

さらに、「鬼スコ」の「おいし工房」が提案する方法で、焼酎に数滴混ぜるという使い方がオススメ。香酸柑橘類スコ全般に利用できる目からウロコの美味しさです。それにヒントを得て、豆乳に混ぜてみたところと豆乳臭さが薄らいで、飲みやすくなることを確認。まだ誕生して10年の新調味料、これからのスコ調味料の発展は皆さんの工夫にかかっています。

なお、使い方には共通のポイントがあります。使う前にはよーく、振ってかけること。原料が均一に混ざり、ベストな味を体験できます。また、開封後は冷蔵庫で保存してください。

※価格は各社HP掲載価格で税別表示しています。

文と写真:スーパーマーケット研究家・菅原佳己(レタスクラブニュース)