「フレンズオンアイス」のリハーサルでに新SPを披露した宇野昌磨

 平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(20)が、オフシーズン最後の出演になるというアイスショー「フレンズ・オン・アイス」の公開リハーサルに参加。今季のショートプログラム(SP)『天国への階段』を披露した。

 出演者のなかでは最年少で唯一の現役選手。その演技は、さらに磨きがかかって輝きを増している感があった。フラメンコ調の情熱的なギターナンバーにアレンジされた名曲に乗って、キレのいいメリハリのある動きを見せた。一方、ジャンプでは4回転トーループは成功させたが、トリプルアクセルで派手に転倒する失敗を見せた。

「今は、まだ足りないところしか見つからないです。今日はトリプルアクセルですごいこけ方をしてしまい、その後も引きずってしまったので、こんな失敗を試合でやったらいけないと思いました。今季のプログラムは、何かをイメージしたり、ストーリーを持ったりして表現するよりも、流れている曲を表現していくので、ベストを尽くし、見ている人がどう感じてくれるかに思いを込めて滑りたいと思っています」

 オフの間にたくさんのアイスショーに出演して、観客の前で新プログラムを滑り込んできた宇野だが、その完成度についてはまだ納得いかない様子だった。

「アイスショーで『天国への階段』のプログラムを何回滑ったかは数えていないのですが、10回に満たないくらいはやったかなと思います。僕は、『これが完成です』という上限を決めていないのでパーセンテージで表すことはできませんが、まだまだ課題がたくさんあるのが現状です」

 ジャンプでミスはあったものの、早いテンポの曲調に合わせた切れ味鋭いステップと高速スピンで魅了するなど、全体的な仕上がりは上々だった。このオフシーズンは、五輪銀メダリストとしての自覚と責任を感じながらアイスショーに取り組んできたという。

「シーズンに向けて、特別に何かをやっているわけではないですが、いろんなアイスショーに出させていただいた今年は、アイスショーに対する気持ちが今までとは少し変わっていました。これまで(考えていたの)はいろいろなものに挑戦する自分のことだけでしたが、お客さんに少しでも楽しんでもらいたいという気持ちの変化があり、それがスケーティングや細かいところに表れたのではないかと思います」

 今季は大幅にルールが変更され、男子はフリーの試合時間が4分半から4分に短縮、ジャンプ数も8本から7本に減るなど、昨季までとは違ったプログラムの対応を迫られる。どれだけ滑り込んでシーズンを迎えられるかが重要になりそうだ。

「できる限りのことをしたうえで、しっかりプログラムを完成させてシーズンの初戦を迎えるようにしたい。初戦から全力を出して、そこで見つかった課題をまた次の試合につなげていけたらいいなと思います」

 厳しい自己評価を口にしていた宇野だが、演技やジャンプの質を上げるためには、「練習あるのみ」と意気込みを見せた。「昨季よりもジャンプの成功率や質は少なからず上がっていると思うので、まだまだですけれども、シーズンを通していいものができるように頑張ります」と、手応えも掴んでいる。

 今季初戦は9月12日から16日まで行なわれるロンバルディア杯(イタリア・ベルガモ)。3連覇がかかる相性のいい大会でシーズンをスタートさせる。五輪メダリストとして周囲の期待をこれまで以上に感じているはずだが、飄々と受け答える宇野は「いつもどおり、自分らしく」をモットーに掲げ、どこまでも自然体だった。

「特別な思いはないですし、今年も新しい1年が始まるという気持ちです。昨季は昨季、今季は今季。まずはロンバルディア杯に向けていい調整をしていい演技をするだけに尽きると思います。とにかく、そのときのベストを尽くしていけたらいいなと思います」

 SP『天国への階段』、フリー『月光』というプログラムで「新しい自分を見せる」と語る宇野に、今季も注目だ。