こんな美瑛のお花畑にも踏み荒らしが

写真拡大

美しい丘の景観で知られる北海道美瑛町などで、お花畑などを勝手に踏み荒らして農家を困らせる行為が続発している。

藁を巻いたような牧草ロールの前で、男性が畑の中にしゃがんでいたり、カラフルな花のじゅうたんの中に入って、女性がポーズを取っていたり...。

病原菌などが土に入って、畑の農作物被害の恐れ

インスタグラムで「biei」と検索すると、外国人が投稿したらしいこんな写真が次々に出てくる。

札幌市内在住という「たこすけ」さんは2018年8月18日、写真をいくつかアップして、観光客らが「インスタ映え」を狙って農家の私有地である畑に無断侵入している現状を告発した。そして、こんなマナーに反する行為に対し、「もう北海道来ないでください」と訴えた。

北海道では最近、牧場やお花畑などに踏み込んで、写真撮影してSNSなどに投稿している人が目立つと、ネット上で指摘されている。16年2月には、撮影スポットとして人気だった「哲学の木」のポプラが、周囲の畑を観光客に踏み荒らされたこともあって、所有者が伐採してしまう事態にもなった。

美瑛町の経済文化振興課にJ-CASTニュースが21日に聞いたところによると、畑などに立ち入る人は、以前から見られたが、最近は、SNSなどを通じて、その「被害」が目に触れやすくなったという。

畑に踏み込めば、靴の裏に付着している病原菌や害虫が土の中に入って、畑がダメになってしまい、農作物が採れなくなってしまう恐れがある。

このため、町では、観光協会所属の観光アドバイザーに農地を巡回してもらい、観光客に注意を呼びかけている。

「恥知らずだ」と非難されても、スルーする人も

8月に入って、「展望花畑 四季彩の丘」の花のじゅうたんが満開になり、美瑛町でも、本格的な観光シーズンを迎えた。しかし、町によると、「畑に入っている人がいるので、注意してくれ」と地元の人から電話連絡を受け、畑に向かって確認しようとすると、もうすでにいなくなっていることも多い。まさに、イタチごっこの状態だ。

そこで、写真家らによるNPO法人「美瑛町写真映像協会」が17年12月、経済文化振興課を事務局にして設立され、撮影ルールを定めて、パンフレット配布などを通じてマナーを守るよう呼びかけている。アジア系などの観光客もここ数年は増えているといい、英語のほか、中国語や韓国語でも撮影ルールをPRしている。

花のじゅうたんに踏み込んだ女性に対しては、インスタのコメント欄で、日本人からとみられる非難の書き込みがあった。「無断侵入は畑にダメージを与えるもので、あなたは批判されている」「恥知らずだ」と英語で指摘されたが、女性は、まったく反応せず、好意的な人にだけ返信していた。

畑の中にしゃがんでいた男性は、批判されたのを気にしたためか、21日夕現在でインスタを非公開設定にしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)