乃木坂46、“国民的ヒットソング”への挑戦 「ジコチューで行こう!」は新たな夏の定番曲となるか

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参考:週間シングルランキング2018年8月20日付(2018年8月6日〜2018年8月12日・ORICON NEWS)

 最新のオリコン週間シングルランキングは乃木坂46の21枚目のシングル『ジコチューで行こう!』が988,671枚を売り上げ1位を獲得。そしてUP10TION『CHASER』が35,548枚で2位、超特急『Jesus』が34,559枚で3位に続く結果となった。1位と2位の差が90万枚以上開き、乃木坂46が他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せた週となる。

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 「ジコチューで行こう!」は作詞を秋元康、作曲をナスカ、編曲を野中“まさ”雄一が担当。作曲したナスカは過去に姉妹グループの欅坂46に3曲(「エキセントリック」「危なっかしい計画」「避雷針」)を提供しているが、表題曲に採用されるのは今回が初。これでほぼ確実にミリオンセラー作家の仲間入りとなるだろう。

 タイトルの「ジコチューで行こう!」は一見するとネガティブな意味で捉えられるかもしれない。しかし、この曲で表現されているのは「自分らしく」「周りを気にせず」「やりたいことをしよう」という応援歌然としたストレートなメッセージだ。サウンドも“ジコチュー”から想像されるような奇をてらったものではなく、むしろ王道で聴き易いポップロック調。〈この瞬間を無駄にはしない〉と気持ちを込めて歌うセンターポジションの齋藤飛鳥の歌声が強く印象に残る。

 また、カップリング曲も充実している。梅澤美波が3期生初の単独センターを務めた「空扉」、イントロのピアノが美しい「三角の空き地」、エレクトロディスコ調の3期生楽曲「自分じゃない感じ」、白石麻衣と西野七瀬のユニット曲「心のモノローグ」、大園桃子、齋藤、与田祐希の3名によるコズミックな「地球が丸いなら」、アップテンポなロック調の「あんなに好きだったのに…」とバラエティに富んだ収録曲には新しいことに果敢に挑戦していく姿勢や、グループの今後へ向けた布石を感じ取れる。

■イメージの変遷、そして“国民的ヒットソング”への挑戦 「制服のマネキン」や「何度目の青空か?」といった学生服を身にまとったかつてのスタイルを脱ぎ捨て、徐々に光沢のあるドレスで優雅に舞う女神のような姿へと成長していった乃木坂46の独自路線は、「インフルエンサー」以降、特に「逃げ水」や「シンクロニシティ」といったシングルで育まれていったように思う。しかし、今回の新曲では一転してカジュアルな服装で夏を謳歌するスタイルに舵を切っている。言うまでもなく、「ポニーテールとシュシュ」「Everyday、カチューシャ」といったAKB48の代表曲を彷彿とさせる楽曲だ。ファンの声でも「乃木坂46がAKB48の曲を歌っているようだ」というものが目立つ。この意識的な“セルフパロディ”を我々はどう捉えるべきか?

 誰もが口ずさめるようなヒットソングがこのグループにないことをメンバーが悩んでいる、という話をよく目にする(参考:乃木坂46 星野みなみ&若月佑美 1期生コンビが語る、7年目突入したグループの勢いと未来)。彼女たちが昨今の活動で作り上げた独自のアイドルイメージが、“もし”、国民的ヒットへの足かせとなっているのだとすれば、今回の夏をイメージした王道サウンドは、彼女たちが目指しているステージに足を進ませるためのひとつの手段と言えるのではないか。この曲はたしかに「乃木坂46がAKB48の曲を歌っている」ように聞こえるかもしれない。けれども、同時に誰が聴いても爽やかで、耳に馴染みやすく、違和感なく盛り上がれて、誰もが歌えるように作られているはずだ。それは“誰もが口ずさめるようなヒットソング”には欠かせない要素ではないか。実際この曲は、夏のあらゆるシチュエーションに違和感なくフィットする。海、ドライブ、リゾート……。「やりたいことをしよう」と聴く者を後押しする今回の新曲は、新しい夏の定番曲となっても何らおかしくはない。

 名実ともにトップアイドルである乃木坂46に欠けている最後の破片。そのラストのピースを掴むために彼女たちは今、挑戦している。(荻原梓)