「ラストオーダーまで15分ですが大丈夫ですか?」は帰れのサイン
閉店時間までもう少しという時間帯に入ったお店で、ラストオーダーを取りにきたとき暗に「もう帰って!」という態度をとられたことはありませんか。客としては頭にきますが、ではお店サイドからすると、どういった対応をすればよいのでしょうか。こういったラストオーダーの対応に会社の理念の浸透度が現れるとするのは、無料メルマガ『飲食店経営塾』の著者で飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さん。中西さんは、会社の理念が行動に反映されるために何ができるかを記しています。
ラストオーダーの対応をみると、その店の理念浸透度が分かる!
「ラストオーダーまで、あと15分しかありませんが、大丈夫ですか?」
店の閉店時間まで、あと1時間弱ぐらいありそうだから、もうちょっと飲もうかということで、店を訪れると出迎えてくれたスタッフが冒頭のような対応。この対応は、ラストオーダーの案内をしてくれているというよりも、どちらかと言えば、
「あと15分でラストオーダーだから、もう無理。帰ってよ!」
という心の内が態度に出てしまっている。こういう対応をされると、「もう1杯ぐらい…」という気持ちがなくなるどころか、この店に対して嫌な印象を抱き、もう2度と利用しないって気になってしまう。皆さんも同じような経験をしたことがあるのではないだろうか?
もし、お店が「自分たちよりお客様優先」「顧客満足度第一」等を大切にしていれば、こういった場面では、きっと、「ラストオーダー」どうこうよりも来店いただいたことに感謝し、いつもと同じような対応で店内に案内し対応することだろう。
また、こういうお店は、きっと、一人の店長だけがこういう対応ができるのではなく、すべてのスタッフが、「当たり前のように」行動出来るのではないだろうか?
僕は、こういう場面にこそ、店、会社として「理念が浸透しているかどうか」が現れるのではないかと思っている。なので、最近のご支援先の勉強会では、このような具体的事例をもとに、どのような対応をすべきかを皆で議論する時間を設けるようにしている。つまり、このような議論こそが「理念浸透」のための大切な時間だということだ。
理念は、皆さんもご存じのとおり、理念を作って額にいれて飾っておくものではない!理念をもとに、各自が判断し行動して、初めて、「理念が浸透している状態」と言える。
ただ、スタッフの皆には、「理念をもとに判断する」ということが、最初のうちはすごく難しい。
だからこそ、こういった事例をもとに、本来うちの会社ではどう対応すべきかを皆で話し合う時間を定期的に設け、皆で話し合うことが大切になる。その際に、定期的に理念の”一言一句”どういう意味だろうと、併せて皆で掘り下げたりすることも、理念浸透にはとても有効的。
このようなミーティングを社内全体で行い、皆で「価値観の共有」を行うことがすごく大切だと思う。
様々な場面でどう対応すべきかの正解は様々。特に、店が増え、人が増えてくると色々な価値観を持った人が集まる。だからこそ、理念、会社の価値観を皆で共有し、理念や価値観に基づいて皆が同じ対応を、当たり前のようにできるようにしていくことがすごく大切になる。
特に、マニュアル的な対応より、あたたかみのある対応をしたい店ほど、こういった時間をたくさん取ることが求められる。
皆さんの会社では「理念浸透」のために、どんな取り組みをされていますか?
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