その手のかゆみは水虫かも? 「手水虫」の原因と対処法

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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


暑くてジメジメ…身体が蒸れやすく、肌の露出も増えるこの季節。

高温多湿の環境は水虫感染のリスクが高くなります。

また、水虫というと足にできるイメージをお持ちかもしれませんが、手にもできる場合があります。

手荒れと間違えやすい

「手水虫」

についてご説明しましょう。

手水虫の原因

水虫の原因菌は

「白癬菌(はくせんきん)」

というカビの一種です。

白癬菌は皮膚の表面から角質層という部分に入り込み、感染を起こします。

これが足にできると「足白癬」「足水虫」、手にできると「手白癬」「手水虫」と呼びます。

白癬菌は高温多湿の環境を好みます。

手は足に比べて露出が多く、日常でもよく洗う機会が多いため、手水虫の発症は稀です。

発症確率は、足水虫の「20分の1」から「30分の1」といわれています。

なぜ手水虫ができるの?

手水虫の感染経路は、たいてい足水虫からです。

特に自分や家族が足水虫の場合は要注意です。

感染しやすいタイミングは、足の白癬菌に触れる次のようなシーンです。


 ・爪を切るとき
 ・足を掻いたとき
 ・お風呂やトイレ、キッチンのマットに触れるとき

自分の足に水虫ができている状態で、「足に触る=足の白癬菌に素手で触る」ということになります。

白癬菌のはびこる湿ったマットを洗濯するときなども同様です。

手荒れと間違いやすい、手水虫の症状

やっかいなことに、手水虫は手荒れと間違いやすく、気付かないで症状を悪化させる可能性があります。

手荒れの代表格は「主婦湿疹(手湿疹)」です。

仕事や家事などの際、水や洗剤、金属などの刺激が原因で症状が出ます。

指がガサガサし、関節の皮膚がゴワゴワして厚くなるのが特徴です。

ほとんどは両手に症状が出ます。

しかし、手のひらに次の症状がある場合は手水虫かもしれません。

手水虫を見極めるポイントをチェックしてみましょう。


 ・厚く硬くなった皮がむけ、ひび割れている
 ・かゆみや痛みがない
 ・カサカサしている
 ・上記の症状が手のひらから指先に向けて広がっている
 ・両手ではなく、片手だけに症状がある

ところで、頻度は稀ですが、手水虫で水ぶくれができることがあります。

似たような症状として挙げられるのが「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」という皮膚の病気です。

こちらは原因がまだ解明されていないようですが、手のひらに膿疱や水ぶくれができて、痛みやかゆみを伴います。

手水虫の予防・対処法

このように、手水虫は、足水虫からの感染によって起こるケースが多いのです。

ですから、予防・対処法も足水虫と同じです。

ポイントは、清潔と乾燥、感染経路を断つこと!次のような点に注意しましょう。

石けんで手をきれいに洗い、清潔なタオルでしっかりと水分を拭き取る

家族に水虫の人がいる場合、スリッパやバスタオル、爪切りを共有しない

足に触れるマットをこまめに洗い、乾かす

自分や家族が足水虫の場合、医療機関を受診してしっかりと治療する


手足の水虫にせよ主婦湿疹にせよ、皮膚の病気が考えられる何らかの症状を感知したら、自己判断で市販の薬やクリームを使用するのは控えましょう。

症状にあった対処をしないと、かえって症状を悪化させたり、家族にうつしたりするような事態になりかねません。

すみやかに皮膚科を受診して、適切な治療を受けることをおすすめします。


<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供