いぶし銀のサイドバックとしてプレミアリーグで人気だったホセ・エンリケは、かつて活躍したニューカッスルの地元紙で自身の現状について明かした。 (C) Getty Images

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 かつてプレミアリーグで活躍していたホセ・エンリケを覚えているだろうか?

 2007年から2016年にかけてリバプールやニューカッスルで、いぶし銀のサイドバックとして重宝され、その真面目な人柄からファンに愛されたスペイン人DFである。そんな彼は、今、病と格闘する日々を送っている。

 2017年に膝の故障を理由に引退していたホセ・エンリケは、地元スペインで解説者としてサッカーに携わる生活を送っていたが、今年6月23日に自身のインスタグラムで「最も過酷な1週間だった」と脳腫瘍の摘出手術を受けていたことを告白した。

 彼が患ったのは、「脊索腫(せきさくしゅ)」という頭蓋骨にできる悪性腫瘍で、発症確率は100万人に1人と言われているものだ。今回の手術で目の後ろに生まれた腫瘍を取り除くことに成功したことを報告しているホセ・エンリケだが、組織を完全に除去することが難しいため、今年中に35回の化学療法を受けなければならないという。

 そんな病との過酷な闘いを地元バレンシアを中心に欧州各地の医療施設で行なっているというスペイン人DFは、現地8月13日にかつて自身が活躍したニューカッスルの地元紙『Evening Chronicle』の取材に応じ、「盲目のままになるかもしれないと言われていたんだけど、視力を取り戻したよ。医師も驚いていた。でも、おかげで、人生の価値を見出せた」と前向きに語っている。

「僕と妻はいつも化学療法について話しているよ。きっと9月まで続くことになるが、僕自身はそれについてあまり深く考えていないんだよ。

 とにかく今を楽しんでいるんだ。この8月をね。ここ(バレンシア)の天気は信じられないようなものさ。色んなことを努力しているよ。あまり遠出することができないからね。

 でも、この毎日が教えてくれるんだ。『日々を楽しめ』ってね。もちろん、それは『明日死ぬかもしれないということを受け入れる』というわけじゃない。だから今はできるだけのお金を色々なことに費やしているんだ」

 懸命に治療に励んでいるホセ・エンリケは、闘病生活の中で見出したという「生きていくうえで重要なもの」を読者に説いている。

「誰だって明日に交通事故に遭うかもしれない。だから、僕はこんなメッセージを送りたい。

 我々は人生で多くの心配事を抱えている。様々なものをね。だけど、どれくらいお金を持っているか、どんな人生を過ごしているかは問題じゃないんだ。本当に大事なのは、毎日を楽しみ、いつも自分の気持ちを尊重することなのさ。

 病気が分かってからここまでは非常に困難な時期だった。人生の中で最も厳しい時だったよ。それを乗り越えることができて、本当に嬉しい。だからファンには感謝しなければならない。彼らはあらゆる形で僕をサポートしてくれたし、それは自分にとって本当に良いものだった。今はただ、毎日を生きられることと、できるだけ人生を楽しむことを望んでいる。なぜなら、それはいつだって失う可能性があるものだからね」