『白い犬とワルツを』 (テリー・ケイ著、新潮文庫) という小説がある。この本を紹介した手書きのPOPがきっかけで、大ベストセラーとなったことがある。

「妻を亡くした老人の前に、あらわれた白い犬。この犬の姿は老人にしか見えない。それが他の人たちにも見えるようになる場面は鳥肌ものです。何度読んでも肌が粟立ちます。感動の一冊です!!」(「BOOKS昭和堂」POPより)

2001年当時、まったく売れなかった本を、1枚のPOPで宣伝したのは、千葉県習志野市の津田沼駅北口にある「BOOKS昭和堂」だった。このPOPが出版社営業担当の目に留まり、やがて全国の書店に広がっていく。そして180万部のベストセラーへ......。

その「BOOKS昭和堂」が閉店することになったという。ツイッターには、衝撃を受けた地元の人々の声が殺到している。

「遅くまでやってるし......」「探し物がすぐ見つかる」


「BOOKS昭和堂」店内の告知ポスター(写真はすべてJタウンネット編集部撮影)

ツイッターに寄せられた反応を見てみよう。

「津田沼で本屋と言えば昭和堂だったんだが」「今までかなりの人達が日常的に利用してきた本屋さんです」といった愛用してきた地元の人々のショックは大きかったようだ。


「BOOKS昭和堂」入り口

「規模や品揃えが『街の本屋さん』的な感じで好きだった」「遅くまでやってるし、めっちゃ利用してた」「昭和堂の何がいいって、店員さんが皆きびきびしていて、かつブックカバーをとても丁寧にかけてくれる」などと、書店としての利便性やサービスの質を評価する声も多く、常連客の嘆きは切実だ。


「BOOKS昭和堂」店内

「ここは本当にわがままきく書店でダメモト取り寄せとかもしてくれたんですよね」「昭和堂の品揃えとレイアウトはほんと良かった。探し物がすぐ見つかる」「...また聖地が消えていく...というより長年津田沼に居る身としては素直に寂しいものです」など、地元ファンの惜別のコメントは止まりそうもない。

「本が売れない時代だけれど、残念だな?」「やっぱり本屋は厳しい」「普通の本屋はもうダメという事なのか」などと、書店の将来を案ずる人も多かった。