カナダ戦で完封勝利を挙げた上野由岐子【写真:荒川祐史】

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北京五輪では2日で3試合に登板し、413球で優勝に牽引

 負ければ3位が決定するカナダ戦で、“世界のエース”上野由岐子(ビックカメラ高崎)が進化する姿を見せた。第16回世界女子ソフトボール選手権は12日、ZOZOマリンスタジアムで3位決定戦が行われ、日本はカナダを3-0で破った。敗者復活で進む決勝では、アメリカと再戦。原動力は、やはり世界の上野だった。

 上野は初回1死から連打でピンチを迎えるも、4番・スピアーズをライズボールで空振り三振。5番・サリングを投ゴロに打ち取るなど、付け入る隙を与えなかった。日本は今大会初めてのデーゲームで、体力の消耗は激しかったはずだが、36歳の上野は7回にMAX115キロを記録するなど、底知れない体力を見せつけた。7回を4安打7奪三振で完封し、今大会6勝目。防御率は鉄壁の0.00を誇る。

「(昨夜の)アメリカ戦も勝ちたかったが、いい意味で収穫も反省も沢山あって、それを生かして夜に(アメリカ戦で)勝負したい。(日本選手は)海外での試合では精神的に強くなるが、(プレッシャーのかかる地元)日本ではどうかと思っていたが、心配ないようです」と宇津木麗華監督。ダブルヘッダーで行われるアメリカ戦で上野を連投起用する可能性を聞かれると「今日は上野で勝負したい」ときっぱり話した。

 2008年の北京五輪。上野はアメリカとの準決勝、同日に行われたオーストラリアとの敗者復活戦、そして翌日のアメリカとの決勝を、1人で413球で投げ抜き、日本に金メダルをもたらした。その再現で4年ぶりの世界一へつなげたい。(細野能功 / Yoshinori Hosono)