新宿の駅ビル「ミロード」にオープンした台湾スイーツ「騒豆花(サオドウファ)」(編集部撮影)

美食の国、そして親日の国として日本からの観光人気も高い台湾。その台湾をルーツとするスイーツの新店「騒豆花(サオドウファ)」が、7月13日にオープンした。騒豆花は、台湾では行列ができる有名店。新宿の駅ビル「ミロード」の7、9階レストランフロアリニューアルに合わせ、初めての日本出店となった。


一押しメニューのマンゴースイカ豆花、1380円(編集部撮影)

今回の新店舗の一押しメニューは、店名にもなっている豆花(トウファ)というスイーツだ。原料は大豆で、豆腐に似ているので、一見したところは日本人にもなじみやすい。ただし実際に味わってみると、豆乳をさらにいがらっぽくしたような味があり“子どもからお年寄りまで”という親しみのあるおいしさではない。これはつまり大豆の風味がしっかりしているということだ。最初は鼻につくかもしれないが、慣れると何度も食べたくなる。美容や健康にも良さそうなので、女性からの支持が高いスイーツだ。

見た目にも華やかな新しいスイーツを提供

伝統的な豆花の原料は基本、豆と水だけ。シンプルだからこそ、微妙な味わいを出すのが難しい。騒豆花では原料の大豆や水にこだわって、本場の味を再現。そして豆花に、フルーツを組み合わせて華やかにアレンジしている。定番のイチゴ、バナナのほか、季節ごとにマンゴーやスイカなどを使った限定商品を提供する。

日本での運営は、日本でのマスターフランチャイズ権を有しているフークルが担う。フークルはほかに、5年前よりアメリカ発祥の「オリジナルパンケーキハウス」を国内で8店舗展開。アメリカでは65年前に創業し、約150店舗を展開する一大チェーンだ。

今回の騒豆花オープンの経緯について、専務取締役の小峯祐一郎氏は次のように語る。


劉ママこと騒豆花オーナーの劉端貞氏(右)とフークル社長の河崎孝文氏(編集部撮影)

「騒豆花とは“運命的な出合い”があり、3年間交渉してきました。台湾の人気店なので、日本のいろいろな企業がビジネスを申し出てくるのですが、オーナーの劉ママ(騒豆花オーナー劉端貞氏)が断ってきた。それはオーナーが海外に展開する=騒豆花の味が変わってしまう。それほどまでに自店の味を愛し、その難しさを理解していたからです」(小峯氏)“運命的”という表現は少し大げさかもしれないが、同社社長の河崎孝文氏が現地で初めて味わったときの衝撃はそれほど大きかったのだろう。同社のもう1つの業態であるパンケーキ店も、「パンケーキブームとはまったく関係なく、店の味に感動した」(小峯氏)からこそ、日本での展開を決断したのだという。

さまざまな努力の結果、本場の味の再現が可能に

騒豆花は家族で経営している店で、劉氏は3代目だそうだ。オリジナルの味を守りたいという劉氏の思いと、同店の味に感動したという河崎氏の熱意が一致したからこそ、同店を日本で運営することが可能になったのだろう。確かに味の再現には苦労したようで、

「材料の配合も微妙で、少しでも違うとうまく固まらなかったり、豆の味が死んでしまいます。また水の質が台湾と違うため、本場の味がなかなか出せないんです」(小峯氏)という。

シェフは現地で修行したほか、店舗には専用の機械を導入した。もちろん大豆も台湾から輸入。水も、豆花に適した質のものを使用している。

このように、豆花についてはオリジナルを厳守したのが同店の最も大きな特徴だ。しかし、日本店だけのサービスも“売り”となっている。ひとつには、麺やごはんもの、「屋台料理」と称するおつまみなど、食事の提供も行っていることだ。

「台湾の店ではスイーツのみの営業ですが、当店を通してお客様に台湾を感じてほしい。そのために台湾を感じる料理をオーナーの協力を得ながら開発いたしました」(小峯氏)

劉氏が開発したメニューには「劉ママの牛肉麺」(1180円)、「劉ママのルーロー飯」(880円)などと「劉ママの」がついている。また、食事でおすすめなのは担々麺や、限定20食の弁当「台湾便當」(1280円)だ。


日本店限定で、しょっぱいメニューも充実。汁なしの白胡麻担々麺、880円(編集部撮影)

「台湾特有の香辛料を使ってはいますが、豆花の味を邪魔しないよう、やさしい味にしています。また、あえてお弁当箱に詰めた『台湾便當』は、小旅行したような気分を味わっていただけるようにとの思いを込めたものです」(小峯氏)

台湾も、日本と同じように駅弁の文化があるようだ。種類も豊富で、台湾鉄道に乗って駅弁を食べるのが、台湾旅行の際の楽しみとなっているらしい。

また、豆花に組み合わせる季節限定のフルーツとして、日本店オリジナルのものも検討しているそうだ。

大型リニューアルによって店舗全体で相乗効果が


7月11日のメディア向け内覧会で登壇したミロード所長の郄岩法子氏(編集部撮影)

ミロードのレストランフロアは5月18日に8階が、そして7月13日に7、9階がオープンし、これですべてのレストランフロアがそろったことになる。10年ぶりの大型リニューアルとあって、テナント選択にも力が入っている。リニューアルオープンに際してのメディア向け内覧会では、ミロード所長の郄岩法子氏があいさつし、コンセプトや意気込みについて語った。それによると「若い女性をメインターゲットに、ファッションフロアとの相乗効果」(郄岩氏)が店舗構成のコンセプトで、楽しく、女子会などにも適した店舗を選択している。5月にオープンした8階は「売り上げがリニューアル後30〜50%伸びで移行している」(郄岩氏)とのことだ。

今回リニューアルした7、9階には、日本初上陸店舗として騒豆花のほか、“逆輸入ラーメン”「MENSHO SAN FRANCISCO(メンショー サン フランシスコ)」などが挙げられる。また、ご飯や麺とオリジナルナムルなどのトッピングを自由に組み合わせられる“コリアンパワーボウル”「VEGEGO(ベジゴー)」や、“肉食女子”をターゲットとする「THE MEAT & LABO(ザ ミートアンドラボ)」も、女子受け度が高そうだ。

そんななかにあって、騒花豆のオープン後1カ月の状況はどうだろうか。小峯氏によると「連日行列」とのことだ。

気になっていたのが、価格設定だ。食事類は台湾便當の1280円が最高で、あとはだいたい1000円以内に収まる、若い女子のお財布にも優しい価格。しかし、季節限定の豆花については「マンゴースイカ豆花」が1380円、マンゴー豆花は1480円と、スイーツにしてはかなりハードルの高い設定になっている。価格に関して聞くと、「台湾店に比べると2〜3倍の価格になっています。設定については迷ったのですが、お客様に騒豆花の価値をきちんとお伝えしたいと考えました」(小峯氏)という。

マンゴーはもちろん冷凍でなくフレッシュなものにこだわっているため、8月末ぐらいまでの季節限定となる。また、定番メニューの「バナナ豆花」(980円)にも、入手できる時期には台湾バナナを使っているそうだ。


ピーナッツ豆花(温)580円(写真:フークル)

また、ピーナッツや小豆、黒ごまのシンプルな豆花はもっと親しみやすい価格で、580円から780円となっている。こちらのほうが台湾の伝統的な豆花に近く、また温めて提供できるものもある。フルーツの豆花がパフェ的なハレの日のスイーツなら、シンプルな豆花は日常のおやつと言えそうだ。豆花を毎日でも食べたい、という人なら、こちらを好むかもしれない。

騒豆花は日本に初上陸だが、実は豆花というスイーツ自体は、すでに日本には紹介されており、専門で提供している店舗も何店かある。500円程度のベース豆花に、好きな具材をトッピングして楽しめる店もあるようだ。

2号店以降の店舗展開は?

フークルのような企業が現地の人気店と契約してマスターフランチャイズ権を取得したとなると、より大きな規模で展開することが予測される。とはいっても、パンケーキの店については5年間で8店舗なので、着実な店舗展開を行う企業なのだろう。「今はまずこの店でしっかりお客様に価値を伝え、その反応を見てみたい。2号店以降についてはまだ考えていない」(小峯氏)とのことだが、もしこの店舗が成功すれば、同店だけでなく豆花というスイーツがジャンルとしてより広まっていくかもしれない。豆花は日本に紹介されてきた他のスイーツと異なり、味として新しい。また大豆食品でヘルシーという魅力もある。味の再現が難しいのが難点だが、本格的なものでなければ、家庭でも似たようなものはできるらしい。「アサイー」のように、豆花が席巻する日が来るのかもしれない。