憲法改正、靖国参拝について語る小泉首相(撮影:小木曽浩介)

写真拡大

小泉純一郎首相は30日、自民党本部で講演し、憲法改正、靖国問題、米・中・韓関係などについて、見解を語った。

【日米同盟と憲法改正】
 首相は「政策を展開していく上で、一番大事なものは平和。軍事力がなかったら、他の侵略しようとする国、組織から侮られたり、何をされるか分からない。それを未然に防ぐために、軍事力は必要だと思っている」と述べ、「日本は一国で平和、独立を維持できない。どの国を信頼して同盟関係を結ぶかといったら、米国以外ない。お互い信頼関係を維持して、これからも平和のうちに、多くの政策を展開していきたいと思っている」と日米同盟の重要性を説いた。

 その上で新憲法草案に触れ、「日本の憲法はあいまいな文章がある。典型的なのは第9条。私は9条をわかりやすい表現にしたほうがいいと長年思っていた。自衛隊が戦力ではないといっても、大事な国の平和を守るための組織。侵略勢力を阻止するためにはある程度、戦力を持たないと無理ではないかというのは、極めて常識的な考え方だと思う」と語り、「(政治にある者として)非武装中立論者ほど無責任なものはない。侵略しようとする勢力に対して、誰に戦えというのか。訓練もなく、日ごろの準備もなく、一般市民に戦えというのと同じ。だから専門家集団、訓練された組織を持つ。そして米国と協力すれば、戦争の抑止力になる。いかに未然に防ぐかだ」と述べた。
 
 そして「これから憲法改正論議、9条をめぐる論議は国民の間でも、よくしていかなければならない。公明、民主、多くの国民の協力を得て、日本としての新しい時代にふさわしい、わかりやすい文章で、日本の基本的な国の在り方をあらためて考えるのは、大事なことだと思っている」と語った。

【日中・日韓関係と靖国問題】
 「いま靖国問題をめぐって日中、日韓関係がぎくしゃくしている。私は日中友好論者、日韓友好論者だ。米との関係を大事にしていきながら、中国、韓国とも、世界各国とも協力していこうというのが、一貫した私の考え方」と話し、「いま日本の社会は、かつてないほど豊かで平和。二度と戦争を起こしてはいけない、尊い犠牲の上に今があるということを忘れてはいけないという気持ちで、総理大臣小泉純一郎が一人の国民として参拝している。これに対して日本国民、ましてや外国から、なぜ批判されるのか分からない。精神の自由だ」と参拝理由を強調。

 「日中、日韓の友好を極めて重要に考えている。相互依存的な関係、お互い繁栄していこうという関係になっていくべきだ。一つや二つの意見の相違、対立があるからといって、全体をおかしくさせてはいけない」と語り、「靖国の問題は外交カードにならない。長い目で見れば将来、理解される問題だろうと思っている」と断じた。

【総選挙と、これからの政権政党、そして後継総裁】
 「この郵政民営化を争点にした総選挙では、多くの国民が支持を与えてくれた。これは大きく自民党を変えることになった」と振り返り、「支持団体も大事だが、政治は国民全体のものだ。国民全体の支持を得ないと、これからは政権、議席を獲得できないという選挙だった。今後の党総裁、総理は常に悩むところだろう。一党の総裁になるためには、一党の支持団体の支持を得ないと総裁になれない。総理になって選挙を断行する場合には、政党と支持団体だけの支持では、一般国民が支持してくれるか分からない。今回、自民党が大きな勝利を得ることができたのは、これまで自民を支持してくれそうになかった人が支持してくれたから、これだけの勝利を得ることができた。極めて意義のある選挙だった」と振り返り、今後の政権政党の在り方として、「地方の意見と、支持団体のいろいろな要望に応えつつ、国民全体の要望、負担を、財政状況を眺めて配慮しなければならないというのが、政権政党の大きな責任だ」とまとめた。

 そして、「やるべき改革は多い。改革に終わりはない。私の後を継ぐ方も、さらに政権政党として、多くの国民が支持してくれるような政党になるように頑張っていただきたい」と、後継総裁に託す要望を語った。

 同講演会は自民党立党50周年を記念して、歴代の総裁、官房長官がリレーする講演で、今回で9回目。【了】