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半ニートから高額所得者まで、常識人から異世界に住む人々まで、幅広い層が飲みに来る下北沢を中心に、「一人飲み歴10年以上」の、きたざわ御神酒(おみき)です。

ドロ沼離婚など、よくない男女関係にハマっている状態をよく沼と言いますよね。実は30代で一人飲みデビューし、遅かりし青春(笑)を幾多のバーで過ごしてきた筆者もハマりかけたことがあります。

どんなに酔っても身持ちの堅さだけは自負してきたのですが、長い一人飲みの歴史の間にはバーで口説かれた男性にクラッときたこともあるのです……。

しかし、その男性は決して付き合ってはいけない相手。彼の強烈な背景を知ったときは、心底ゾッとしてしまいました。

一体どうすれば、悪い男に騙されずに済むのか?気になる堅実女子は多いはず。そこで今回は、筆者が実際に体験した恐怖エピソードと一緒に、すんでのところでドロ沼を回避した秘策をご紹介します。

すっぴんメガネなのに話しかけてくれる変わった男性と遭遇

その夜、筆者はものすごい格好をしてバーに飲みに行きました。

風邪気味で体調が悪かったのにどうしても欠席できない仕事があり、すっぴんに大きなマスク、ボサボサの髪も手入れせずに帽子でカモフラージュ。目もうるんでコンタクトが入れられない状態だったため、目が超小さく見えるほど強烈な度数の近視メガネをかけていました。

しかも冬の初めだったのでモコモコに着こんでいたため、女性として美しくないファッションを通り越し、もはや怪しさまで醸し出しそうな状態。そんなにヒドイ格好をしているなら、とっとと帰って寝ればいいと思いますよね?

しかしそのときは、「こんな体調でも私、仕事頑張ってきた!」という興奮と自己憐憫にかられていたのです。それで自宅から一番近い、気さくなマスターの経営するバーに「ごめ〜ん!1杯だけ外で飲んで帰りたいよ〜!」と入店しました。

店内では、テーブル席でソフトドリンクをお供に書き物をしている30代後半くらいの男性が。実は筆者も何度かその店にパソコンを持ち込んで仕事をしたことがあります。それで初めて出会ったのに、「やっぱり他にもこういう人いるんだ」となんとなくその男性に親近感を抱きました。

気持ちがよくわかるので、仕事の邪魔をしないようにマスターとおしゃべりしながら1杯だけ飲んで帰ろうと、いつものメニューをオーダー。

それを筆者が飲み始めてほどなく、書き物中の男性が「できた〜!よし、飲もう!」とカウンターの筆者の隣に移動してきたのです。そして、「乾杯しよう!マスターもなんか1杯飲んで!」と気前のいい発言。

初対面でボッサボサの筆者とも、当然のように「お疲れ様」とグラスを合わせようとします。それがまたフレンドリー過剰な感じではなく、その夜カウンターで出会った人への礼儀として乾杯しようとしてる雰囲気。

そのため、「あ、私ちょっと風邪気味なので、はじっこでこれ飲んでもう帰りますね。近くでもしうつしたら申し訳ないので!だったら飲みにくんなよって話なんですけど、どうしても1杯寄りたくて……。すみません!」とエクスキューズし、席を移動しようとしました。

するとその男性、愛想笑いするでもなく至極当然のように「気にしませんよ。風邪ひいた人が横にいてもいなくても、自分がひくときはひくし、ひかないときはひかない。そういうものでしょ」と真顔で言うのです。

ちょっと変わった人というか、物事を考えるときのモノサシを世間の常識に合わせるより、自分だけの法律で動くタイプという感じ。しかも、独特の目ヂカラ。この発言と風貌から、ちょっとだけ男性に興味が湧きました。

素の状態で男子にも女子にもチヤホヤされてお姫様気分に!

とりあえず彼と乾杯し、開口一番「クリエイティブ系のお仕事されてます?」と受けた印象をそのまま質問。

すると、その質問で唐突に猛烈に興がのったという感じに「ビンゴ!」と笑顔を返してくれました。目ヂカラは妙に強いものの無表情に近かったのにもかかわらず、一瞬で破顔に。

すぐさま名刺交換をし、彼は自分の仕事内容をそこそこ有名どころの案件に従事するクリエイティブ系だと説明。経済的にも豊かに違いないので、ここからは彼をユキチさんと呼びます。

筆者もわからない業界ではなかったので、次第に話に花が咲きました。ユキチさんはお金周りのいいクリエイターにしては身なりにかまいすぎないタチらしく、ごくごくラフで普通の服装をし、顔だちはいいのに寝ぐせヘア。自分を飾ろうとしない姿勢に、好感度は急上昇。

あまりの楽しさに、1杯だけだったはずのお酒をおかわりをしてしまうほど。途中で他の常連客のユリちゃん(仮名)が来店して、さらに盛り上がりました。ユリちゃんは、レズビアンを公言しているボーイッシュ女子。彼女の参加で話が弾んできたため、女子2人男子1人でユキチさんのお気に入りのバーに移動。

移動先のバーではなんと、クリエイティブ系の変わり者男子&ボーイッシュ女子からなんとなくチヤホヤされる姫状態に!

ユキチ「オミキくん(←呼称にまで個性を出してしまうクリエイティブ魂)って面白いなぁ。視点が変わってるのに、コアは押さえてる感じ」

ユリ「そうでしょ!私もオミキさんLOVEなんだ!とらわれてない感じで、悩んでることとか話すと、新たな光がさすんだよね!」

こんなことを言われて、「や〜!今日はいい日だ!よりによってここまでボサボサな日に、ホメられ天国!」と非常にいい気分になりました。

しばらく楽しい時間を過ごしたら、翌日の予定を気にしたユリちゃんが帰るというので、筆者も帰ることに。そこでユキチさんが筆者を引き留めてくれました。

正直この時点で筆者はユキチさんにかなり好感を持っていましたが、まだ出会ったばかり。ユキチさんのプロフィールは仕事以外は知らないし、家の近所のバーに出没する同士、この先まだチャンスはあるでしょう。安売りはいけません。

ただ、女子としてダメダメな身だしなみの自分に興味を示してくれたユキチさんに、他の男性にはなかった手応えを感じていたのも事実です。

結局ユキチさんが「自分が誘ったから」と3人分のお会計を持ってくれて、3人で店を出ました。たまたまユリちゃんの家が店から一番近かったため、先に帰宅。

必然的に筆者とユキチさんは2人きりに。この状況のせいで、とんでもなく面倒な事態に突入するのです……。

ユキチさんは筆者の内面に魅力を感じてくれている気がする!

いい感じのユキチさんとなぜドロ沼寸前になったのか?〜その2〜に続きます。