1位の世田谷は前年比で「最も待機児童数を減らした」東京都の自治体でもあるが…

写真拡大 (全5枚)


保活は育休中の女性の最大の関心事とも言えますが…(写真:Ushico / PIXTA)

真夏の午後、乳児を連れた女性や妊婦が都内の保育所のインターホンを鳴らす。お迎えには少し早い時間帯に来た彼女たちの目的は、保育所見学だ。

自治体や認可・認可外かによってスケジュールは異なるものの、保育園への申し込みは11月〜年末年始、入園内定通知が1〜3月にかけ出されるケースが多い。それらに先立ち、わが子を通わせる保育園への見学が夏ごろから本格化している。

東京都福祉保健局が7月30日に公表した報道資料によると、2018年4月1日現在の東京都の待機児童数は5414人となり、前年比で3172人減少した。小池百合子東京都知事は会見で「待機児童対策は知事に就任して真っ先に取り組んだ案件で、予算も力も注いできた」とその成果に胸を張り、「2019年度末までの待機児童解消が目標、保育サービスの整備をさらに加速させていきたい」と意気込んだ。

待機児童数は10年前から変化なし

しかし、東京の保活戦線が依然として厳しいことに変わりはない。保育所定員は10年前に比べ1.6倍になっているものの、都内の就学前児童人口も増加の一途をたどっており、待機児童数は10年前とほぼ同じ水準だ。


15歳〜64歳の女性の就業率が67.4%となり(総務省統計局「労働力調査」2017年平均速報結果)過去最高を記録するなかで、保育所の利用希望者は今後も増え続けるものとみられる。さらに東京においては、職住近接の流れや都心や臨海部における再開発の影響で人口流入が一層進む可能性が高い。

こうした状況を踏まえ、東洋経済オンラインでは東京都福祉保健局の発表資料を基に、東京都の「待機児童が多い」自治体ランキングを作成。全62市区町村を待機児童数の多さで順位付けし、併せて前年比と5年前比の待機児童数増減を示した。

ただ、待機児童数の多寡だけでは自治体の待機児童対策への取り組み状況を正確に把握することは難しい。そのため、東京都の「就学前児童が多い」自治体ランキングも作成し、5年前比で就学前児童人口が増加しながらも、待機児童のいない・少ない「保育サービスの拡充に熱心な自治体」もわかるように整理した。

待機児童数ワースト1位は世田谷区の486人。近年1位をキープし続け、言わずと知れた保活激戦区となっている。世田谷区も手をこまぬいているわけではなく、保育所等の新規開設を進め5年前比で待機児童数を約400人減らしている。しかし、それ以上に就学前児童が流入し(5年前比で2750人増)、待機児童解消までの道のりはまだ長い。

2位は江戸川区の440人。同区の就学前児童人口は5年前比で1800人以上減少しているものの、「女性の社会進出などにより保育所に申し込む方は増えている。そのため、保育施設を新設し保育定員の拡大を図っていますが、待機児童は増加している」(江戸川区子ども家庭部2017年11月15日「江戸川区の待機児童の現状と取組み」)という。今後は私立幼稚園における長時間の預かり保育を推進するなどして受け皿拡大に努める方針だ。

「待機児童対策・優等生」の自治体は?

「待機児童の少ない」ランキング下位自治体に目を向けると、待機児童ゼロを達成しているのは14自治体。うち就学前児童数500人以下の島しょ部自治体等以外では、杉並区・豊島区・千代田区・福生市の4自治体となる。

中でも杉並区は就学前児童人口が5年前比で2600人超増加し、就学前児童数の多さでは8位となるなど、子育て世帯に人気の区ながら待機児童ゼロを達成したレアケースだ。同区は2010年以降保育施設の整備に本腰を入れ、2012年に62カ所だった認可保育所を2018年に124カ所まで倍増。2018年4月1日現在「待機児童ゼロ」となった。

同様に品川区も就学前児童数が2万人を超え、5年前と比べても2800人近く増加しているが、待機児童数では19人、41位と健闘している。

なお当然ながら、現時点で待機児童が相対的に少ない自治体も、大規模マンション建設等により激戦区になる可能性は十分にある。たとえば中央区では、東京オリンピック後に晴海の選手村がマンションとして転用され、約5600戸が整備される予定であることから、2020年以降の人口増が見込まれる。

また、同一区内でも地域によって人気に偏りがあるため、区全体としては競争が比較的緩やかでも局所的に倍率の高いエリアも存在する。たとえば同じ江東区でも、タワーマンションが立ち並ぶ清澄白河エリアは入所しづらいことで知られるが、亀戸エリアは比較的倍率が低くなっている。

情報戦と言われる保活。仕事と妊娠・出産・子育てをこなしながら立ち向かうにはタフさが求められるが、本ランキングがその一助となれば幸いだ。