大口駅からすぐだがマンション1F の奥にあり、通りからはわかりづらいので注意。白い立て看板を目印に/(C)KADOKAWA 撮影= 相川 明

写真拡大

2018年5月22日に横浜市・大口にオープンした「中華そば 郄野」。“神奈川淡麗系”と呼ばれるあっさり系の「鶏の中華そば」(750円)がウリで、オープン直後から人気を集めている。27歳の若き店主が放つ、こだわり満載の“意識高い系”ラーメンを徹底解剖!

木をふんだんに使った店内は明るくおしゃれな雰囲気。カウンターの照明もラーメンが映える位置に設置。SNS映えする写真が撮れる/(C)KADOKAWA 撮影= 相川 明

■ スープや麺などに高級ブランドを惜しげもなく使用

まずはスープ。山梨のブランド地鶏「信玄どり」を贅沢に使っている。部位にもこだわり、通常のガラではなく、肉付きガラと手羽先、モミジを用いることで、骨だけでなく、肉からも旨味を抽出。さらに羅臼昆布(日により根昆布などに変更)で、香りと深みも出している。

さらにスープを炊く水にもこだわり、「RO水」という超軟水を採用。水道水を特殊なフィルターでろ過し、不純物をほぼすべて取り除くことで、よりクリアでしっかりとしたダシが取れるのだ。

こうしてでき上がったスープは、鶏の芳醇な香りと上品なコクがたっぷり。6種を独自ブレンドした甘めの醤油ダレが、鶏の旨味に奥行きを加えて飲むほどに味わい深い。

麺は有名製麺所「三河屋製麺所」に特注した中細ストレート。表面がツルツルで心地よい喉ごしが楽しめる。何よりこだわっているのが小麦の風味。北海道産の高級小麦「春よ恋」の最高グレードの品種を中心に3種をブレンド。噛むと小麦の豊かな香りが口いっぱいに広がっていく。

具で特筆すべきはモモとムネの2種の鶏チャーシュー。モモはオーブンでローストしたあと、提供直前に数種のスパイスを振りかけて炙り焼きに。ジューシーな脂とスパイスの清涼感がたまらない。一方のムネはオリーブオイルや数種のスパイスでマリネしてから、低温調理。こちらはしっとりと柔らかで、噛むと肉質がスーッとほどけていく。

【ラーメンデータ】<麺>中細/角/ストレート <スープ>タレ:醤油 仕上油:鶏油 種類:鶏ガラ・魚介(昆布)

■ 昆布水ととろろ昆布を使った「鶏つけそば」もおすすめ

スープ、麺、具とすべてにこだわった珠玉の一杯を作り出したのは、店主の郄野伸伍さん。美容師から飲食業界に転身し、神奈川県内の有名店で約2年間ラーメン作りを学んだ。さらにレストランや居酒屋での調理経験のほか、有機野菜を栽培する農業に携わったこともあり、27歳の若さだが料理の腕だけでなく、食に対する知識も深い。

「大口駅周辺には“神奈川淡麗系”の店があまりないので、『鶏の中華そば』で勝負しようと思いました。農業の経験から食の安全性を改めて感じています。確かな食材を使い、お子様や年配の方でも安心して食べていただけるラーメンをこれからも作っていきます」(郄野さん)。

看板メニューの「鶏の中華そば」のほか、「鶏つけそば」(800円)も人気。こちらも淡麗系の鶏スープで、麺を浸す昆布水にもこだわり、羅臼昆布など3種の昆布を2日間かけて丁寧に水出ししている。また、とろろ昆布をトッピングしているのもポイント。

「実は僕自身、とろろ昆布が嫌いだったんですが、このつけそばで好きになりました。とろろ昆布の旨味成分が鶏スープをよりおいしくしてくれます。昆布が苦手な人にこそぜひ食べてほしいです」(郄野さん)。(横浜ウォーカー・取材・文=河合哲治郎、撮影=相川 明)