『つぐない』以来のイアン・マキューアン作品に出演するシアーシャ・ローナン(『追想』)/[c]British Broadcasting Corporation / Number 9 Films (Chesil) Limited 2017

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弱冠24歳にしてアカデミー賞をはじめとする“賞レースの常連”と呼ばれ、話題作への出演が相次ぐ女優シアーシャ・ローナン。9歳のころから子役でキャリアをスタートさせ、本日8月10日より公開中の『追想』では、大人の女性としての表情ものぞかせている。着実に経験を積み、ますます輝きを増す、彼女の印象的な役柄を振り返ってみたい。

【写真を見る】青い瞳と鮮やかなブルーのドレスが美しくマッチ!(『追想』)。シアーシャの過去作を振り返る画像全20点/[c]British Broadcasting Corporation / Number 9 Films (Chesil) Limited 2017

■ 少女から、ヴァンパイア役、アクションにも挑戦

彼女が一躍脚光を浴びたのが、07年のジョー・ライト監督作『つぐない』。現代のイギリスを代表する文学者イアン・マキューアンの傑作小説「贖罪」を原作に、1人の少女の“嘘”によって人生を狂わされたカップルの運命を描く文芸大作だ。シアーシャは、キーラ・ナイトレイ演じるヒロインの妹・ブライオニー役に抜擢され、少女の純真無垢ゆえの残酷さを、圧倒的な存在感と繊細な演技で体現。この役が高い評価を受け、13歳という若さでアカデミー賞助演女優賞にノミネートされる。

シアーシャがジョー・ライト監督と再びタッグを組んだ2011年の『ハンナ』は、『つぐない』から雰囲気も打って変わったサスペンスアクション。本作で彼女は、元CIA工作員の父親から戦闘技術を叩き込まれた少女ハンナを演じ、ハードなアクションも披露している。

2012年の『ビザンチウム』は、『インタビュー・ウィズ・バンパイア』(94)のニール・ジョーダン監督によるファンタジー・スリラー。本作でシアーシャは、放浪生活を送るヴァンパイアの少女エレノアを演じ、難病を患う人間の青年フランクとの悲恋を展開。“永遠の孤独”を抱えたヒロインの心情と、フランクへの純粋な恋心を見事に表現した彼女の演技がせつなく観る者の胸を打つ。

■ 難役を演じ分け、アカデミー賞候補の常連に!

以降も、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)など、話題作に出演。そのシアーシャがハリウッドきっての若手実力派としての地位を確立したのが、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた2作品。アイルランドからニューヨークにやってきた移民の少女の揺れ動く心を描いたドラマ『ブルックリン』(15)と、女優グレタ・ガーウィグがメガホンをとり、自身の半生を盛り込んだ青春映画『レディ・バード』(公開中)だ。閉塞感漂うアメリカの田舎町を舞台にした『レディ〜』では、両親との関係や恋、将来について悩む女子高生を、ユーモアたっぷりに熱演している。

■ 『つぐない』から10年、美しい大人の女性へと成長

そんな彼女が自身の原点とも言える『つぐない』に続き、再びイアン・マキューアン作品の映画化に挑んだのが、『追想』だ。本作でシアーシャが演じるのは、若きバイオリニストのフローレンス。結婚式を終えたばかりの彼女が夫と共に、新婚旅行で訪れた海辺のホテルで迎える“初夜”にフォーカスを当てた異色のラブストーリー。新郎が感じている興奮と歓喜、一方の新婦が抱える不安とトラウマを独特の緊張感で描き、フローレンス扮するシアーシャが醸す、少女と大人の間で揺れる1人の女性のとまどいがリアルな共感を誘う。

ドラマからファンタジー、アクションまで。様々な役柄を演じ、その度に新たな顔を見せるシアーシャ・ローナン。あどけない少女から大人の女性へと美しく成長し、まだまだ力強い変化を遂げていくであろう彼女が、次は一体どんな役で驚かせてくれるのか…?今後の活躍からも目が離せない。(Movie Walker・文/トライワークス)