花火写真はイメトレが通用しない? 打ち砕かれた自信と最大の敵を知った「市川市民納涼花火大会」

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夏の風物詩といえば、各地で開催される花火大会だ。
といいつつも、筆者はこれまで花火大会に行ったことがなく、夏のお祭りなどにも興味を抱かないほどのインドア派だった。

そんな筆者だが、Twitterなどで拡散されている打ち上げ花火の綺麗な写真に触発されて、「今年こそは花火の写真を撮影してみよう!」
そう思いたった。

時は8月4日、第34回市川市民納涼花火大会、意気込んで行ってみた。

市川市民納涼花火大会は、
江戸川をはさんで江戸川区花火大会と共同開催され、打ち上げ総数約14000発、参加者数約140万人の大規模な花火大会だ。

今回はライター仲間の男性と2人で花火の撮影を目的に参加してみた。
花火撮影のコツなどは、事前にネットなどのハウツーや撮影テクニックなどの記事を読み、イメージトレーニングを十分にした。

筆者の脳内には、完璧に「幻想的な花火写真」がバンバン撮れるイメージができていた。

とはいえ、なにせ初の打ち上げ花火撮影なので、経験者のライター仲間も同行してもらうことにした。

花火開始およそ3時間前、
撮影場所を河川敷に確保してカメラのセッティングも終えた。
余裕である。

今回、カメラの設定は、
・ISOが100〜200
・絞りはF11〜22
・シャッター速度は「BULB」(バルブ)
この設定で花火の明るさに応じて「勘」でシャッター速度を変えてみようという作戦だ。

ちなみにシャッター速度の「バルブ」設定とは、
シャッターボタンを押している時間だけシャッターを開くモードのこと。
花火の明るさによってシャッターを開ける時間を手動で変更できるため、今回はすべてバルブで撮影することにした。

なお、使用したカメラは、
・Canon(キヤノン)「EOS Kiss X6i」
いわゆる一眼レフカメラの中ではエントリーモデルといわれているものだ。
レンズは
・キットレンズの「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」
分かる人には分かると思うが、初心者丸出しの機材仕様だ。

「誰でも安価なカメラ機材で花火写真が撮れる」
これが今回の企画のコンセプトなのだ。

カメラを三脚にセットし、まだ明るいうちにおおよそのピントをオートフォーカスで合わせてから、レンズ側のスイッチでマニュアルフォーカスに変更してピントを固定した。

そして待つこと3時間。
いよいよ花火大会のスタートだ!

奇麗な花火写真がバッチリ撮れた…ハズだったのだが。

オープニングのド派手な打ち上げ花火を撮ろうと挑戦するも、明る過ぎて花火がすべて白飛び。花火の打ち上げは大成功していたが、撮影は大失敗だ。


記念すべき初撮影の1発目は白飛び


気を取り直して次の撮影を試みるも、ド派手な花火のおかげで煙が凄くて、花火がまったく見えない。
想定外の状況に、少々焦りも。

その後も、どう頑張っても花火が撮れない状況が続く。
煙が多いため撮影を一旦止めるしかない。という場面がしばしばあったからだ。
煙で花火が見えないのでは、いくら撮影しようとしても肝心の花火は撮れない。
露出や設定などより、最大の敵となったのは「煙」だということに、ここに至って気付いた。


煙で花火が見えない状況に



明るい花火の後の単発打ち上げ花火はついつい暗くなってしまう


その後、撮影を続けるもシャッター速度をなかなか決めきれず失敗を連発。
おまけに、1発ずつの打ち上げ花火では、シャッター速度を90秒以上で撮影していたため、1枚撮影するのにも数分要してしまう。

撮影前は、設定も撮影方法もイメージトレーニングは完璧と自信をもっていた。
あとは「調整しながら撮っていけばいいだろう」
という軽いノリだった。

これが大きな油断となり、現場での対処が遅れたのであった。

結果は、開始から終了の1時間15分の間に撮影できたのは42枚に過ぎなかった。

そんな初めての花火撮影で得た教訓をまとめてみたいと思う。

● 花火撮影は、場所取りがもっとも重要
河川敷の斜面だとレジャーシートに座っていても予想以上に滑る。
このため足、腰の負担が尋常ではない。
できる限り平らな場所を確保したほうがよい。

●撮影場所とレンズのマッチングに気を配れ
花火に近い場所であれば望遠よりも、広角なレンズを用意したほうが見切れにくく撮りやすい。

●ホワイトバランスは「白熱電球」
赤系の花火だと本当に爆発しているかのように真っ赤になってしまうため、白熱球(タングステン)設定がベターだ。

●明るい花火は時間をかけずに撮影したほうが撮影枚数を稼げる
ただし、白飛びするリスクはあるので注意

●単発の花火は白飛びリスクは薄いが、1枚の撮影時間がかかる上、暗く(露出不足に)なることが多い

●最大の敵は「煙」
むしろ煙をかっこよく撮影する技術を身につけるといいかもしれない


参考までに、失敗まではいかない写真も何枚かあったので多少レタッチをしたものを掲載する。

















撮影・執筆:2106bpm