見た目はおいしそうな南国のフルーツのような実がなるが、かなり毒性の高い常緑樹が、石垣市内の県道沿いに街路樹として植えられている――。そんな記事が2018年8月7日付の沖縄タイムス電子版で報じられていた。

「オキナワキョウチクトウ(ミフクラギとも)」というキョウチクトウ科の樹木で、種子や樹液に猛毒が含まれているという。自然に存在する植物である以上、有毒なものも当然あるのだろうが、なぜわざわざ街路樹として植えてあるのだろうか。


花の見た目も美しいが、有毒です(BotBlnさん撮影, Wikimedia Commonsより)

県でも注意喚起を行っているが

オキナワキョウチクトウが危険な存在であることは、沖縄ではよく知られていることのようで、ツイッター上では以前から注意を促すツイートが散見される。

挙がっている実の写真を見ると、確かにマンゴーのような形状でリンゴのような色合い。何の知識もなければ、「おいしそうなフルーツだ」と考えてしまいそうだ。沖縄県内でも、2013年に幼児が誤食し、緊急搬送される事故が起きている。

さすがに、いきなり実を拾って食べる人はいないだろうが、触るだけでも十分危険だ。樹液や実を触った手で目をこすると腫れることがあるため、「ミフクラギ(目が腫れる木)」という和名が付いたとされている。

それにしても、なぜそんな樹木をあえて街路樹にしたのだろうか。Jタウンネット編集部が詳細を確認するため、石垣市内の県道を管理している沖縄県土木建築部・八重山土木事務所に取材を行ったところ、担当者は次のように話してくれた。

「オキナワキョウチクトウが有毒な樹木で危険であることは当然把握しており、県としても危険性を認識しています。県道沿いに街路樹として人為的に植えられたものに関しては、有毒で危険であることを訴える注意看板を出し、樹木ごとに実も食べられない旨を明記した注意ポスターを取りつけています」

ただ、街路樹になった明確な経緯は不明だ。石垣市内の県道の場合、最近植えられたわけでもなく、植えた時期や樹木のデータは残っているが、「なぜオキナワキョウチクトウにしたのか」までは記録されておらず確認できないという。

「石垣市に限らず、オキナワキョウチクトウは街路樹、防風林として沖縄本島にも広く植えられており、人が植えたのではなく、自然に生えているものも多数存在し、地元ではよく知られた存在です。何か特別な理由があるわけではなく、身近で丈夫な樹木だったので街路樹に用いられたのかもしれません」

たしかに、同じキョウチクトウ科のキョウチクトウは大気汚染や乾燥に強く、街路樹としてよく植えられるとされている。

記者の地元広島市では、原爆投下後にいち早く生えた植物として復興のシンボルとなり、市の花になっていた。オキナワキョウチクトウも頑強な樹木なのかもしれない。

しかし、注意喚起をしているとはいえ、身近に有毒な植物があると住民などから不安に思われないだろうか。土木事務所の担当者も「地元から危険ではと指摘されることはある」としつつ、こう話す。

「県として現状では、オキナワキョウチクトウを伐採するといった対策は考えていません。注意喚起をしつつ、台風などで倒れたものや枯れたものは撤去していくという対応をとっています」

この夏沖縄に行く予定がある読者の方は、道端でおいしそうな南国フルーツを見かけても、むやみに拾ったりせず、冷静に注意表示などがないか見て欲しい。