ソニーがフルサイズミラーレスで世界での成功を掴んだ 手軽に使える4200万画素ミラーレス「α7R III」の神髄とは

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ソニーは昨年、ミラーレスカメラの新カテゴリーとなる「α9」、秋には「α7R III」、そして今年に入って「α7 III」を発売した。
主力カメラの完成度を高めた魅力的な製品群で、今、攻勢をかけている。

そんななか、カメラ大手メーカーであるニコンは7月23日、自社サイトにてミラーレス市場に参戦を示唆するティザー動画を公開し、こちらも話題を呼んでいる。

このカメラのイメージセンサーサイズは、35mm判フルサイズ機ではないかという憶測もされており、尚かつこれまで一眼レフカメラで使用してきた「ニコンFマウント」ではない新マウントに移行となるのは確実であるため、いよいよニコンも重い腰を上げてミラーレスの市場を取りに来たと思われる。

日本経済新聞が公開している「ひと目でわかる世界シェア 市場争奪の構図」において、レンズ交換式カメラは日本がシェアトップではあるものの、
1位 キヤノンが49.1%のシェアを獲得しさらに+3.9の伸びがある。
これに対して、
2位 ニコンは24.9%のシェアながらも-0.6の減となっている

さらに
ソニーは、2010年にこれまでのαシリーズとは異なるミラーレスカメラを投入し製品群を広げたことで13.3%から+2.9と成長し、勢いを見せているのだ。

これまでソニーをはじめとする小型ミラーレスカメラは、日本市場は好調だが、世界市場では振るわなかった。
しかし、ここ数年、
・カメラの飛躍的な性能向上
・レンズラインナップの充実
・動画撮影機能が時代にマッチ
といった追い風もあり、世界市場でも成功し、その勢いはとどまるところを知らない。

そんな勢いに乗っているソニーのミラーレスは、大きく分けて2つのカテゴリーがある。
1つめは、イメージセンサーがAPS-Cサイズの「α6000/5000」シリーズ
初代のNEXシリーズから続くソニーらしいコンパクトなボディが特徴で、カジュアルで高性能な製品を揃えている。

2つめは、フルサイズの「α7/9」シリーズだ。
メインストリームのα7シリーズは現在第3世代目を迎え、着実に進化している。
市場ではベーシックモデルの「α7 III」と高画素モデルの「α7R III」がそれにあたる。α7シリーズのラインナップに高感度モデルの「α7S」があるのだが、こちらはまだISO409,600で撮影可能な第2世代目の「α7S II」が最新モデルにあたる。

ソニーには、α7シリーズのように様々な静止画撮影・動画撮影に特化したモデルのほかにも、
・スポーツ撮影などの動体撮影
・静かな舞台撮影に特化した静音の電子シャッターで高速連写が可能
といった「α9」もラインナップしている。

α9は、電子シャッターでも歪みが少ないイメージセンサーを用いることで秒間20コマの無音・無振動連写を可能としている。これはソニー独自のイメージセンサーによるもので、一眼レフカメラとは全く異なる発想を持つ、ミラーレスならではのカメラなのだ。

そんな勢いのあるソニーから、今回は、α7の特徴でもある高画素モデルのα7R IIIについてその魅力を探っていきたいと思う。




α7R IIIは先代の「α7R II」と同じ有効画素数約4240万画素のイメージセンサーを搭載する。写真の解像度は7952×5304ドットもあり、その高精細は4Kテレビのさらに先の8Kテレビ(7680×4320ドット)でも表示しきれないほどである。

プロの印刷用途にも使えるのはもちろんだが、ポートレート撮影や風景撮影などハイアマチュアにも人気がある。また高画素機は連写に弱いという常識を覆すかのような、被写体を追いながら秒間10コマの連写で撮影することも可能なのである。

価格はオープンプライスながらソニーストアの価格が349,880円(税抜)。
流石に、ちょっと買って見ようかという価格ではない(※価格は2018年8月調べ)。
とはいえ先代モデルの初値は約42万円もしていたので、かなり攻めた価格設定である。

先代より使いやすく完成度を高めながらプライスダウンしたのは、前述したニコンの高画素モデル「D850」の約35万円という価格にあわせた戦略的なものと捉えることができる。

α7R IIIの強みは静止画だけではなく、4K動画撮影も高精細かつ、フルサイズならではのボケを活かした写真のような美しい映像が楽しめる。特にソニーはプロの使用も考慮したシステム作りを行っており、そのハンドリングの良さからMV(ミュージックビデオ)などでも使用されている。

α7R IIIは本体だけで、4K HDR(ハイダイナミックレンジ)の撮影も可能で、新たな撮影ニーズにも応える懐の広さが魅力である。

さて、4200万画素ともなると静止画でも1つのファイルサイズが大きくなる。特にイメージセンサーの情報をそのまま記録したRAWデータともなると、SDカードや保存先のPCのストレージもあっという間に埋まってしまう。

こうしたデメリットがあるが、カメラユーザーの我々が最も得たいもの=後々に残せる高精細な写真 このためには避けて通れない問題でもある。




α7R IIIは、イメージセンサーの前にミラーボックスがないため、薄くて軽い。これがデジタル一眼レフにはないアドバンテージである。

一方で、イメージセンサーは35mm判フルサイズと、デジタル一眼レフと同じサイズとなってしまうため、カメラシステムにおける小ささというアドバンテージが薄れてしまうのだ。

特にソニーは光学設計にこだわった「GM(ジーマスター)」レンズや「ZEISS」レンズをラインナップしており、ボディの小型化とは逆行したレンズの大型化も進んでいる。

一見、ちぐはぐしたカメラとレンズの関係だが、実使用においてはコンパクトなボディは持ち運びが楽であり、荷物を減らすことができる魅力は十分に発揮される。

また、α7R IIIの高画素は、APS-Cレンズを使用することでコンパクトな運用も可能となる。APS-Cレンズを使用した際の解像度は5168×3448ドット。画素数にして約1800万画素であり、これだけでも十分とも言える。散歩ならAPS-Cレンズを使ってコンパクトさを堪能するのもオススメだ。

そのAPS-Cレンズには、コンパクトなズームレンズ「Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS」や単焦点レンズ「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」などもあり、フルサイズレンズにこだわらずに様々なレンズを柔軟に使うこともα7R IIIを楽しめることも、大きな魅力といえるだろう。

さて、今や10万円以下でデジタル一眼レフカメラが購入できる。
それなのに、なぜα7R IIIは30万円を超えるのだろうか?
と疑問をもたれる人もいるのではないだろうか。

シンプル考えれば、価格が高い、そう感じるのは普通だろう。

α7R IIIの高価格で占める割合が大きいのが、4200万画素のイメージセンサーだ。
このイメージセンサーの高画質を効果的に得られるよう、光学式5軸ボディ内手ぶれ補正を搭載する。これによって誰でもが手持ちで高画質かつ高精細な写真撮影が楽しめる。

実は、この構成は、少し前であれば考えられないことだった。
高画素機は三脚がないとブレが目立って使い物にならないと言われていたこともあったからだ。
ソニーは先代モデルでその常識を覆し、7R IIIでより完成度を高めることに成功している。


コンパクトなボディながら簡単に4200万画素の高画質で記録できる



奥の方を拡大してみると、高精細に壁面のレンガひとつひとつが描写されていることがわかる





また、プロ仕様の50万回の耐久性をもつ新開発の低振動メカシャッターや防塵・防滴設計(※水やホコリの侵入を防ぐ構造であり完全防水ではない)、約369万画素の高精細なビューファインダー「Quad-VGA OLED Tru-Finder」を搭載するなど、パーツ一つ一つにハイスペックなものを使用している。

こうした部品の積み重ねが、30万円を超える価格の要因である。
逆に言えば、プラスチックボディに小さなイメージセンサーを搭載し、耐久性やボタンフィーリングなどのコストを下げていけば、安いカメラも作ることができる。

実際には様々な場所・環境で撮影することから、最高の一枚を残すための30万円という価格に購入者は納得していると言う訳である。なお、これは本体だけの話しであり、1本30万円を超えるハイエンドレンズを揃えていくとあっという間に100万円を超える世界となる。




ユーザー視点でみれば、最高の一枚を撮るための機材選びとしてα7R IIIが魅力的であるのは確かだ。そして、高画素機を誰でも簡単に取り扱いできるようにハードルを下げたのも嬉しいところである。

そしてソニーは、カメラだけではなくその高画質を記録できるレンズシステムの開発に力を入れることでここまで市場を大きくしてきた。

こうしたソニーの成功と勢いに乗るべく、ニコンもミラーレス市場に本格参戦しマイナスからのシェア回復を狙っているのだ。

果たしてニコンは、完成度が高まったソニーのα7R IIIを超えるような魅力的なカメラ、そしてシステム作りができるのか、そこに注目するとともにソニーの次なる攻めの一手にも期待したい。


執筆  mi2_303