<アスリートの摂食障害(6)>

 人間が生きる上で欠かせない3大栄養素。その1つである糖質(炭水化物)は体のエネルギー源で、アスリートには欠かせないものだ。この糖の吸収を穏やかなものとし、体内で長くエネルギーとして持続させる「スローカロリー」という考え方が、注目されている。

 もともと糖は、他の栄養素に比べて体内吸収が早いという特徴がある。早食いなどの要素が加われば、そのスピードはさらに増し、急激に吸収されるものの、すぐにエネルギーがなくなってしまう。一般人よりも多くのエネルギーを長時間必要とするアスリートにとって、非常に効率が悪い。また、急激に血糖値が上昇してインスリンの過剰分泌を招き、体への負担がかかる。

 神経性やせ症やその予備軍となるやせ形の選手も注意が必要。6月に行われた「世界摂食障害アクションデイ2018」で、一般社団法人スローカロリー研究会の宮崎滋理事長(東京医科歯科大臨床教授)は「やせた選手はグリコーゲン(エネルギーを生み出すために必要な物質)の備蓄がほとんどないため、すぐにパフォーマンスが落ちます」と説明した。

 このような状況を防ぐとともに過食を抑え、また血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)の変動を緩やかにし、長時間のエネルギー持続効果が期待できるスローカロリーは、以下のような方法で実践できる。

(1)食物繊維の多いものを先に食べる

 サラダなどの野菜やナッツなど、食事の際に食物繊維が多いものを最初に食べることで、小腸からゆっくり消化吸収される。続いてタンパク質豊富なおかずを食べ、炭水化物は最後に食べる。

(2)ゆっくりと食べる

 食べ始めてから脳の満腹中枢が働き始めるまでには約20分かかる。よくかみ、時間をかけて、ゆっくりと食事をとるだけでも消化のスピードを遅らせることができる。

(3)糖質の量と質を考える

 血糖値の上昇を緩やかにする食品を選ぶ。

 スローカロリーは生活習慣病や動脈硬化の予防にも適していると言われている。ゆっくり時間をかけて食べ、ゆっくり消化吸収させる。この規則正しい生活を送ることが、摂食障害の予防につながる。【青木美帆】