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東京医科大(東京・新宿)が入試点数を不正に操作し、女子と多浪の受験生を差別していたとされる問題で、東京医大は8月7日午後5時から都内で会見を開いた。行岡哲男常務理事は「社会の信頼を大きく損ねた。受験生の皆様、全ての大学の皆様に改めて心よりおわび申し上げたい」と謝罪した。

●不合格者に「誠意もって対応」

東京医大の入試不正は、東京地検特捜部による文科省汚職の捜査過程で発覚。文科省の前科学技術・学術政策局長である佐野太被告(受託収賄罪で起訴)が、事業の対象校選定で大学に便宜を図る見返りに、佐野被告の息子の入試点数を不正に加点し、合格させたとされる。

東京医大が8月7日に公表した資料によると、今後、女子と浪人生の得点調整は「根絶する」と決定。元文科省局長の息子(現1年生)については「事業における対価であることも指摘されている。このようなことも考慮しつつ、教授会において慎重に検討する」とした。

不合格者への対応については、「誠意をもって対応する」としつつ、「全てを精査できたわけではない。得点調整の影響で不合格となった可能性のある者への対応を教授会において検討する」と記すにとどめた。

会見では、不合格者を今後追加で合格とするのかどうか質問が出た。宮沢啓介学長代理は「追加合格、私自身はそういう方向でいる。現在の教授会で異論を唱える者はまずいないのではないか」と述べた。一方、入試関連資料のほとんどが特捜部に押収されたとして、「残った資料が限られている。本来は早急に対応したいところだが、時間がかかるかもしれない」と話した。

東京医大の一般入試を受けるには6万円の入学検定料がかかる。「得点調整があることを知っていれば、そもそも受験しなかった」と考える人も少なくなさそうだが、入学検定料の返金については「検討する」(宮沢学長代理)とした。また、今後、過去の受験生の相談に応じるための専門窓口を設置していく考えも示した。

●得点調整「長年にわたる悪しき『伝統』」

内部調査委員会(委員長=中井憲治弁護士)は、入試不正は臼井正彦・前理事長(贈賄罪で在宅起訴)が主導し、鈴木衛・前学長(同)も追従していたと認定。「合格を依頼された受験生が実際に合格した場合、大学に寄付金を納入してもらうほか、個人的に謝礼を受け取ることもあったようだ」とした。

内部調査の調べでは佐野被告の息子は、不正加点により75人のうち74位で合格したことがわかった。また、2017年度と2018年度の入試で計19人に対する加点が確認されたという。

また、女子(現役浪人問わず)と多浪の男子受験生を差別する得点調整について、「長年にわたり、いわば悪しき『伝統』のように行われていた。受験生に禁じていた『試験の公平性を損なう行為』に自ら手を染める行為であることは大学の自殺行為に近い」と断じた。

東京医大による会見前、先んじて同日開いた会見で中井委員長は「社会的影響は大きい。調査結果は辛口の内容だが、ガバナンス構築の前提は不祥事の事実認定だ。謙虚に意識改革をすることが必要で、意識改革なくして再発防止はない」と指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)