自民党の杉田水脈衆議院議員による"生産性"発言が波紋を拡げている。

 発端となったのは、月刊誌『新潮45』の特集『日本を不幸にする「朝日新聞」』に杉田議員が『「LGBT」支援の度が過ぎる』と題して書かれたもので、以下のような記述がある。

 『例えば、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同を得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか。にもかかわらず、行政がLGBTに関する条例や要項を発表するたびにもてはやすマスコミがいるから、政治家が人気とり政策になると勘違いしてしまうのです。』(『新潮45』より)

 自民党は性的少数者への理解を広げる公約を掲げていることから、杉田議員の発言はそれとは矛盾した形になる。しかし杉田議員はその後も「自民党に入って良かったなぁと思うこと。『間違ったこと言ってないんだから頑張ってればいいよ』とか『胸張ってればいいよ』とか大臣クラスの方をはじめ先輩方が声をかけてくださる」など、LGBTやその支援者を煽るかのようなTweetもしていた(現在は削除)。

 30日放送のAbemaTV『 AbemaPrime 』では、この問題について議論した。

■金子恵美前衆議院議員「どんなところで仕事をしてきたのかなと思ってしまう」

 「言葉選びにセンスがない。"生産性"という言葉を持ち出したことで、政治家として社会的弱者への配慮がないということを露呈した」

 そう杉田議員に苦言を呈するのは、自民党の金子恵美前衆議院議員だ。「障害をお持ちの方、病気の方、結婚しても子どもを産まないという選択をした方もいらっしゃる。恐ろしいこと。自分の尺度、自分の価値観以外は受け入れない議員が与党にいるということで、国民の皆さんに"このままで制度、法律は大丈夫か"と思わせてしまった責任は大きいと思う。そもそも税金というのもミスリード。LGBTの方々に対する偏見やハラスメントのない社会にしていこうという話であって、党内でも具体的な公費を投じるという議論まではしていない。それなのに、国民の皆さんが反応しやすい言葉を使ったことも非常に問題だ」。

 杉田議員は過去にも様々な発言が問題視され、炎上をすることもしばしばだった。2014年10月の衆議院本会議では「女性が輝けなくなったのは、冷戦後男女共同参画の名のもと伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因する。男女平等は絶対に実現し得ない反道徳の妄想だ」と述べた。また別の日の衆議院内閣委員会では「私は女性差別というのは存在していないと思う。(女子差別撤廃条約は)日本の文化や伝統を壊してでも男女平等にしましょうというようなことが書いてあって、これは本当に受け入れるべき条約なのかどうか」と述べている。

 金子氏は「私はひたすら女性差別を感じながら政治活動をしてきたので、どんなところで仕事をしてきたのかなと思ってしまう。政治の世界に身を置いていて、"女性差別がない"と言えるというのは余程いい環境だったんですね、と。性差があることを認めつつ、それでも権利は平等だと政治家として言わないのは本当に驚くべきこと。しかし、そういう杉田議員の発言が、"保守"だと自称している一部の人たちには称賛されるのだろう。稲田(朋美)さんも言っているが、保守の捉え方を間違っていると思う」と話し、「小選挙区で戦っている仲間の議員からは、自民党もこういう考え方をしているのか思われ、地元への説明に困っていると聞く。非常に迷惑だと話していた」と明かした。

 実際に、稲田朋美衆議院議員は27日、「(同性カップルは)『生産性がない』と切り捨てることは、性的指向と性自認の理解増進に取り組む自民党の方針に反している。私は多様性を認め、寛容な社会を作ることが『保守』の役割だと信じる」とツイートしている。金子氏も「保守こそ、改革しながら作り上げてきた。時代と共に考え方も含めて変わっていかないといけない」と訴えた。

■LGBTからは野党幹部のデモ参加に異論も…江川達也氏は「表現は妥当」

 一方、先週金曜日には、野党の幹部も参加した抗議活動が自民党本部前で行われているが、SNS上には「杉田議員辞職を求めるデモは、決してLGBT当事者の総意ではないことを知って欲しい」「これ以上『LGBTは面倒な存在』なんて思われたくない」「LGBTを政治に使うな。誘導するな」という当事者からの声もある。

 金子氏は野党の対応について「パフォーマンスのために政権批判で使ってしまうと正しいメッセージが伝わらなくなってしまうのが非常に残念。署名をいっぱい集めて大臣に持っていくなど、もっとやり方がある」と指摘した。

 焦点になっている「生産性」という表現について、漫画家の江川達也氏は28日、自身のFacebookに「自分は、杉田水脈議員の発言は何の問題もないと思う。子供の生産性から見れば妥当な発言だ」と書いている。

 江川氏は「人権とかそういうものは置いておいて、LGBTのカップルも子どもを育てることができるが、出産に関して言えばゼロであると表現するのは妥当。言ってしまえば、一夫一婦の生産性だって低い。論理的には一夫多妻制の生産性が一番高いし、日本の伝統もそうだったとも言える。皇位継承の問題も、昭和天皇が慣習を打ち破って一夫一婦制を始めたからだ。僕はLGBT的な漫画も描いているし、学校で古典を山ほど勉強させればいい。江戸時代の『東海道中膝栗毛』の弥次さん喜多さんだって同性愛なんだから。杉田議員は、あえて過激に言うことで炎上する手法を使っているのだろう」と話した。

 ファッションデザイナーの渋谷ザニー氏は「僕みたいに海外にルーツを持っている人に対して、こういう問題に"生産性"という言葉を使うなんて教えられないはずだ。現実にはアップルの社長や有名なファッションデザイナーやアーティストにも様々な性的指向を持っている人たちがいて、何億、何万もの雇用を生んでいる。杉田議員は社会を見るべきだと思う。まずはLGBTのお友達を見つけ、話を聞いて、言葉を選んだらいいと思う」と指摘していた。

 議論にあたり、『AbemaPrime』では、杉田議員の事務所に取材を申し込んだが、現在は殺害予告やストーカーなどの被害によりコメントを差し控えているとの回答だった。金子氏は「議員として主張があって、正しくメッセージが伝わっていないと思うであれば、中継をつなぐ方法もあるので、メディアに出て説明するのが本人にとっても良かったと思う」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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