ほぼぶっつけ本番のテストマッチながら、随所で見せ場を作った大迫。指揮官の期待通りのパフォーマンスを披露した。(C)Getty Images

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 現地日曜日、新天地であるヴェルダー・ブレーメンに初合流した大迫勇也が、なんと翌日に急きょ実戦デビューを飾った。
 
 月曜日に行なわれたオランダ1部、VVVフェンロとの練習試合だ。かつて本田圭佑や吉田麻也が所属したチームが相手で、地元紙『Weser』は「さすがにオオサコの出場はないか。あっても最後の数分だろう」と見込んでいた。実際にスタメンを外れ、ベンチスタート。じっくりとチームメイトの出来をチェックしていた。

 
 アクシデントが起きたのは25分過ぎだった。ダフィー・クラーセンのパスを受けたマルティン・ハルニクが敵DFを3人抜いてブレーメンに先制点をもたらす。新加入コンビによる鮮やかなゴールシーンだったが、ここでハルニクが左のハムストリングを傷めてしまう。フロリアン・コーフェルト監督に呼ばれたのは大迫だった。大急ぎでウォーミングアップを始め、28分にピッチに投入されたのである。
 
 配備されたのは4-3-3システムの右ウイング。驚かされるのはその順応性だ。ベンチで観ながらイメージを掴めていたのか、クラーセンや左SBマルコ・フリーデルのパスに鋭く反応して裏へ抜け出すなど、さっそく立て続けに見せ場に絡む。44分にはパワフルなボール奪取からショートカウンターを引き出した。チームは50分にCKから同点とされるも、大迫はその後もピッチを所狭しと駆け回り、コンディションの良さを窺わせたのだ。

 
 71分にブレーメンは攻撃陣の3枚替えを敢行。39歳の出戻りFWクラウディオ・ピサーロらが投入されるなか、大迫は1.5列目あるいはトップ下に近い位置取りでプレーし、クラーセンが去った中盤でパスワークを促進した。コーフェルト監督は前日、「オオサコは単なる古典的なストライカーではない。スピードがあり、なにより圧倒的な技術がある。さまざまな局面でチームに特大の効果をもたらしてくれると信じている」と称えていたが、その言葉通り、早々に“オプション”でもテスト起用された格好だ。
 
 スクランブル出場となったテストマッチで62分間プレーし、大いに存在を示した大迫。幸先の良い滑り出しと言っていいだろう。
 
 今季のブンデスリーガは8月25日に開幕し、ブレーメンはハノーファー96と対戦する。大迫はいきなり原口元気、浅野拓磨の日本代表コンビと雌雄を決するのだ。