私たちはこれまでに散々、LINEやデートのHow toを学んできた。

しかし、LINEやデートに漕ぎ着けるまでに、まずは“出会い”という最初の関門が待ち受けていることを忘れてはいないだろうか。

初対面であんなに盛り上がったはずなのに、LINEは既読スルー。仮に返事が来たとしても、いつまでたっても前に進まない。そんな経験、無いだろうか?

“出会い”を次のステップに繋げる方法を学ぶため、あなたに宿題を出していこう。

さて、今週の宿題は?




僕が由紀に出会ったのは、友人である智子からの紹介だった。

「俊介さんが好きそうな子がいるから、紹介させて下さい!」

会社の近くまでやって来た智子に、ランチをご馳走している時だった。急に、智子が可愛い子を紹介してくれると言い出したのだ。

「女子の"可愛い"は信用ならないからなぁ〜」

そう冗談半分で言いながらも写真を見せてもらうと、たしかに小動物系で可愛らしく、かつ僕のタイプだ。

「多分、由紀も俊介さんのことタイプだと思うんですよね〜。身長も高くてイケメンだし、今ではこんな立派な会社も経営しているし。彼女作る気ないんですか?」

僕には、多少遊んでいる子はいるものの、ここ最近は真剣に長く交際している子がいない。毎回良い感じになるのに、一歩先に行かないのだ。

「彼女を作る気はあるよ!」
「OK、そしたら来週三人でご飯に行きましょう」

智子の報告によると、向こうも僕がタイプだったらしい。早速、翌週の土曜に食事会が開催されることになった。

しかし最初の印象は良かったはずなのに、次のデートに繋がらないどころか、友達枠にさえ入れてもらえなかったのだ。


会う前の印象はパーフェクトだったのに…。それを一瞬で覆してしまった、男のとあるマイナスポイントとは?


宿題1:出会って10分以内に、女が気になったポイントを述べよ


僕は三人の食事の場として、代官山にある鉄板焼きを予約した。みんなで美味しいワインと肉を囲んで話せば、距離も縮まる気がしたから。

お互いが既に好印象を持っている同士での初対面は、緊張する。

とりあえずいつも買い物に行くブランドで買ったロゴTシャツとデニムでカジュアルに、でも時計やベルト、その他の小物類はきちんとした物をつけて、食事会の会場である『鉄板焼き 花』へと向かった。




僕が店へ着くと女性陣は既に椅子に座っており、ニコニコと笑顔で迎え入れてくれた。

目の前に座る由紀は写真よりも可愛くて、僕は無駄に早口になってしまう。

「こんばんは!智子ちゃん、こんな可愛い友達がいるなら早く言ってくれればいいのに〜。僕は俊介と申します。お酒は飲める人かな?もしよければ、ワイン、ボトルで頼んじゃってもいいかな?」

-もっと落ち着きを持って話せばよかったかな・・・

そんなことを考えながらワインを選んでいると、由紀の視線をひしひしと感じる。多分、ジャッジされているのかもしれないが、見た目はそこまで悪くないはずだ。

「とりあえず俊介さん、紹介させてください。こちらが話をしていた由紀です。由紀、俊介さんです」

「初めまして。由紀です。今は赤坂にある会社で事務職をしています」

簡単な自己紹介を終え、お互いの仕事や趣味の話になる。

「俊介さんって、良いお店知ってそうですよね?このお店も素敵だし、レストランとかすごく詳しそう!」

「全然だよ〜。ここは友達がオススメしてくれたから知っているんだけど、普段一人で食べる時はカジュアルに済ましちゃうし。誰かといる時だけ、ちゃんとした店へ行くようにしているんだよね」

クライアントや女性と食事へ行く時は、もちろん良い店を予約する。しかしその一方で、自分一人の時だと料理をするわけでもなく、つい食事がおざなりになってしまうのだ。

「へぇ意外ですね。毎回きちんとしていらっしゃるのかと思いました」

「全然。食事に関してはそこまでこだわりがないんだよねぇ。だったらその分、洋服とかにお金を使うかも」

「そうなんですね!だからそんなにオシャレなんですね。俊介さんが履いている靴素敵だな〜って思っていたんです」

由紀は某ブランドのスニーカーを褒めまくってくれた。

そんな風に、会話は楽しく続いていたし、良い感じだった。しかしこの後二人のデートに誘ったところ、アッサリ断られてしまったのだ。


由紀が“彼氏にはしたくない”と思った理由、分かりますか?


宿題2:女が男を褒める時。その真意は何かを答えよ


すっかり話も盛り上がり、気がつけばワインが空いている。

「もう一本頼もうか?」

そう言ってワインボトルを手に取った時だった。

「俊介さん、すごく良い時計されていますね・・・!」

ボトルに伸ばした腕にしている時計を見て、由紀の目が一瞬輝いたのを僕は見逃さなかった。

一応、値段は300万くらいする時計だ。

男の目の前で、時計を堂々とチェックして値踏みするとはさすがだな、と驚くと同時に、褒められてちょっと嬉しくなる。

この時計は先日買ったばかりのお気に入りだったから。

「お、さすが。由紀ちゃん時計に詳しいの?これなかなか手に入らなくて結構探したんだよね」

「詳しくはないですが、そのブランドの時計なら誰でも分かりますよ〜。すごいですね!さすがです!」

キラキラと目を輝かせる由紀。彼女の頭の中でパチパチとそろばんが鳴っているのが聞こえた気がした。




「由紀ちゃんって面白いね」
「そうですか?俊介さんはいつもどこでお買い物されるんですか?」

そこから、僕の大好きなブランドやセレクトショップについて一通り話すと、由紀は身を乗り出して聞いている。気がつけば、智子そっちのけで盛り上がってしまっていた。

「ごめん、つい熱くなっちゃって」

慌ててフォローを入れると智子は笑っていた。

由紀のように、こんなにも初対面で話が合う人は珍しかった。僕の求めるタイプはまさに、ただ一方的ではなくきちんと対話のできる相手なのだ。

由紀は聞き上手な上に話も面白く、最高だった。お互い会う前から好きなタイプと公言しており、かつ好印象。実際に会ってもこんなにも楽しい時間が過ごせる。

きっと由紀も同じ気持ちでいるだろう。

そう思い、僕は帰り際、智子がお手洗いに立った隙に由紀を誘ってみた。

「良ければ今度、デートしない?」

しかし、由紀は全く想像していない返答を返してきたのだ。

「ふふ。みんなで行きましょうね」

アッサリと断られたデートの誘い。

その後何度かアプローチしてみるものの、二人きりで会ってはくれない。

僕は、話も面白いと言われるし外見もそこそこのはず。ステータスだってある。加えて、食事会の時は盛り上がっていた。

しかし一体、僕のどこがダメだったのだろうか?

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実は出会って10秒で決まっていた!?