【アンダー10万円で選ぶ 身の丈に合った腕時計

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もちろん、時間を知るだけだったら、今の時代、スマートフォンで十分だ。じゃあ、腕時計を着ける理由って? それは、オトコが身に着けられる、数少ない装身具のひとつだから。実際、社会人になって年月が経ち、「そろそろ、いい時計でも着けてみようか……」なんて考えが頭の中をよぎる人は多いはず。それは「人に見られる」ことの重要性を理解しているからだ。だからこそ、オトコはいい時計に興味を持ち始めるのだが一方で、腕時計に対して「ハードルが高い」と感じてしまう人が多いのも事実。この特集では「ちょっぴり頑張れば手に入る」アンダー10万円の腕時計を中心に紹介。「いい時計=ウン十万円、ウン百万円の高級時計」と捉えがちだけど、今や、アンダー10万円でも「ちゃんと見られて、満足度の高い」モデルは多い。さぁ、そろそろ「身の丈に合ったいい腕時計」を腕に、毎日の気分を上げていこうか!

スマートウォッチは時計として買いか?





スマートウォッチは時計の進化系か、それとも、スマートフォンの進化系なのか? 2系統の流れを汲むスマートウォッチを、IT業界と時計業界、それぞれのご意見番である本田雅一さんと広田雅将さんに語ってもらった。

【PROFILE】

広田雅将さん:腕時計専門誌「クロノス日本版」編集長

時計ライター/ジャーナリストとして活動する傍ら、2016年から高級腕時計専門誌『クロノス日本版』の編集長を兼務。国内外の時計賞の審査員を務める。本誌では「身の丈に合う腕時計選び」を連載中。

本田雅一さん:ITジャーナリスト

ソフトウェア技術者からテクノロジー系ジャーナリストへと転身。雑誌やWeb媒体で、オーディオ&ビジュアルやインターネットサービスからビジネス動向などまで、幅広い分野の記事を多数執筆。

広田:AppleWatchで作業効率があがりました

本田:Xperia Ear DuoとAndroidの組み合わせも◎



2人の対談は、そもそもスマートウォッチは、誰に向けて開発されたのかという話からスタートした。本田さんは「元々、時計に興味がない人、もしくは時計をしなくなった人」に向けられているのではないかと語る。

本田:ファンクションとしての腕時計は、時刻を知るためのものです。でも少し前なら携帯電話があり、今ではスマートフォンがいつも手元にあります。だから、若い世代の人たちは時計をしなくなったと言われています。そうした人たちに、もしかしたら時計をしてもらえるかもしれない、という製品がスマートウォッチなのかなと思っています。腕時計を買う人たちとスマートウォッチを買う人たちとは、基本、違う人たちなんだと考えています。

広田:その点は完全に同じ考えです。この前、独立時計師のフィリップ・デュフォーさんとお話する機会がありました。『街を見てみろよ、誰も時計なんかしていないだろ?』と……そして『スマートウォッチは腕時計を着けるという習慣付けの意味では良いコトだよ』と、デュフォーさんは言っていましたね。今は時計関係者の多くが、そう考えています。また、スマートウォッチは、既存の腕時計市場ではなく、新たな市場を開拓しているので、必ずしも脅威ではないとも考えています。

本田:私も最初は、スマートウォッチの出現で、腕時計の低価格モデルは減っていくと思いました。実用性重視のスマートウォッチは低価格帯ですから、低価格な腕時計は消えていき、スマートウォッチと高級腕時計の二極化が起きると考えたんです。ところが、スマートウォッチってファッションにはなりえないんですよね。実際に使っていくうちにそれが分かって、盤面のデザインを変えたりするうちに、徐々にファッションとしての時計に目覚めていく人が増えるだろうなと、考えが完全に変わりました。

広田:一方の腕時計も、機能を打ち出すことができないから、より装身具としての価値を高めようという方向で開発されるようになりました。タイメックスがいい例です。同社はクォーツの時計しか作っていなかったのに、機械式を出してきた。これは明らかにスマートウォッチの影響です。そもそもアップルがiPhoneを発売した時から、時計業界では深刻な反省がなされていたんです。当時のiPhoneは5万円ほどです。それで、あの高いクオリティを出してきた。そんなiPhoneよりも高価格で売っている腕時計が、質感で劣っていたらマズいだろうという反省です。Apple Watchでも同様のことが言えるんですよね。結果として、10万円以下の腕時計に魅力的なモデルが増えてきたんです。



本田:腕時計を専門とされている広田さんが、Apple Watchを使いこなしているというのも意外ですね。

広田:そうですね、スマートウォッチを使うことに抵抗感を感じる人も多いかもしれません。ただ、私は一般的な時計と同じように使っています。プラスして、手元で着信やメールが確認できるのは、とても便利ですよ。

本田:むしろデジタルデバイスなどに辟易している人たちにこそ向いているかもしれません。Apple Watchを使い始めると、iPhoneを使わなくなります。必要な情報は全て手元を少しひねるだけでチェックできるようになって、iPhoneを取り出すまでもなくなるんですよね。

広田:私もApple Watchを着けている日は、iPhoneの使用頻度が明らかに減って、作業効率が上がります。それに、インターチェンジャブルストラップによって、気分やTPOに合わせてバンドを簡単に取り替えられるのもいいですよね。この点も、Apple Watchが時計業界に与えた、大きなインパクトのひとつです。カルティエやヴァシュロン・コンスタンタンも同様のシステムを採用するようになりました。ところで、先日はApple Watch関連の新たな発表があり、その目玉となるアップデートはどんな点にあるんですか?

本田:watchOS 5に関しては、Siriがより賢くなる点です。Siriって音声アシスタントというよりも、今日はこんなことがありますよと、秘書のように先回りして教えてくれるんですよ。また、あるメッセージの通知に対して、どう返事をするかという複数の提案をしてくれるようになります。ユーザーは、いくつかの選択肢の中からひとつを選んでタップするだけ。いわゆる、サジェスト機能ですね。そうした機能がブラッシュアップされていけば、ますますiPhoneを取り出す必要がなくなりますね。

広田:もうスマートウォッチの中では、Apple Watchが頭抜けてしまっていますね。ただしAndroidユーザーに関していうと、どんな選択がありますか?

本田:スポーツ系で言えば、GARMINやカシオの『PRO TREK』がお薦めできます。ファッション系で言えば、見た目で気に入ったものを選ぶべき。他の選択肢としては、『Xperia Ear Duo』があります。時計ではなく、音声アシスタントに対応した完全分離型のイヤホン(ヘッドセット)です。基本、SiriやGoogleアシスタントと同じように、音声操作で電話をかけたり、メッセージを送ったりできます。この『Xperia Ear Duo』を使いながら、腕には、自分が本当に気に入った時計を、ファッションとして着ける。この組み合わせがベストでしょうね。



※『デジモノステーション』2018年8月号より抜粋。

text河原塚英信

photo下城英悟(GREEN HOUSE)