クルマとしての「格」は申し分ない

 もはやクルマがステータスシンボルだった時代は遠い昔のハナシになりつつあるが、それでもやっぱりいいクルマに乗りたいという思いがあるのがクルマ好きだろう。そこで今回は100万円前後で購入できるにも関わらず、ちょっとだけ見栄が張れてしまうクルマを紹介したい。もちろん、元々は高級車だった車種がほとんどだから、クルマとしての性能は折り紙付きのお買い得車ばかりだ。

1)トヨタ・クラウンマジェスタ(5代目 2009年〜2013年)

 クラウンのさらに上級車種として1991年に初代モデルが登場したクラウンマジェスタ。じつはクラウンの名前を冠していながらもペリメーターフレームを持たないモノコックボディであり、クラウンがフレーム車から脱却するためのテスト車両という裏テーマもあったようだ(事実、次の代からクラウンはモノコックボディとなる)。

 2006年にセルシオがレクサスブランドに移行してからは、トヨタブランドのフラッグシップとして(特殊な存在であるセンチュリーを除く)長きに渡って君臨し続けていたが、2018年4月をもって生産を終了。新型クラウンにはマジェスタは設定されないというアナウンスがなされている。

 そんなクラウンマジェスタの先代モデルとなる5代目モデルは、レクサス・LSにも搭載されていた1UR-FSE型 V型8気筒4.6リッターエンジンを搭載(2WD)。その余裕のある走り味はクラウンとも一線を画すものだ。そのクラウンマジェスタも100万円の予算で狙えてしまう。安いものは走行距離が多いものとなるが、法人使用されていたものはメンテナンスがしっかりされているものが多いので、そういった個体を狙いたい。

2)日産ムラーノ(2代目 2008年〜2015年)

 昨今のSUVブームは留まるところを知らないが、惜しくもその波に乗り損ねてしまったのが日産 ムラーノではないだろうか。もともとは北米市場で販売するために開発、販売されていたムラーノだったが、日本でも販売を希望する声が大きく、2002年に初代モデルが日本でもスタートしている。

 2008年には2代目モデルへとフルモデルチェンジを果たし、アウトドアテイストの強いエクストレイル、ミドルクラスクロスオーバーSUVのデュアリスと三者三様のラインアップとなった。しかし、これが顧客の分散を招いてしまったのか、初代モデルに比べると2代目モデルは販売面で苦戦を強いられることとなってしまった。

 そんな2代目ムラーノだが、搭載されるエンジンは3.5リッターV6のほかに、2.5リッター直列4気筒のモデルも存在し、こちらは2WD(FF)も用意されていた。そのため、SUV的な雰囲気だけを楽しみたいユーザーにもオススメできる。

 ちなみに正規輸入はされなかったが、2ドア化され、電動の幌を備えたクロスカブリオというモデルも海外では販売され、いうまでもなくこれはレンジローバーイヴォークコンバーチブルよりも先にリリースされたものだった。

3)三菱デリカD:5(現行 2007年〜)

 ミニバンの居住性とパジェロ譲りのSUVの走破性を兼ね備えた唯一無二の存在として、いまだに指名買いをするユーザーが多く存在するデリカD:5。モデルライフも10年を超え、間もなく新型の登場も噂されている同車だが、今年の春に行われた一部改良以前のモデルに関しては外観の差異がないため、手ごろな価格となった初期モデルを購入しても一目で年式を判別される可能性が低いというのも嬉しいポイントと言える。

 ただし、現在のデリカD:5のイメージリーダーとも言えるクリーンディーゼルモデルは2012年のマイナーチェンジで追加されたもののため、100万円の予算では少し届かないというのが実情だ。とはいえ、それまでの2.4リッターガソリンエンジンモデルでも4WD性能には大差がないので、道具としてガンガン使うには初期型の手ごろな価格のモデルのほうがあっているかもしれない。