画像はイメージです

写真拡大

 平成の初期は俗に言う「クイズ番組ブーム」だった。民放各局は、ゴールデンタイムに素人参加型のクイズ番組を多数放送していた。

 テレビ番組は人間の手で作られる。当然出題ミスはつきものなのだが、かつて同じ番組で3回も出題ミスをし、大クレームに発展した「放送事故」があった。

 放送事故があったのは1993年1月5日にフジテレビで放送された『FNS 1億2000万人のクイズ王決定戦!』という特別番組。全国の一般視聴者からクイズ自慢を集め、20人によるクイズ大会を行った。

 第1のミスはパート1の早押しクイズで発生した。問題は「110mハードル競技で、置かれているハードルの数は10台。では400mのハードルは何台? 」という問題。正解は10台で、答えた学生は「10台」と答えたが不正解とされ、次のステージに進むことができなかった。

 そのほか、「サッカーJリーグで、1試合に同時にプレーできる外国人選手は1チーム何人まで?」という問題では、正解は3人だが「2人」と出題側が間違えた(正解は当時のもの)。「国立大で最も南にあるのは琉球大。では最も北にあるのは?」という問題で北見工業大を正解とすべきところを旭川医大とする誤りがあった。

 同じクイズ番組で、出題した答えが3つも間違っていた、という事態は前代未聞だった。放送後、フジテレビには「解答が間違っているのでは?」との指摘が相次いだという。

 なお、この「事件」を報じた読売新聞によると本番組は録画番組であり、出題ミスに一部スタッフも気がついていたという。ただ、勝敗には影響しないこと、テロップを挿入するのが演出上難しいことなど事情があり、映像には特に手を加えることなく放送したという。

 なお、同紙はミスが発生した理由について、チェックするスタッフの少なさが原因だと指摘している。他の番組ではチェック用のスタッフを数多く用意し、さらに複数の百科事典を確認し、専門家にも取材して問題を確認していくという。この番組が起こしたミスは、確認作業への意識の低さが原因だとされている。

 クイズひとつ作るのもなかなか大変なのである……。

文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)