恋がうまくいくかどうかは、出会った瞬間に大きく決まっているといっても過言ではない。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しないのだから。

どうしたら、最初のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は、食事会の後、女性が急にLINEで素っ気なくなった理由は?という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




誠と出会ったのは、経営者の知人が開催したパーティーだった。

そこには若手経営者たちが集っていた。会場に溢れる“意識高い系”の男性たちの集団に、私は一瞬慄く。

きっと、将来のスター候補を探している女性には格好の出会いの場なのかもしれない。

しかし若さと熱気が溢れ出ていて、その暑苦しさに私は人酔いしてしまった。

逃げるように一人離れて静観していると、“大丈夫ですか?”と話しかけてくれた人がいた。それが、誠だったのだ。

「僕、誠って言います。お名前は何て言うんですか?今日はどなたの知り合いで?」

ちょっと体の線は細いものの、爽やかな誠に私はちょっと心が揺らぐ。

「奈美です。今日は友達から誘われて来たんですけど、業界が違うから全然知り合いがいなくて。誠さんも、起業家なんですか?」

「起業家なんて大袈裟ですけど・・・奈美さんは、お仕事は何をされているんですか?」

そこから二人で暫く話し込む。誠は若いのにしっかりしており、仕事に対しても熱心だった。

「良ければ今度食事でもいきませんか?二人があれだったら、みんなででも」

そんな自然な流れでLINEを交換し、私たちは4人で食事をすることになった。しかし時が経つにつれ、誠の“男気のなさ”が露呈していったのだ。


掴みは良かったのに。誠が犯していた3つのミスとは?


解説1:お店のチョイスは最高。LINEはセンスなし


翌日、早速誠からLINEが来た。食事の誘いかと思って開いたが、内容は至ってどうでもいい内容だった。

-誠:こんにちは!今日もいいお天気ですね。奈美さんは何をされていますか?僕は今カフェで本を読んでいます


本を読むのは良いことだし、私も読書は好きだ。

しかし、太陽光が降り注ぐお洒落なカフェのテラス席に置かれたアイスコーヒーの写真が送られてきて、少し引いた自分がいる。

-うわ、“意識高い系”だ・・・。ちょっと面倒くさい感じかしら?

日常の一コマを急にLINEで送られてきても、何と返信すべきか迷ってしまう。そこで私は、当たり障りのない内容を返す。

何だか嫌な予感がしながらも食事会の約束をし、その翌週には誠が予約してくれた『レストラン ナンペイダイ』へと向かった。

ここは高級住宅街・南平台に佇む邸宅レストランで、先月仕事関係の人に連れてきて貰って以来、すっかりファンになってしまった店だ。

豪勢な食材と共に提供されるコース料理の全てに魅了される。




「あれ?奈美ちゃん、もしかして来たことあったかな?」

しかし到着して早々、落ち着き払っている私を見透かし、誠が尋ねてきた。

「そうなんです、実は先月連れてきていただいて・・・」

本当ならば、“初めてです♡”と言うべきなのだろう。しかし、私ももう20代後半である。そんな嘘をつくより、素直に言った方が良いはずだ。

「そっか〜そうだよね!奈美ちゃんグルメ偏差値高いなあ。ここだったらまだ来たことないかと思ったんだけど、残念」

「でも、私このお店大好きで、また来たいと思っていたんです!贅沢な食材にシェフの素晴らしいコース料理は、何時来ても最高ですよね」

プライドの高そうな誠のため、一生懸命フォローを入れる。

「そうそう。最近美味しいお店が続々とオープンしているでしょ?奈美ちゃんはどこが好き?」

「え〜難しい質問ですね。たくさん良いお店があるから。でも私、全然詳しくないので、むしろ教えて頂きたいくらいです!誠さん詳しそうですもんね」

そこからレストラン談義で盛り上がっていると、突然、誠が真剣な表情になった。

「気になっている店があるから誘ってもいいかな?次は、二人がいいけど」

もちろん、良いに決まっている。私は嬉しくて思わず赤面してしまった。


ここまでは良かったのに・・・誠がやってしまったNG行為とは


解説2:どうアプローチして良いか分からない発言続出=面倒な男認定


「奈美ちゃんは、今彼氏いないの?結婚は?」

誠の質問に、心の中で“キタキタ”と思った。

「彼氏は半年前に別れちゃったんですよ。結婚は、考えないとなぁとは思っていますが...別に焦ってはいないかなぁ。そういう誠さんは?」

もはやこれはお約束の会話だろう。

当然、誠も私と同じような回答かと思っていた。しかし、彼の発言は予想とは異なるものだったのだ。

「ん〜僕は結婚願望がないからなぁ。いい人がいたら、って感じかな。あと自分から好きって言えないんだよね」

-え・・・?結婚願望、ないんですか・・・?

少なくとも結婚したいと願っている乙女の前で、この発言はない。

完全に遮断されたようなものだし、全く将来が見えてこない。むしろ遠回しに、“貴方との未来はないです!”と言われているようなものだ。

出会って早々、ここまでハッキリ言われると戦意喪失となる。

トリュフご飯を見つめながら、私は次の一手を考える。しかしここから更に、誠はとどめの一発を投げ込んできたのだ。




「僕さ、普段自分から連絡とかしなくて・・・。だから奈美ちゃん、特別かも」

「そうなんですか?じゃあ普段は追いかけられる一方ってこと?」

「いや、でも追いかけられたら追いかけられたで引いちゃうんだよね」

この発言に、自分の中でアラートが大きな音で発動した。

さっきは“自分から好きと言えない”と言っていた。それなのに、“追いかけられたら引く”とも言っている。

これではどうアプローチして良いのか分からない。押してもダメなら引いてみろとはよく言うが、押しても引いてもダメではないか。

きっと彼は正直に話しているつもりなんだろうけど、彼の厄介な恋愛観を聞かされたところで、こちらは白けていく一方だ。

時には、目の前にいる女性を喜ばせるための優しい嘘だって必要なのに。

-面倒な男だなぁ・・・

こう思ってしまったら、どんどん冷めていく。

若い時ならば恋の駆け引きは楽しいかもしれないが、ある程度の年齢になると、そんなものはいらない。

そして徐々に、これは遠回しに断られているのかな?という被害妄想まで広がっていく。

面倒な男は、ハッキリ言ってゴメンだ。そんな時間もないし、構っている暇はないから。

20代後半も過ぎると、恋愛はお互い素直でないと難しい。

女は女で結婚に焦るあまりこじらせていくし、男も男で傷つきたくないためにこじれていくのだ。



-誠:この前楽しかったね。ところで奈美ちゃんは最近忙しいかな?インスタで美味しそうな店行っていたけど、あそこ僕も行きたいなぁと思って気になっていた店なんだよね!


そして食事会後にずっと続く、誠からの日常会話に絡めたどうでもいい内容のLINE。

きっと、彼は断られるのも怖いし、自分から誘ったという履歴を残したくないのだろう。

-ハッキリ誘えばいいのになぁ。

良い年齢の男のこじらせは、可愛くもなんともない。

ただの面倒臭いチキン野郎だと気がついた瞬間、女は自然と離れていく。あまりにも拗らせているのが分かってしまうと、誘う気さえ失せるのだ。

その事実を、世の中の男性に教えてあげたいと誠からのLINEを見て考えていた。

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出会って10秒で「この人、ナシかも」判定をされてしまったワケ