遅かれ早かれ、ステップアップ移籍が望まれる中島。欧州カップ戦の常連であるポルトは理想的な移籍先と思われたが……。(C)Getty Images

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 現地時間7月20日、ポルトガルの全国スポーツ紙『Record』が紙面で大々的に報じたのが、中島翔哉のポルト移籍に関するニュースだった。すでに交渉を進めるうえでクラブ間合意に達しており、あとはポルトのセルジオ・コンセイソン監督が獲得のゴーサインを出せば、一気に話がまとまるだろう、と伝えたのだ。
 
 一方、移籍金については両クラブ間で隔たりがあるようで、保有元のポルティモネンセが2020年6月まである中島との現行契約を盾に2000万ユーロ(約26億円)の満額を求めているのに対し、ポルト側の提示額は800万ユーロ(約10億4000万円)だったという。ポルティモネンセはこれを却下。さらなる折衝が続けられているとのことだった。

 
 事態はしかしながら、急展開を見せる。金曜日の午後にポルティモネンセのロジネイ・サンパイオ会長が地元ラジオ局『Radio Renascença』の取材に応じ、報道そのものが「憶測にすぎない」と否定したからだ。会長はこう説明する。
 
「この手のニュースは、移籍の時期によくある代物で、憶測にすぎない。現在のチームはできれば12月の末までは同じグループのまま維持したいと考えている。ただし、条件を満たすオファーがあれば話は別だ。(違約金の)満額を払うチームが現われたなら、我々は選手を留め置くことができないだろうからね」
 
 なんともやんわりした表現ながら、現時点で中島の放出はないと断じたのだ。裏を返せば、2000万ユーロの設定額を満たせば状況は変わると、ポルトに対して駆け引きを仕掛けているようにも聞こえてくる。こうしたメディアを使った情報戦もまた、移籍マーケットの風物詩だろう。
 
 はたして水面下ではいったいなにが起こっているのか。かなりの人気銘柄となっている中島だけに、完全な“無風状態”のまま、夏を終えるとは考えにくい。