現在のクラウン・オーナーの平均年齢は65歳を超え、ロイヤルは70歳までになっていたそう。さらに「クラウン」と聞くと、パトカーやハイヤーなどのイメージを抱く人が多いとのことで、トヨタが危機感を抱くのも理解できます。

しかし、固定客の大切さも言うまでもなく、今回、マジェスタ、アスリート、ロイヤルの3シリーズを廃してクラウンに1本化した戦略により、「何を選べばいいの?」と迷っている方もいるかもしれません。

ここでは、ロイヤル系の受け皿を考えたいと思います。先代クラウンのロイヤル(純ガソリン車)は、2.5Lの「4GR-FSE」エンジンを搭載し、6ATとの組み合わせで、203ps/243Nmというスペックを得ていました。2.5Lハイブリッドは「2AR-FSE」型を積み、131kW(178ps)/221Nm、モーターは105kW/300Nmシステム全体では162kW(220ps)というアウトプット。 なお、JC08モード燃費は23.2km/Lでした。

新型クラウンでロイヤル系を受け継ぐのが、2.5L+モーターを搭載するハイブリッド車でしょう。カムリにも搭載されている「A25A-FXS」型エンジンを縦置きし、エンジンは135kW(184ps)/221Nm、モーターは105kw(143ps)/300Nmというスペック。ハイブリッドシステム全体では166kW(226ps)という出力を得ています。JC08モード燃費は「G」、「S」グレードが24.0km/Lで、0.7km/L向上。

以前試乗したクローズコースでも確認済みでしたが、2.5Lハイブリッドでも動力性能に不満はほとんどなく、電気式無段変速機との組み合わせによるスムーズな走りが印象的。ハイブリッドシステム全体では、先代からエンジンのパーアップ分の6psが上乗せされているだけですが、それ以上に感じさせるシーンもあります。

クラウンが以前から得意としてきた静粛性の高さ、乗り心地の良さはもちろん、上下動の少ないフラットライド感は、低速から高速域まで十分に味わえます。

また、新型クラウンは、BMW5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスをベンチマークとしたそうですが、気負わずに乗れる素直な挙動も美点ですし、それが1800mmという全幅で実現しているのも感心させられます。

インパネに2つの画面を配置して、操作性や視認性に工夫を凝らしたとするユーザーインターフェイスは、好みが分かれそうです。個人的にはもう少しすっきりとした操作系が欲しく感じるなど、使い勝手には少し改良の余地も感じさせます。それでも、走りなどから「TNGA(GA-L)」プラットフォームの熟成ぶりが十分に伝わってきます。

(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)

【新型クラウン試乗】旧型ロイヤル系を受け継ぐ新型クラウンの2.5Lハイブリッド。システム出力は6psアップ、JC08モード燃費も向上(http://clicccar.com/2018/07/21/610426/)