給料アップは誰でもうれしいはずだが…

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今春、給与が上がって、さぞニンマリしている人も多いはず。ところが、給与が上がっても「うれしくない」と感じている人が8割近くいるという驚きの調査結果が発表された。

人材採用・転職支援サービスのエン・ジャパンが約8000人の正社員を対象に実施した「月給上昇の実態調査」で明らかになった。いったい、どうして素直に喜ばないのだろうか?

上がった額の最多は「1千円以上3千円未満」

調査によると、残業代を除く月給(毎月の給与)が「今年に入って上がったかどうか」を聞いたところ、46%の人が「上がった」と回答。「上がらなかった」人は54%だった。上がった理由で、もっとも多かったのは「定期昇給」が60%。次に「ベースアップ」が23%、「昇格・昇進」の15%と続く。安倍政権は経済界に5年連続で「ベースアップ」を要請していたが、企業には浸透していないようすがうかがえる。

上昇額は「1001円〜3000円」が最も多い29%。次いで「3001円〜5000円」(20%)。「10001円以上」(19%)、「5001円〜10000円」(16%)、「1000円以下」(15%)と続いた。

このうち、「ベースアップで月給が上がった」という人(全体の11%)の企業の業種を聞くと、実施率が高いのは「サービス(飲食・接客・教育など)」(17%)、「メーカー(機械・電気・電子など)」(14%)、「コンサルティング・士業」(13%)、「メーカー(素材・食品・医薬品など)」(12%)だった。

逆に、ベアの実施率が低い業種は、「金融・保険」(7%)、「マスコミ・広告・デザイン」(8%)、「流通・小売り(スーパー・コンビニなど)」(8%)などだった。

給料が上がると、当然、仕事への「やる気」(モチベーション)が上がりそうなものだが、意外にも8割近くの人が上がっていなかった。「月給が上がり、モチベーションも上がったか」と聞くと、「上がった」と答えた人はわずか22%、「上がらない」が46%、「どちらとも言えない」が33%という結果だった。

「仕事量が多すぎて給料に見合っていない」

「モチベーションが上がらなかった」という8割の人に、その理由を聞くと(複数回答)、1位は「元々の月給に満足をしていない」が56%、2位は「昇給額が少なかった」で38%となった。

具体的にはこんな不満の声が――。

「月給以外の待遇に不満を持っている」(24歳女性)「昇給額が少なく、手取りに反映されるレベルではない」(26歳男性)「仕事量が多すぎて給料に見合っていない」(30歳女性)「会社の評価に納得がいかない」(33歳男性)「残業代を減らすために昇格させられた」(37歳女性)「少し昇給したところで税金も上がったので手取りはわずかしか増えない」(38歳男性)「給料が増えた分、仕事の責任が重くなった」(42歳女性)

などなど、素直に喜べない事情が散見される。

一方「モチベーションが上がった」という2割の人に理由を聞くと、1位は「自分が使えるお金が増えた」(50%)、2位は「会社から評価されていると感じた」(46%)だった。

具体的にはこんな喜びの声が――。

「上司から『あなたに期待しているから昇格させる』と言ってもらえた」(25歳女性)「リーダー職になり、2万円ほど一気にベースアップになった。会社から必要とされている感覚が強く持てるようになった」(26歳女性)「5年連続で昨対比を更新して給与を上げてもらったことが、大きな自信につながった」(30歳男性)「会社からの評価が最高ランクだった。『上司から言われる』より、客観的数字による評価の証拠を見て初めて『社内の評価』を信用した」(33歳男性)「昇格して業務量は増えたが、会社の状況や他の会社と比較して考えることができるようになり視座があがった」(40歳男性)「時短勤務だが、やるべきことをきちんとやれば正当な評価を得られる会社であることがわかった」(41歳女性)

などなど、会社にきちんと評価してもらったことが大きいようだ。

なお、調査は2018年4月25日〜5月28日、エン・ジャパンが運営する求人・転職支援サイト「エン転職」を通じて実施。正社員8349人から有効回答を得た。7月18日の発表。