サッカーW杯ロシア大会で、日本代表の活躍をみて、中国では「サッカーを強くするには、日本に学べ」という声が高まったが、中国国内にも独自の育成策に取り組む人々がいるようだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディア・東方網はこのほど、「これを見た瞬間、私は日本サッカーを羨ましがるのをやめた」とする記事を掲載した。

 記事は、「大いに盛り上がったサッカー・ワールドカップが終わった。日本代表の活躍を見て、日本の友人たちが本当に羨ましくなった。週末になると地域のグラウンドでサッカーに興じるという彼らの話を聞くたびに、いつになったらわれわれも日本人同様にサッカーができるようになるのかと嘆くのである」とした。

 そのうえで「同じアジア人であるわれわれと日本では、本来サッカーに大きな差が出るはずはない。それなのにどうして現実ではこんなに大きな差があるのか。ユース育成体系や選抜制度の問題もあるが、より大きいのは日本には至る所にサッカーインフラがあるということだ。この点での差はちょっとやそっとに留まらない」と論じている。

 そして、「東京の中心部のように土地の値段が高い場所でも、多くの標準サイズのグラウンドが建っている。また、川の両岸に『運動公園』を整備して一般市民に開放しているのだ。インフラがしっかりしているからこそ、日本ではサッカーを愛し、サッカーに興じる人が自然と増えてくる。かたや中国では中心部にあるのは高層ビルばかり。サッカーを愛する若者はサッカーをする場所がなく、親もサッカーをやらせようとしない。こんな状況に、どんな前途があるというのか」と指摘した。

 一方で、「そんななか、中国国内では『移動グラウンド』の概念が登場したという話を聞いた。その場を簡易式のフットサルグラウンドに変える設備を備えた移動車で、ビル群や農村のちょっとしたスペースをサッカー場に変える。この車がやってくれば全国のどこでも即席のサッカー場ができるのだ。W杯決勝が行われる15日にはキャンピングカーを改造した『移動グラウンド』が山東省を出発するという」と紹介した。

 記事は、「サッカーを国民に普及させようと努力している人がいて、すでにその実践が始まっていることを知り、日本サッカーを羨ましがるのをやめた。他人を羨むよりも自らを高めた方がより有益だからだ。『移動グラウンド』が中国サッカーの遅れを根本的に解決することは難しいだろう。しかし、中国サッカーの発展に向けて勇気ある、大きな一歩を踏み出したと言えるのではないか」と結んでいる。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)