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プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命の創業者で、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんが、読者の悩みに答えます。今回のお題は「周りに話が長い人がいる」。出口さんは「3分ルールが効果的」といいます――。

■Q:周りに話が長い人が多くて大切な時間を奪われます

僕もよく「話が長い」と言われます。でも自分ではそうは思っていません。

話の長い人のほとんどは自分の話が長いと自覚していないということです。ですからあなたが「話が長い」と伝えても、当人は「いや、俺は必要なことしか話していない」と答えるでしょう。

話を短くするのに最も効果的なのはルール化です。「3分ルール」をご存じですか?

――3分? 3秒ルールではなくて?

はい。たとえば講演会の最後に置かれる質疑応答の時間。そのときに質問者が延々と自分の考えや経験談を話して長引き、他の人の時間を奪ってしまうケースがあるでしょう。

――お年を召した方の質問に多いですね。

それを防ぐために「質問と答えの1セットで3分」というルールを設けます。質問が長いと回答が短くなるので、自然と手短に質問するようになります。

会議の場にも応用できます。まず会議の冒頭で議長は「今日はこれが目的です」と伝えますよね。そのとき同時に「発言は1人3分」というルールを発表するのです。

■「年上の長話」はじっと我慢すべきなのか

――3分間は時計やタイマーで計るのですか?

それでもいいですが、僕のおすすめは砂時計。話しはじめたら砂時計をひっくり返せばわかりやすい。常に砂時計を携帯していれば、話が長い上司に話しかけられたときにも使えます。

――メチャメチャ怒られそうですが。

確かに1人で砂時計を使えば怒られそうですが、部下全員で示し合わせてみんなが砂時計を持てばいい。それで「おまえら何だ!」と怒られたらこう切り返せばいいのです。

「効率的に仕事をして生産性を上げたいので、話は3分というルールを決めました。課長も1ついかがですか。はい、プレゼントします」と。

――出口さん、マジメに答えていますか!?

はい、もちろんです。昔、いつも長話をする上司がいました。それで僕は話が3分ぐらいを過ぎたあたりから、時間がもったいないので仕事をしながら聞いていました。

すると部下に「ちょっと出口さん」と別室に呼ばれて、「あの人は出口さんより10歳も年上ですよね。つまらない話を聞くのも、これからリーダーになるための鍛錬です」と注意されました。それからはその上司、「鍛錬おじさん」が部屋に入ってくると、僕に注意した部下がいつも小さい声で「鍛錬……」と僕の耳元でつぶやくのです。

結論としては、砂時計は1つの比喩ですが上司も巻き込んで楽しくルール化して、職場を変えていけばいいと思いますね。

Answer:1人3分ルールが効果的。みんなで砂時計を持ちましょう

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出口治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、ライフネット生命社長・会長を経て、2018年1月より現職。
 

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(立命館アジア太平洋大学(APU)学長 出口 治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久 写真=iStock.com)