なぜ東大生は「テストで100点満点」を目指さないのか?

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 日本最高レベルの頭脳が集う東京大学。そこに通う学生たちはいったいどんな毎日を送り、東大にまでたどり着いたのか。2浪の末に東大に合格、入学後には数多の東大生との交流を重ね、その行動パターンを徹底的に分析。その膨大なデータをもとに編み出した『東大式習慣「ゲーム化」でラクラク身につく』を刊行した西岡壱誠氏は「『効率』こそ、東大生の習慣のキーワード」と明かす。歴代東大合格生ゼロの高校でビリの成績、高校3年時点の偏差値はなんと「35」だったという異色の経歴を持つ現役東大生、西岡氏が語る「東大生の強み」とは?

――東大生といえば、一般的に「頭がいい」「勉強熱心」といったイメージがあります。

西岡壱誠(以下、西岡):「頭がいい」はともかく「勉強熱心」は少し違うかもしれません。というのも、「がむしゃらに勉強する」「必死に暗記する」といったことをする東大生はほとんどいません。むしろその勉強法は「がむしゃら」や「必死」とは対極にあります。

――つまり、勉強は一生懸命やるものではないと?

西岡:「一生懸命」のポイントが一般的なイメージと違うというのが正確だと思います。たとえば、最も象徴的なのは「テスト勉強」。テスト勉強の効率がまったく違います。「全体を網羅するために一生懸命勉強する」ということをする東大生はほとんどいません。その代わり、ほとんどの東大生はノートや過去問、試験情報を共有し、試験対策のプリント作りや授業の録音などをほかの学生と分担して行います。60点以上とれば単位をもらえるテストに対しては「できるだけ高い点数をとるために一生懸命」ではなく「60点をいかに効率的にとるために一生懸命」ということですね。

◆知識量や記憶力よりも東大が重視するもの

――「最小限の努力で最大の結果を出すこと」に注力しているということでしょうか?

西岡:はい、テストなら単位がもらえるギリギリの点をとるのが本当に上手なのが、東大生の大きな特徴です。レポートも完璧なものではないけれど、要点だけはきちんと押さえているものを短時間で用意します。「完璧なレポートを書く必要がないなら、それに何時間もかけていられない」という考え方ですね。

――「厳しい受験勉強を突破したエリート」という一般的な東大生像とはずいぶん違いますね。

西岡:そもそも東大は入試問題から暗記力や知識量を問うようなものではありません。「東大の入試問題は、『知識量』ではなく『知識の運用能力』、つまりは知識をうまく運用できるかどうかを問うものです」とは毎年の入学式で総長が語る言葉なのですが、東大は入試の段階から発想力や思考力を重視しているわけです。AIが台頭し、知識量があるだけでは太刀打ちできない時代がもうすぐそこまで迫っています。その中でも価値を発揮できる存在になるためには、「知識量」ではなく「いかに知識を活用するのか」が重要。だからこそ東大は「頭がいい」とか「記憶力がある」では受からない。東大は、合理的で論理的な思考ができ、効率的な行動をとれる人間を評価しているんです。

◆「落ちこぼれ出身」だから気づけた効率化の方法

――やはり、東大生は「選ばれし者」ということなのでしょうか。

西岡:「選ばれし者」だけではないとは思います。「東大に合格するのは地頭がいい人間だけ」というわけでもありません。例えば僕のように、「選ばれし者」じゃない人間でも合格できるわけですから。僕もこの入試問題を解けるようになるのに超苦労しました……なにせ2浪しているわけですから(笑)。でも、東大生の多くは僕が解けるようになるまでに3年かかった入試問題を1年で解けるようになっているわけで、その行動が効率的なのは当然といえば当然です。