2年連続で金沢工業大学がトップ

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1000人以上の女子大で実就職率がトップだったのは、昭和女子大学。全体でも5位にランクインしている (写真:sunny / PIXTA)

文部科学省の集計によると、2018年卒の大学生の4月1日時点における平均就職率は、前年同期を0.4ポイント上回る98.0%。集計開始以来、最高値更新が続き、大学生の好調な就職環境を裏付ける。

もっとも、この文科省の公表値は、実態より高い可能性がある。なぜなら、調査対象大学が800校近い大学のうち、設置者・地域などを考慮して抽出された62校であることに加え、「就職希望者に対する就職者の割合」で算出されているからだ。


ベースとなる就職希望者は、就職課やキャリアセンターなどが把握している学生であり、届けを出さずに就職活動を行っている学生は含まれていない。そうした層の中で就職できなかった学生は、就職率の算出に反映されないのだ。

こうした状況を鑑み、大学通信は、より実態に即した就職状況を把握するため、卒業生から大学院進学者を引いた学生に対する就職者の割合を算出した、「実就職率」(就職者数÷(卒業者数―大学院進学者数)×100で算出)を、就職力の指標として採用している。

調査対象は医学科と歯学科の単科大学を除く全大学で、その最新版である2018年卒の実就職率のデータがまとまった。7月12日時点で553校から回答があり、平均実就職率は88.6%。575校を集計した前年を1ポイント上回った。実就職率はここ数年右肩上がりで、大学生の好調な就職状況を示しているが、文科省の就職希望者を分母とした就職率よりも低い数値になっている。

就職希望者以外も含む実就職率で算出

では、好調な大学生の就活環境が続く中、個別大学の状況はどうなっているのか。今回は、比較的大規模といえる卒業生1000人以上の大学を対象にして実就職率ランキングをまとめ、その上位150大学を掲載する。

1位は2年連続となる金沢工業大学だ。社会的な価値を持つ研究課題を発見し、具体化を進めるプロジェクト型実践教育を柱に据える同大学は、高い教育力と研究力が実就職率に現れている。

2位も昨年と同じ福井大学。卒業生1000人以上で複数の学部を持つ国公立大の中では10年連続のトップだ。卒業生の3年以内離職率の低さが特徴で、2016年に同大学が行った調査によると、2013年卒生の3年以内の離職率は9.2%で、全国平均の31.9%を大幅に下回っている。

3位の愛知工業大学や4位の大阪工業大学、6位の名古屋工業大学、7位の工学院大学など、工科系が上位を占めるのは例年の傾向である。製造業の採用枠が大きいことに加え、建築・土木系や情報系企業の高い採用意欲もあり、多くの大学が前年より順位を上げている。

このように工科系大学優位が続く中、常にランキングの上位に入っているのは昭和女子大学だ。前年の実就職率を1.2ポイント上回り、8位から5位に順位を上げた。キャリアセンターと教職員が連携したきめ細かな支援によって、卒業生1000人以上の女子大では8年連続でトップ。ランキング中の女子大には、13位の東京家政大学や25位の武庫川女子大学、26位の聖徳大学、27位の日本女子大学などがある。

有名大学のランキングも見ておこう。旧七帝大(東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学)に筑波大学、東京工業大学、一橋大学、神戸大学を加えた、難関国立大でランキングすると、最上位は全体で32位の東京工業大学になる。

その次が49位の名古屋大学で、以下、117位の神戸大学、142位の大阪大学、146位の東北大学となる。北海道大学(実就職率82.4%)と九州大学(81.3%)、京都大学(78.0%)、筑波大学(69.7%)は150位以下で、このランキングの対象外になっている。なお、東京大学は集計が間に合わず、一橋大学は95.3%と高い実就職率だが、卒業生が1000人以下で対象から外れている。

92校が実就職率で90%以上

こうしてみると、難関国立大の実就職率は、意外に低いことが分かる。その背景にあるのは、優秀な学生が集まるがゆえの進路の多様性。起業や4年制大学への編入、資格試験準備などは、未就職者にカウントされるため、伸びないのだ。筑波大学の場合は、体育専門学群と芸術専門学群といった、一般企業の就職を視野に入れない課程があることも、実就職率に影響している。

私立のトップ大学の実就職率が伸びないのも同様の理由だ。早慶上理(早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学)で、トップの東京理科大学は全体の順位が12位と高いものの、次位の早稲田大学は132位で、慶應義塾大学が134位、上智大学の実就職率は83.1%でランク外だった。上智大学は、国際公務員養成講座や国連研修など、国際機関に就職するための実践講座に力を入れる。海外に視野が向いている一定数の学生がいることが、早慶上理の中で実就職率の低い一因かもしれない。

GMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)と称される学校群のトップは、全体で61位の青山学院大学。次位は87位の中央大学だった。以下、89位の法政大学、94位の学習院大学、100位の明治大学、131位の立教大学の順となった。

関西の難関私立大グループの関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)の中で、トップは、全体で46位の関西学院大学。同大は卒業生の進路把握率の高さで知られ、今春の卒業生5398人のうち、99.5%の進路を把握している。教職員が連携して就職支援に力を入れている成果といえるだろう。関西学院大に続くのは全体で96位の関西大学で、同じく106位の立命館大学、128位の同志社大学の順となった。

全体のランキングに戻ると、卒業生1000人以上と比較的規模が大きな大学にも関わらず、実就職率が90%を超えている大学は92校に上り、昨年よりも18校増えている。リクルートワークス研究所の調べによると、現在就活中の2019年卒生の大卒求人倍率は、2018年卒を0.1ポイント上回る1.88倍。大学生には有利な売り手市場が続いており、実就職率が90%を超える大学はさらに増えそうだ。