安倍晋三首相(写真は2017年9月撮影)

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共同通信社・客員論説委員の後藤謙次氏が、コメンテーターを務める情報番組「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、西日本の豪雨被害をめぐり発言した内容に対して、「前の日に何を言ったのか忘れてるようだ」という指摘がツイッターなどで出ている。

前日に「政治というのは被災者の皆さんに自分たちの姿を見せる」重要性を指摘していたが、翌日に安倍晋三首相が被災地を訪れると、「警備の問題もある。逆に現場が混乱する可能性もある」と批判した点が問題視されているようだ。

「今、何を優先すべきか。きちっと考えてもらいたい」

2018年7月10日放送の「報道ステーション」では、石井啓一・国土交通大臣がカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の担当大臣として、同日の参院内閣委員会で6時間、審議に出席していたと説明。「野党は災害対策を優先するよう求めました」などと、ナレーションで伝えた。

後藤氏はこれを受け、「IR法案の審議も不可解でした。特に不可解だったのは、衆院の国会議決です」と指摘。

「衆院本会議に衆院議員が集まって、災害に全力投球しましょうと決議した。いかにも対策に全力投球しているわけですが、実は災害にとって最も重要な時間帯に国会議員が本会議に集まって決議することにどれだけの意味があるのか」

と疑問を呈した。衆議院の公式サイトによると、10日の衆院本会議では「平成30年7月豪雨の災害対策に関する決議案」が全会一致で可決された。

後藤氏はさらに「今週前半は審議を一切休んで政治全体が豪雨災害の被災地に目を向ける、そういう姿勢が必要」と指摘。「安倍総理は何でもやりますよ、こう言っているんですが、政治というのは被災者の皆さんに自分たちの姿を見せる。それが一向に伝わってこない」と持論を展開した。

そして、「安倍総理は9月の総裁選に向けて全力投球しているように見える」と指摘。首相が9日の昼に「静岡県の自民党県会議員と昼食をとっている」とした上で、「今、何を優先すべきか。きちっと考えてもらいたい」と主張した。

「はたして今日のタイミングだったかどうか」

首相は10日朝、首相官邸での「被災者生活支援チーム」の初会合で被災地を順次訪問する考えを表明。11日に岡山県入りすると明らかにしていた。実際、11日朝に岡山県入りし、避難所を訪問するなどした。

その11日の「報ステ」では、後藤氏が被災地の現状に「物流がひとつの問題、それから人手不足もクローズアップされた」と言及。「そうした中で、安倍総理が岡山の倉敷市真備町に行っているわけです」と続けた。さらに、

「はたして今日のタイミングだったかどうかというのはあると思うんですね」

「日本のトップリーダーが当然行けばですね、警備の問題もある。あるいは現地の知事も市長も対応する。逆に現場が混乱する可能性もあるんですね」と、首相のこのタイミングでの訪問に疑問を呈した。

放送後、ツイッターやインターネット掲示板では

「1日で正反対のことを言ってる」
「自分が前の日に何を言ったのか忘れてるようだ」
「前日に言ったことくらいは覚えておこうよ」

とツッコミが続出。中には「行っても行かなくても文句いうじゃない」との声も上がっていた。

後藤氏は12日も「報ステ」に出演。首相の被災地訪問に言及する場面はなかった。