トランプ大統領のツイート。親書を一方的に公開するのは異例だ

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米朝首脳会談の合意事項の履行が遅々として進まない。非核化の段取りを詰めるためのポンペイ国務長官の訪朝には「残念極まりない」などと北朝鮮が不満を示し、北朝鮮側にとってハードルが低いはずの米兵の遺骨返還の協議には姿を見せなかった。

にもかからず、トランプ大統領は金正恩・朝鮮労働党委員長からの親書の写真つきで「大きな進歩だ!」とツイート。トランプ氏に勝算はあるのか、それともそれがない中での「ヤケクソ」なのか。

親書をツイッターで公開

ポンペオ氏は2018年7月6日から7日にかけて北朝鮮を訪問したが、北朝鮮は7日、「米国側の態度と立場は実に残念極まりないものであった」とする外務省報道官の談話を発表。両者の溝が際立った。ポンペオ氏は正恩氏と会うことはできなかったが、トランプ氏宛の親書を託されていた。

トランプ氏はその内容を7月13日未明(日本時間)、ツイッターで公開。

「北朝鮮の金委員長から非常に良い手紙だ。大きな進歩だ!」

という一言とともに、朝鮮語版と英語版の親書の画像を公開。朝鮮語版には金正恩氏の直筆サインが入っている。国家元首級が取り交わした親書の内容を一方的に公表するのは異例だ。

その内容は、

「閣下との重要な最初の対面と、24日前にシンガポールで私たちが一緒に署名した共同声明は、本当に意義深い旅の始まりだった。両国の関係改善と共同声明の忠実な履行のために大統領閣下が傾けている情熱的で格別の努力に深く感謝する。朝米間の新たな未来を拓こうとする私と大統領閣下の確固たる意志と真剣な努力、ユニークな方法は、必ず実を結ぶであろうことを固く信じている。大統領閣下の変わらない信頼と信用で、具体的行動を取る今後のプロセスがさらに強化されることを願いながら、朝米関係推進の画期的な進展が、次の会談を早めるだろうと確信している」

というもの。外務省報道官談話とは逆で前向きな内容だが、「非核化」といった個別の問題に関する単語は出てこない。

「実務者協議」を「将軍級」に格上げするというが...

ただ、北朝鮮側の行動は、こういった「信頼」「信用」とは逆方向のものだ。7月12日には、朝鮮半島で行方不明になった米兵の遺骨返還について協議するための実務者協議が板門店で予定されていたが、北朝鮮側は姿を見せなかった。ただ、聯合ニュースが韓国政府筋の話として伝えたところによると、米国側が北朝鮮側に電話をかけたところ、15日に「将軍級」の協議を行うことを提案してきたという。実務者協議からの格上げする提案だが、本当に協議が行われるかどうかは不透明だ。

トランプ氏としては、正恩氏の言葉をあえて公開することで、合意履行に後ろ向きな北朝鮮側をけん制する狙いもありそうだ。