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クレジットカードというと、大人のものというイメージがありますよね? ほとんどのクレジットカードは現在、20歳から申し込みができますが、2022年4月からは民法改正によって18歳以上が成人になり、18歳になると作れるようになります。

ですが、現在でも18歳から持てるカードがあります。そのひとつが「学生カード」です。

では、学生カードは一般のカードと何が違うのでしょうか? また、学生がクレジットカードを持つメリットはどんなところにあるのでしょうか? 今回は、学生カードについて解説します。

○学生向けクレジットカードの違い

学生カードとは、文字通りおもに大学生などの学生向けに発行されるクレジットカードのことです。カードの機能は基本的に一般向けのものと同じで、お買い物時にレジで提示して支払ったり、ネットショッピングでカード情報を入力して決済したりすることができます。

お買い物代金は1カ月まとめて翌月以降に、あらかじめ登録した銀行口座から引き落とされます。分割払いを選べる、お買い物代金に応じてポイントが付く、海外旅行傷害保険など会員向けのサービスがあることなども、基本的には同じです。

最も大きな違いは、学生ならば収入がなくても申し込めることです。一般的なクレジットカードのなかにも「若年層向け」「20代限定」などを謳うものもありますが、原則として安定的な収入があることが要件になっています。これに対して学生カードでは大学などに在学していることを要件として、収入がなくても申し込めます。

○学生向けクレジットカードを作るための条件

ただ、いわゆる「学生」といってもそのスタイルはさまざまです。このうち学生カードを申し込めるのは大学や短大、専門学校に正規の学生として在学している人です。

高校生や認可校以外の専門学校生、語学学校や予備学校に通う学生だと原則として対象になりません。また、大学に在籍していても研究生、聴講生、科目履修生だと申し込めないことが多いようです。

さらに、学生でも未成年の場合は親権者の同意が必要です。現在は18歳、19歳は大学生でも未成年ですから、申込時には申込書類に親の署名をする、または電話などで親の意向確認をすることになります。

○学生向けクレジットカードを持つメリット

ところで、あえて学生に限定したカードを持つのには、どんなメリットがあるのでしょうか? おもに次の5点が挙げられます。

●海外旅行傷害保険などがついている

多くの学生カードには、一般向けのカードと同じような保険がついています。学生生活では、サークル活動で合宿に行ったり、友だちと旅行に行ったりする機会も多いもの。国内外の旅行傷害保険が付帯している学生カードも多いので、その間にもしものアクシデントに見舞われた場合に備えることができます。

また、クレジットカードで決済したものが壊れたり、盗まれたりしたときの損害を補償するショッピング保険がついているものもあります。学生でも、ネットショッピングなどでクレジットカード払いをする機会があれば、その際の補償制度があると安心です。

●在学中は年会費無料

カードを持っていると気になるのが年会費のコストでしょう。しかし学生カードは一般向けのカードに比べて年会費が低いか、無料のものがほとんどです。在学中は無料としているものもあります。

ただし、卒業すると年会費がかかることが多いです。申し込む際には各カードの要件を確認しておきましょう。

●ポイントの還元率が高いものも

クレジットカードのメリットのひとつであるポイントも、学生カードなら有利なことがあります。一般的なクレジットカードは、還元率0.5%(カード利用額200円につき1円相当のポイント、または利用額1,000円につき5円相当のポイントなど)のものが多いですが、その2倍の1%つくものもあります。

●利用限度額が低め

安定的な収入のない学生の返済能力は社会人に比べると低めです。このため、カードを利用できる限度額も一般向けのカードより低い水準に設定されます。カード会社や申し込み内容によって異なりますが、10〜30万円程度のことが多いようです。

はじめから限度額が低いことで、万が一カードで使いすぎてしまっても、極めて高額な返済を負うおそれがないのは安心ですね。

●のちに一般カードを持ちやすい

学生カードを利用できるのは原則として在学中に限られますが、ほとんどは卒業すると同じカード会社の一般向けカードに自動的に移行します。学生カードの利用状況にもよりますが、一般カードを持つにあたっては改めて申し込み手続きや審査をしなくても良いことが多いです。

学生カードを使っている間に支払いの延滞などがなければ、一般カードでの利用枠の設定で有利かもしれません。

○学生向けカードの注意点

気軽に使えて、学生ならではの特典もあるのはうれしい反面、注意点もあります。

たとえば、国内外の旅行傷害保険がついていても、多くの学生カードでは「利用付帯」です。これは、旅行のツアー代金や航空券などをそのカードで支払うことで初めて保険の対象になるものです。カードを持っているだけでは補償されません。保険を有効にするなら、出発までに旅行に関わる費用をカード払いしておきましょう。カードによっても条件が異なりますので、お手持ちのカードを確認しておくと安心です。

ただし、学生カードの利用限度額は低めのため、海外旅行などで高額な支払いをすると、旅の途中で利用枠が足りなくなってしまうかもしれません。旅行中にどれくらいお金がかかるか、予算をあらかじめたてて、カード払いをするものと現金で払うものをおおよそ決めておくとよいでしょう。

また、卒業をすると自動的に一般カードに切り替わる場合は、年会費も有料になるか、学生時代よりも高くなることが多いです。気がつかないうちに想定外の年会費が請求された、と驚かないように、卒業後の年会費も先に確認しておきましょう。

また「学生向け」とはいえ、クレジットカードのしくみは一般向けと同じです。お買い物代金は必ずのちに支払わなければなりません。支払いが遅れると「遅延損害金」という利息が請求されてしまいます。

また延滞が長引いたり重なったりすると信用情報に履歴が残り、携帯電話の契約や別のクレジットカードを申し込む際の審査に影響することがあります。カードの利用限度額に関わらず、請求のタイミングできちんと支払える範囲でお買い物することも大事です。

初めてのクレジットカードとして、気軽に持ちやすい学生カード。メリットと注意点を理解して、上手にカードデビューしてみてはいかがでしょうか。

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加藤梨里

ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員

保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。