7月8日(日)に富士スピードウェイで開催された『2018年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦』決勝レースの解説に脇阪寿一氏(Twitterアカウント:@JuichiWakisaka)が登場し話題となっている。SNS上でも「おもしれー」「小話が聞けて楽しい」「めちゃめちゃわかりやすい」「毎戦、レギュラーで解説してくれないかな」と好評だ。脇阪氏といえば『ミスターGT』の異名を持つようにどちらかというとスーパーGTのイメージがあり、ここしばらくはスーパーフォーミュラと距離を置いているように見えていた。ではなぜ今、スーパーフォーミュラなのか。富士スピードウェイでのレース後、直接本人にその想いを聞くことができた。


「僕はモータースポーツを絶対に盛り上げたい。そのモチベーションは、自分を育ててくれた人、関わってくれた人、すべての人に恩を返したい、感謝の気持ちをお伝えしたいということ。野球やサッカーがライバルだと思っています。ひとつのバロメーターとしてですよ、テレビやニュースでもっと扱ってもらえるようなメジャーなスポーツにモータースポーツをしていきたい」


「その中で、この競技の完成度、競技レベルのすごさを示すのはスーパーフォーミュラだと考えていました。スーパーGTはエンターテイメント性を追求しながら、ファンの方に見て楽しんでいただきながら、実際に観客も増えて盛り上がっています。スーパーフォーミュラは、レーシングアスリートの次期覇権争い、誰がいちばん速いのかを示すもの。これからモータースポーツを背負って立つ若者たちを盛りあげる、次のスーパースターを見出すために、自分としてはスーパーフォーミュラを触らないのはおかしいのではないか。そう考えたり、話したりしている中で、今回のレース解説の話をいただきました」

どんな解説を目指したのか?


「僕が得意なところは、人が何を考えているかということを感じ、察すること。自分にできるオンリーワンの仕事は何かということを考え導き出した答えは、ドライバーがこういうバトルをしている時はこういうこと考えている、今ここだけのバトルではなくてひょっとしたらこの人たちの今後の人生が変わってくるバトルが生まれているんだぞということを伝えること。富士スピードウェイには金曜日の朝から入って、ピットに決勝レースの解説をさせていただきますという挨拶をしてまわったのですが、ありがたいことに各チーム、関係者がウエルカムで迎えてくれて。トヨタだけでなくホンダの若手ドライバーとも話ができましたので、フェイストゥフェイスで情報を密に集めていきました」


「オーバーテイクが増えたらお客さんが増えるかというとそうではない。ドライバーひとりひとりが、自分自身は今どういう立場、立ち位置で、次どうなるべきと考えて一戦一戦のレースを戦っているのか。そういうヒューマンドラマを伝えなくちゃいけないし、見ている人にドライバーはこの瞬間にどう思っているのかを理解してもらえれば、気持ちが入ってレースは退屈でもなんでもない。オーバーテイクしたらそれ以上の喜怒哀楽が生まれる。それが分かってもらえる解説をしたつもりです。レース後の記者会見が終わって、優勝したKONDO RACINGのマネージャさんが飛んで来て解説良かったよと言ってくれたり、みんなからも今までにないオンリーワンの解説だったよと言っていただいたり、僕は100人いたら100人に喜ばれたいと思ってしまうので、不安な部分もありますが、初めてと言う意味では良かったのではないでしょうか」


テレビのバラエティ番組で見るようなちょっとにぎやかな『脇阪寿一』も、モータースポーツを盛り上げるために全身全霊を捧げて取り組んでいる様々な打ち手のひとつの姿にすぎない。「モータースポーツをメジャーにしたいと思っているうちは、やっていることに不安もありましたが、今はもう、モータースポーツはメジャースポーツになると決めてしまったので、逆算で何をすべかが明確に見えてきています」とも語った脇阪氏に、“自分にできることはすべての切り口でやりきる”という、純度の高い強い決意を感じた。