イングランドとの試合中のザグレブの様子【写真:AP】

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ロシアとのPK戦中に即座に出動するクロアチアの消防士が話題になったが…

 サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会は11日、準決勝でクロアチアがイングランドに2-1で勝利。延長戦までもつれ込む死闘を制し、初の決勝進出を決めた。国内が大いに盛り上がっている中で、1本の映像が大きな話題を集めている。同国の消防士が試合中にも関わらず、速やかに緊急出動するシーンを海外メディアが公開。映像を見たユーザーからの称賛を集めていたが、実はこのシーンは……。真相を別のメディアが明かしている。

 イングランドを破り、フランスが待つファイナルへ駒を進めたクロアチア。時間を少し戻して、準々決勝のロシア戦での出来事だった。120分間戦い抜いても決着がつかず、PK戦の末に勝利を収めたのだが、この模様を観戦するクロアチアの消防士たちの映像が大きな話題を呼んでいる。

 クロアチアのユニホーム姿で待機しながら、テレビでPK戦の行方を見守る消防士たち。傍らには消防車が。チームの運命が決まろうとする、まさにその瞬間。出動命令が下った。なんというタイミングの悪さ……。

 そう思いたくなる場面だが、すぐに立ち上がったファイヤーマン軍団は、テレビにはわき目も振らずに、すぐに防護服に着替えると、一目散に消防車に乗り込んでいく。出動する隊員たちは、即座に仕事モードに切り替えて、サイレンを鳴らしながら出動していったのだ。

 なんという迅速な対応だろう。この映像をメキシコ紙「ユニバーサル・デポルテス」の公式ツイッターが「プロ意識!クロアチアがPK戦で準決勝進出に挑んでいた…クロアチアの消防士は試合を置いて緊急呼び出しに向かった」とつづり公開。するとコメント欄には「彼らは本当のクラックだ」「だから決勝に進出できるんだろうね、偶然ではない」などと、ファンからの称賛が相次いでいた。

実は自国民へ向けた啓発映像!? 「目的は安全な祝福」

 だが、実は自国民へ向けた啓発目的の映像ではないかとする声も多数上がっている。アルゼンチン紙「クラリン」は「ワールドカップを観戦するクロアチアの消防士たちのバイラルビデオ」「彼らはロシアとのPK戦中に非常事態にどう対処すべきかを示した」として紹介している。

 記事では、クロアチアが勝ち進むごとに、多くの発煙筒などを含んだ祝福がなされ、ザグレブの消防士たちはトラブルの懸念を抱いていたことを紹介している。

「代表が突破するごとに、街は周囲の集団が使う花火や爆竹で危険な状態となっていた。そこで消防士たちは最も効果的な方法で動くことにした。バイラルビデオを世界に向けて発信したのだ」

 この映像が、バイラルビデオ。すなわち拡散を目的とされたものではないかと指摘。同紙は現地紙「クロアチア・ウィーク」の記事内容にも言及しながら伝えている。

「数時間でこのビデオは世界中に知れ渡ることになったが、最終的にはそれが実際の出来事ではないという情報が知れ渡った。記事(クロアチア・ウィーク)によると、これは立派な啓発を込めたパフォーマンスだという。目的は日曜日に母国の初優勝を見るかもしれないファンが、安全に祝福し花火を使わないことだ」

 自国民へ向けて、過激過ぎる祝福のパフォーマンスを控えてもらうのが狙いという。“仕掛け人”の公式的な声明は現状では出されていないが、世界へ拡散したのなら狙いはずばり当たったことになる。(THE ANSWER編集部)