東京女子プロレスが毎年夏に開催しているトーナメント「東京プリンセスカップ」のファイナル(準決勝・決勝)が、7月8日の両国KFCホール大会で行なわれた。

(決勝戦、優宇は逆水平を坂崎の喉元へ食い込ませる。パワフルかつ容赦ない攻撃が目立った)

(C)DDTプロレスリング/宮木和佳子

準決勝の組み合わせは優宇vsのどかおねえさん、坂崎ユカvs辰巳リカと、どちらも同期対決。お互いの長所も短所も知り尽くした対決だけに、裏の読み合いや新しい動きもポイントになる見応えある攻防となった。

勝ち上がったのは優宇と坂崎。これもまたドラマ性のある顔合わせと言っていい。一昨年1月のデビュー以来、無敗のままチャンピオンとなり、防衛を重ねてきた優宇からベルトを奪ったのが坂崎だったのだ。

優宇は復活をかけた昨年のトーナメントでも才木玲佳に敗れ、それ以降シングル戦線では一歩引いた形に。だが坂崎も昨年8月の後楽園大会で才木に敗れ、ベルトを失っている。

悔しさをため込み、だからこそ強さも増した2人による決勝では、坂崎のスピードと空中殺法に対して優宇の圧倒的なパワーが炸裂した。得意の逆水平チョップに加え、坂崎のスライディング・ラリアットを受け止め、そのまま立ち上がって払い腰で投げるという破天荒な攻撃も。

さらに坂崎のスワンダイブもキャッチし、パワーボムでコーナーに叩きつける。最後はラストライド(高角度パワーボム)を完璧に決めて3カウントを奪った。優宇はこのトーナメント1回戦で才木を下しており、決勝も含め2つのリベンジに成功しての優勝だ。

「この1年でベルトを落として、悔しいことがいっぱいあって、東京女子に居場所があるのかって何度も思いました」

そう語った優宇。東京女子は個性の強い選手が多く、才木や伊藤麻希、アップアップガールズ(プロレス)などアイドルも参戦してくる。しかもそんな選手たちが“ゲスト扱い”ではなくしっかり存在感を残している。

(トーナメント優勝を果たし、王者・山下と対峙した優宇)

(C)DDTプロレスリング/宮木和佳子

一方の優宇は通称“ドラマティック・ドリームファイター”。東京女子が属するDDTを子供時代から見て、レスラーを志した。柔道を学んできたのもレスラーになるため。ファイトスタイルも含め、正攻法のプロレスラーと言っていい。

そんな優宇が「居場所」に悩むくらい独自の価値観と雰囲気を持っているのが東京女子だということでもある。ただもちろん、ベルトもあればトーナメントもある団体だから“実力派”の居場所も当然あるのだ。今回の東京プリンセスカップで、優宇はそれを見つけた。

「決勝では坂崎さんだけじゃなく、弱い自分にも勝てた」と優宇。“完全体”とも言える強さを身につけ、試合後には山下実優が持つTOKYOプリンセス・オブ・プリンセス王座への挑戦を表明した。

この大一番は8月25日の後楽園大会で実現することに。「自分の限界、決めんなよ」という山下の決め台詞に対し、優宇は「私の限界、ナメんなよ」と返してみせた。

「どっちかが倒れるまでの闘いになる」と語ったのは王者・山下。初代王者だった時にベルトを奪われた相手が当時無敗の新人だった優宇であり、今回の王座戦はリマッチを挑む側でもある。「あのころとは気持ちの強さが違うし。闘い方にも迷いはない」と成長を実感している山下。文句なしの東京女子プロレス実力No.1決定戦になりそうだ。

文・橋本宗洋