今年2018年は、英国で初めて一部の女性に選挙権が与えられてからちょうど100周年。2015年に公開された映画『未来を花束にして』で、英国における女性の参政権運動についてご覧になった方もいるかもしれません。

 21歳以上のすべての女性に選挙権が与えられるまでは、その後さらに10年を要することになるのですが、今年は記念の年として、ナショナル・ポートレート・ギャラリーでも「Rebel Women(抵抗する女たち)」と題し、今年一年を通じてさまざまなイベントが企画されています。

 5月9日にスタートした「Rebel Women Trail」もそのひとつ。これは、各分野で現在をリードする10人の英国人女性が選んだ、歴史的な「抵抗する女たち」にスポットを当て、訪れる人たちに彼女たちのポートレートめぐりをしてもらおう、というもの。小冊子にまとめられた解説を読みながら、館内の12の展示室をめぐり、それらのポートレートを各自探して歩く、宝探し的なイベントです。

 公開直前のプレス向け朝食プレビュー・イベントでは、キュレーターや協賛ホテルの関係者による、スピーカーは全員女性、というパネル・ディスカッションや、いまを生きる「抵抗する女性」によるスピーチなども。

朝食プレビュー・イベントは、絵画に囲まれた、こんな美しいギャラリーで行われました。

パネル・ディスカッションで話す、キュレーターのロージー・ブロードリーさん(中央)。

 今年英国で公開されたヴィヴィアン・ウエストウッドに関するドキュメンタリー映画を撮影したローナ・タッカー監督らが、周囲の反対に抗いながらなにかを達成していく過程について語りました。

アカデミー衣装デザイン賞を二度受賞している、英国人コスチューム・デザイナーのジェニー・ヴィーヴァンさん(左)と映画監督のローナ・タッカーさん(右)。それぞれ自身のキャリアについて、短いスピーチをしました。

多様な「抵抗」の姿勢が
印象的な女たちの肖像

 さて、では今回、現在をリードする10人の英国人女性に選ばれた「抵抗する女たち」のポートレートのいくつかを、ご紹介しましょう。

 パネル・ディスカッションのなかで、「今回、ご紹介しているポートレートは、『成功した女性たち』という基準ではなく、『英国社会にインパクトを与えた女性たち』という基準で選ばれたものです」とキュレーターのロージー・ブロードリーさんが話していたとおり、選ばれたポートレートのなかには、それほど一般に知られていない名前も含まれています。

 例えば、女性初のロンドン主教サラ・マラリーさんが選んだのは、ヴィクトリア時代の英国で活躍した、ジャマイカ出身の看護師メアリー・シーコールのポートレート。

女性初のロンドン主教サラ・マラリーさんが選んだメアリー・シーコールのポートレート。

 クリミア戦争に従軍するのではなく、私費を費やして個人的に前線に赴き、薬草の知識をフル活用し、敵味方、人種を問わず負傷者を助けたことで、当時の人々からは多くの賞賛を受けました。黒人女性がポートレートになるのが大変珍しかった19世紀の英国で、彼女がどれだけ尊敬されていたかがしのばれます。

 しかし、死後はすっかり人々から忘れられ、この肖像画もカーブーツセールに出されていたところを、識者に見いだされたという後日談付き。この絵を選んだマラリーさんは同じ看護師として、新米時代、シーコールから多大なインスピレーションを受けたのだそうです。

 ユニバーサル・ミュージック・グループのデッカ・レコードの女性社長レベッカ・アランさんが選んだのは、逆に知らない人はいないエリザベス1世の肖像画。父が母を殺し、さらにその父からも捨てられたという幼少期を経て、25歳で即位、混乱に直面していたイングランドを苦労しながらも力強く牽引したということで選んだ一枚だそうです。

おなじみエリザベス1 世のポートレート。

 コメディアン兼作家のミランダ・ハートさんは、女性が自分の創作で我を通すのが非常に難しかった時代に決して妥協をしなかった、という理由から、ベアトリクス・ポターのポートレートをチョイス。

コメディアン兼作家のミランダ・ハートさんが選んだベアトリクス・ポターのポートレート。

 ほかにも通常はギャラリーに展示されていない作品のなかから、今回の会期中に限って公開されているものもあるので、要チェックです。

Rebel Woman
(抵抗する女たち)

会場 National Portrait Gallery
所在地 St Martin’s Place, London WC2H 0HE
会期 2018年12月31日(月)まで
https://www.npg.org.uk/whatson/rebel-women/

女性のひとり旅にぴったりな
都会派ホテル Mギャラリー

 このイベントに協賛しているホテル、Mギャラリー by ソフィテルは、世界25カ国90拠点以上にフランチャイズ展開しているブティックホテルです。ナショナル・ポートレート・ギャラリーに所蔵されている肖像画同様、ひとつひとつのホテルが、その土地や文化に根づいたストーリーを持っていることが特長です。

 ナショナル・ポートレート・ギャラリーから徒歩3分、英国の重要建造物に指定されているビクトリー ハウスも、そんなMギャラリー・ホテルのひとつです。広場を囲むようにいくつかの映画館が立ち並び、劇場街も目と鼻の先というレスター・スクエアは、まさにロンドン・エンターテインメントの中心地。

1階にあるビストロは、朝7時からオープン。

クラシックルーム:シングルの室内。16平米の部屋がシンプルにまとめられている。

最上級スイート、エグゼクティブスイートの室内。さすがに広々としています。

スーペリアルーム:クイーンの客室内(20平米)。

 夜遅くまで営業している1階のビストロ、24時間のルームサービス、総客室数86という小規模ホテルだから実現できる大きなレセプション・デスクなしのパーソナルなおもてなし、そして夜遅くまで遊んでも歩いて帰ってこられる抜群のロケーション、と女性のひとり旅にはうってつけのホテルなのです。

Victory House Hotel, London Leicester Square, MGallery by Sofitel
(ビクトリー ハウス ロンドン レスター スクエア Mギャラリー by ソフィテル)

所在地 14 Leicester Place, London WC2H 7BZ
電話番号 0203-909-4000
http://www.victoryhouselondon.com/contact-and-location.html

安田和代(KRess Europe)

日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
ロンドンでの小さなネタをつづったフェイスブック www.facebook.com/kresseuropelimited
運営する編集プロダクションのウェブサイト www.kress-europe.com/

【写真提供】
National Portrait Gallery/MGallery by Sofitel

文=安田和代(KRess Europe)