要所で存在感を示した乾。写真はベルギー戦。対峙するドリース・メルテンスも、トップレベル(セリエAのナポリ)で研鑽を積んできた。 (C) Getty images

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 ロシア・ワールドカップでのベスト8への道は閉ざされたが、日本の善戦は世界でも高く評価されているようだ。

 「アジア諸国はワールドカップ制覇のために何をするべきか?」というタイトルの記事が、英サッカー専門誌『FourFourTwo』オンラインに掲載された。

 同誌は、日本の決勝トーナメント進出は決して「運」だけによるものではないと評価している。特に、決勝トーナメントで対峙したベルギー戦で、大柄なベルギー選手とも渡り合えた理由として、オフサイドトラップなどの戦術が通用した点が挙げられている。

 一方で、勝ち切れなかった現実も見つめるべきだとし、若いころからの育成が重要であると指摘している。

 その手本となる例として挙げられているのが、ドイツで実戦された幼少期からの育成方法だ。

「ドイツはサッカーの育成カリキュラムを開発するために、2000万ユーロ以上の資金を投じている。ジュニアレベルの地域トーナメントを開催する組織が構成され、トレーニングセンターが建設されている。

 10〜14歳の何万人もの若者が集まり、同じシステムで訓練される。クラブ側も参加して育成に力を入れ始めた2006年以降、ユリアン・ドラクスラー、レオン・ゴレツカなどの才能ある選手たちが、ここから輩出された。

 興味深いことに、このシステム導入はドイツのサッカースタイルを改革した。ドイツがかつてのプレースタイルではなく、戦術と技術に基づいたサッカーへと変化するきっかけにもなった」

 現在開催中のワールドカップでベスト4に進出したベルギーも、同様の方法で強化に成功している。

 続けて同誌は、日本人選手のトップレベルでの活動が必須であるとし、ロシア・ワールドカップで活躍した日本人は、ほとんどがヨーロッパでプレーしている選手だと指摘している。

「オフェンス、ディフェンスの技術のほか、瞬間の決断力、ボールに触れるテクニックまで、ヨーロッパでプレーすることに価値がある。

 “ワールドカップで最も輝いた日本人”と称された乾貴士をはじめ、プレミアリーグに所属する岡崎慎司、吉田麻也、ブンデスリーガで活躍する香川真司や大迫勇也が素晴らしい働きを見せた。彼らの活躍なくして、日本の決勝トーナメント進出はなかっただろう。

 堅実な育成による土台作りと、ヨーロッパでの経験。こうした条件をクリアすることで自国の実力が上がるだろう」

 さらに同誌は、これらの挑戦は日本だけではなく、アジア全体で取り組むべきだと提言。アジアでの切磋琢磨が生まれることで、より早くワールドカップでの地位向上が望めるだろうと締め括っている。