土砂崩れに巻き込まれ全壊した娘夫婦一家の住宅(左)を見つめる清原守さん。娘と孫2人が行方不明のままだ=8日午後、広島県熊野町川角(恵守乾撮影)

写真拡大

 記録的な豪雨による土砂崩れで甚大な被害を受けた広島県熊野町川角で、娘と孫2人の行方を捜していた同町平谷の清原守さん(71)は「生きていると信じて待つしかないけえ」と、捜索活動を見守っていたが、無情にも9日午後に娘たちの自宅から心肺停止状態の3人が見つかり、その後死亡が確認された。

 同町川角では、6日夜に多数の住宅が土砂崩れに巻き込まれて12人が行方不明となっていた。消防や警察などは100人以上で捜索。8日午後も清原さんは険しい表情でその様子を見守っていた。

 娘の上西千恵美さんは家族4人暮らしで、木造2階建て住宅に住んでいた。土砂崩れで、住宅の2階部分は大きく傾き、1階部分も押しつぶされていた。「娘婿の話じゃと娘たちは1階部分にいたみたい。早く出してやりたいんじゃが」とこぼした。

 上西さんとは7日朝から連絡が取れず、孫で中学2年の優太君と小学6年の健太君も安否不明となった。同居する娘婿は7日午前2時ごろ発見され、広島市内の病院に緊急搬送されており、足首を切断する大けがをしたという。

 上西さんと最後に会ったのは6日朝。肺の持病でかかりつけ医に診てもらうため自宅まで車で迎えに来てくれた。「昔から気配りができる優しい子だった」。診察後に昼ご飯に誘ったが、「大雨で学校が昼までになったから子供たちが帰ってくる」と清原さん宅前で別れた。

 その後、6日午後8時ごろに上西さんから「雨で避難するよういわれたけどお父さんは避難する?」と身を案じる電話があった。それ以降、上西さんとは連絡が取れていない。その後、土砂崩れがあった。

 7日からは必死で娘たちを捜し回った。町役場を巡り「熊野町の負傷者がいる」と聞いた病院にも向かった。手がかりをつかめぬまま現場に駆けつけた。「自宅を見たいが、消防から近づくと危ないといわれた。生きていると信じる」と捜索を見守った。

 そんななか、9日午後に上西さんの自宅から心肺停止状態で3人が見つかった。清原さんは疲れ果てた様子でしゃがみ込み、タオルで目元を何度もぬぐった。言葉を発することはなく、うなだれた。(小松大騎)