2018年7月10日から配信開始となったiOSの最新バージョン「iOS 11.4.1」では、登場がウワサされていたLightningポート経由でのデータ通信が不可能になる「USB制限モード」がついに実装されました。これによりiPhoneやiPadはロックされてから1時間以上が経過すると、iOSが自動でLightningポートを無効にしてしまい、USBアクセサリとの通信ができなくなります。この仕様変更はUSB電源チャージャーなどは影響を受けませんが、PC経由で端末を充電する際などには影響を受けて途中で充電されない状態になっている可能性があります。

Using USB accessories with iOS 11.4.1 and later - Apple サポート

https://support.apple.com/ja-jp/HT208857

How iOS 11.4.1 limits USB accessories to make your iPhone and iPad more secure | 9to5Mac

https://9to5mac.com/2018/07/09/ios-11-4-1-unlock-iphone-to-use-accessories-explained/

AppleはiOS端末のロック解除システムをアメリカ国防省に販売したことで話題となったアメリカのベンチャー・Grayshiftが開発する「GrayKey」と呼ばれるロック解除システムに対抗すべく、Appleが意図していない状況でのiOS端末のロック解除を防ぐための機能としてUSB制限モードの実装を進めてきました。

iOSに「外部からのアンロックが困難になる」機能が実装か、端末を1時間放置するとLightningポートを介したデータ通信が不可に - GIGAZINE



そしてついに、2018年7月10日から配信開始となったiOS 11.4.1でUSB制限モードが搭載されました。USB制限モードはデフォルトで有効化されており、これによりユーザーはパスコードで保護されたiOS端末(iOS 11.4.1以降)をMacやPC、USBアクセサリに接続するには、端末のロックを解除しなければいけなくなります。

USB制限モードは端末がロックされてから1時間が経過すると自動でLightningポートを無効化し、有線での外部接続を行えなくするというものです。これを回避するにはUSB制限モードを解除するか、USBアクセサリに接続する際に、端末のロックを解除する必要があります。Appleによると、USBアクセサリと接続すると端末上には「ロックを解除するように」と通知が表示されるそうで、一度解除すれば1時間以上経過してもLightningポートが無効化されることはないそうです。しかし、端末のロックを一度も解除しないままでいると、端末がロックされてから1時間が経過した時点でLightningポートが無効化されてしまいます。

Lightningポートが無効化されると以下のような通知が表示されます。



ただし、iPhoneやiPadを充電する際に使用するUSB電源チャージャーでは、端末がロックされたままでもLightningポートが無効化されることはないため、ロック解除なしでどれだけでも充電が可能です。しかし、MacやPCのUSB端子からiPhoneを充電する場合は、接続してから一度端末のロックを解除してやる必要がある模様。

また、iOS端末を利用する身体障害者や視覚障害者は、Lightningアクセサリを使用して端末を操作する場合があります。そういった人々にとってはUSB制限モードがわずらわしいものになってしまう可能性がありますが、もちろんUSB制限モードを解除することも可能です。

解除方法は「設定」→「Face ID(Touch ID)とパスコード」→「USBアクセサリ」の順でタップし、デフォルトではオフになっている「USBアクセサリ」をオンにすればOKです。なお、Appleによると補助デバイスの中には自動でこの「USBアクセサリ」設定を有効に切り替えてくれるものもあるとのこと。



Apple関連メディアの9to5Macは「ほとんどのユーザーはこの設定について心配する必要はありません。デフォルトでの動作はデバイスのセキュリティが最大限に引き出されるようになっただけであり、多くの不便を引き起こすようなことはありません。ユーザーに1時間に1度ロック解除を求めるようなケースはまれです」と記しています。