AirPodsでテレビの音が難聴でも聞き取れた!iOS12ベータ版でライブリスニング機能がサポート
この秋リリースされるiOS 12にて予告される、完全ワイヤレスイヤホンAirPodsでの「ライブリスニング」機能サポート。ライブリスニングとはiPhoneを指向性マイクとして、拾った音を対応機器からライブ再生して「補聴器代わり」とする機能です。

そんなライブリスニング機能がiOS 12ベータ版で実装され、実際に難聴を抱える人が使ってみた事例が報告されています。テレビで放送される映画や野球の試合を、普通のボリュームで楽しめたとのこと。ライブリスニングは、iOSデバイスと「Made for iPhone」補聴器をペアリングすると、iOSデバイス側での集音が受信できる機能。iOS 7以降でサポートされたもので、その対応機種の中にAirPodsが追加されたということ。

たとえば人混みやレストランなど賑やかなところで、耳が不自由な人が友人の近くにiPhoneを置けば、相手の会話をしっかり聞き取れるというもの。あくまで「簡易補聴器」ぐらいの位置づけで、完全に補聴器代わりになるわけではありません。

この機能を試してみたのは、医療ソリューションを提供するSibley Innovation Hubの創設者であるNick Dawson氏。難聴を抱えている母親にAirpodsをつけてもらい、iOS 12ベータ版をインストールした古いiPhoneをテレビのそばに置いてテストしたとのこと。
母親は映画を普通のボリュームで観て、しっかり会話も聞き取ることができたとか。Dawson氏は「もう何年も、母が映画を見て笑うのを聞いたことがなかった」と感動を伝えています。野球の試合を観戦し、画面の中の人々と喜びを分かち合うことも問題なし。
彼女は補聴器をつけるのは嫌がっていたものの、ライブリスニング機能はお気に入り。「専用機器より機能的に優れている」というより「iPhone+AirPodsなら抵抗感がない」ことにポイントがあるようです。

米ビジネスメディアのQUARTZによれば、アメリカの成人人口の15%は難聴を抱えていると推定され、うち3分の1しか補聴器の恩恵に被れないとか。その理由の1つはコストのため(専用の補聴器は高価)とされています。

そしてWHO(世界保健機関)によれば、スマートフォンで大音量を聴くことで、10億人以上もの若者が難聴になるリスクにさらされているとのこと。

ワイヤレスイヤホンとしては高価な印象のあるAirPodsですが、専用の補聴器よりは比較的安価と言えます。反面で「外出時、常に聴覚を補完する」ほどの役割は期待できませんが、近ごろ家族の会話やテレビが聞き取りにくい、しかし難聴だと認めたくない......という人たちに広く訴求し、潜在的に巨大な市場を開拓していくのかもしれません。