ちょっと待って! 転職を考える前に本当にすべきこと3つ

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それなりに働いていれば、「仕事に行くのが嫌だ」「今の仕事は自分に向いていない」などと感じて、転職を考えたことは誰もがあることと思います。「自分には今の仕事が向いていない」と感じたら、その後仕事を続けていくのも大変ですよね。そんな「仕事が向いていない」と感じたとき、転職を決めるよりも前にすべきことはあるのでしょうか? キャリアカウンセラーの小野勝弘さんに転職を考える前にすべきことについて、教えていただきました。

■仕事が向いていないと悩むことは当たり前

◇低くない昨今の転職率

「今の仕事が向いていない」と感じることは珍しいことではありません。若い世代の転職率は15%ほどであり、10人いればひとりは転職経験者という状況。ただし、転職率は性別や年代、就労状況によってもちがいがあります。たとえば、女性のパートの方の転職率は30%を超える場合もありますし、40歳以上の男性は5%ほどと少な目です。ただひとつ言えるのは、転職は決して珍しいものではないということ。

◇仕事に向いていない理由は人それぞれ

「今の仕事が向いていない」と感じることについてですが、どう向いていないかは、人それぞれ理由にちがいがあるため注意が必要です。「人間関係」「収入と仕事のバランス」「やりがいが感じられない」「力を発揮できない」「会社の将来に不安」など、向いていないと感じる点はさまざま。また、人間関係や収入の話、会社の将来については職場環境の問題であり、一見すると「仕事が向いていない」という話ではないように思えますが、「この環境で働くことが向いていない」という認識であり、無関係なものではありません。

■今の仕事が向いているかどうか確認する方法

「この仕事が向いていない」と感じてしまったときは、まず自分を振り返ってみて下さい。仕事とはあくまで役目や作業を指しているに過ぎず、それに「向いていない」と感じる自分がそこにいるだけなのです。ここでは、自分自身を振り返るための5つのポイントをお伝えします。

◇方法1:いつからそう感じるようになったのか確認する

時系列を考えてみることは大事なこと。なぜなら、同じ仕事をしているのに「以前は良かったけれど、1カ月ほど前から向いていないと感じるようになった」という場合、1カ月前に何かが起きてそうなったのではないかと検証することができるためです。

◇方法2:「向いていない」と感じた場面を確認する

仕事自体はこなせるのに“ある場面”でだけ、向いていないと強く感じる場合というのも大いにあります。その“ある場面”がなくなれば、「向いていない」と考えることがなくなる場合もあり、具体的場面の確認は重要になってきます。仕事という枠の中だけでは、ノルマや失敗などに引っ張られて自分を振り返ることがしにくい場合も。したがって、どういう経験をしたときに向いていないと思うかを考えることで、仕事という枠ではなく、単純に出来事・経験として自分の思いを捉えやすくなります。

◇方法3:「楽しい」と感じていた場面を確認する

ある程度長く働いている場合は、楽しいと感じていた場面もあったことと思います。そのことをないがしろにすることは働いていた自分の全てを否定することになりかねません。そうすると自分の心の負担が大きくなりがち。また、楽しかったときとのギャップにより、今の仕事が向いていないと感じている場合もあります。そのため、一度楽しいと感じていた場面を確認してみるというのはとても大切なのです。

◇方法4:その会社でどのようなことをやりたかったのか確認する

仕事が向いていないと感じる場合、自分の理想や目的と今の仕事の間にギャップを感じていることが問題のことも。したがって、その会社でどのようなことをやりたかったのかを再確認することが、重要な一歩になることがあります。

■「仕事が向いていない」と感じたときの対処法

「仕事が向いていない」と感じたときに、どう対処するかはとても大事なこと。いきなり転職や離職に走ることなく、解決することを前提にまずは対処を考えていく必要があります。なぜなら、一度離職してしまうと再就職するための労力がかかりますし、その間生活を賄う収入が途絶えてしまう可能性があるためです。ここでは離職・転職以外の視点で、「仕事が向いていない」と感じたときの対処法について考えてみたいと思います。

◇対処法1:相談する

☆まずは相談相手を探す

ひとつ目は誰かに相談すること。その際の注意点として、比較的話をしやすい人を選ぶことが重要です。 問題を認識していたとしてもひとりでは解決できないことは多々ありますし、相談という形で言語化することで、思っていた以上の問題点を洗い出すことができる場合も。さらに、相談を通じて本人だけではなく職場の問題として取り上げることで、より良い職場を作ることに繋がったというケースもあるのです。

☆内部・外部、それぞれからアプローチする

相談する場合、内部からと外部からの2つのアプローチがあります。内部とは社内の人にアプローチする方法のこと。具体的には上司や人事部、同僚などが当てはまります。また、自分が話を聞く立場になった際は、否定することなく共感しながら聞いてあげて下さい。そして、外部からアプローチする方法もあります。外部とはキャリアコンサルタントのような社外の専門家のことを指します。外部の人に話を聞いてもらい、自分の気持ちや問題点を整理してみる方法です。知らない人に聞いてもらうことで、自分の中での整理が進み、自己決定に一歩前進するという面もあり、検討する価値はあります。

◇対処法2:休暇を取る

☆休暇でリフレッシュ

「仕事が向いていない」と考えてしまう背景に、ストレスの蓄積や疲労が考えられます。単純に忙しく仕事をこなす中で、ふと「自分はこの仕事にあってないのではないか」と思うこともあるのではないでしょうか。特に、ワークライフバランスなど働き方改革が叫ばれる昨今では、企業ごとに取り組みもちがい、隣の芝生が青く見えやすい状態となっているのです。そのような状態だからこそ、一度リフレッシュのために休暇を取ってみるというのも選択肢のひとつです。

☆休みが取れない場合

「有給なんて取れないよ!」といった現場の声も確かにあります。そのような場合は空き時間を利用してヨガやアロマなど、非日常の空間を取り入れることでしっかりした休息が取れるようになるのでおすすめ。意識的に仕事の場を離れることで、仕事と自分の関係や、溜まっていたものに目を向けるきっかけになり、仕事を通して自分が何を目指していたのかという気づきを得る機会になるでしょう。

◇対処法3:視点を変えてみる

☆視点を変えてモチベーションアップ

視点を変えるというのは、考え方を変えることではなく、捉え方を変えること。「向いていない」と考えていることを、がんばって「向いている」と考える、というのはあまり現実的ではありません。しかし捉え方を変えることで、自分が本来やりたかったことや、大事にしていることへのアプローチができるようなポイントが見つかれば、モチベーションになる場合があるのです。

☆自分に向いていないことにもヒントが

向いていないことの中にも、自分が目指す姿や、解決すべき問題が隠れている場合があります。たとえば、開発に携わりたかったのに営業になってしまったという場合。どういうルートで開発に仕事が回ってきているのか、どういう販路で開発したものが展開していっているのかを理解しながら仕事をすることで、将来開発になったときに経営インパクトのある誰よりも大きな視点で仕事ができるのではないでしょうか。

このように自分を大切にすることがポイント。向いていない仕事に取り組む自分を認め、自分なりの対処を実行していくことこそ、向いていない仕事に向き合う対処法と言えるのです。

■仕事が向いていないと感じたら自分の気持ちの整理をしよう

転職してから「やっぱり前の職場の方がよかった」なんて後悔することにはなりたくありませんよね。仕事が向いてないと悩んだら、転職を考える前にまずは自分の気持ち・状況を客観的に見つめなおすことが必要なようです。自分だけの力ではなかなか解決できない問題も、まわりの人の力を借りることで、意外と簡単に解決してしまうことも。ひとりで抱え込まずに、一度同僚や上司に相談してみてはいかがでしょうか。

(文:小野勝弘、構成:おぜきめぐみ)

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