iPhone Xは真の全面ディスプレイではない 飛び出すカメラなど各社が目指す完全ベゼルレスとは

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最近のスマホは「ベゼルレス」なモデルが増えている。
ベゼルレスなモデルは、本体の上下左右いっぱいにディスプレイを広げて、枠を限りなく少なくしている。

しかし本体前面の上部にはフロントカメラを搭載しなければならない。
この制約から、ディスプレイの上部に「ノッチ」と呼ばれる切りかけができるスマホが多い。
いち早くノッチを採用したiPhone Xが発売された当初はノッチに違和感を覚えた人も多かった。
その後、多くのAndroidスマホでもノッチは採用されて、あまり気にならないという人も増えている。

そして今、海外スマホ新製品は「全画面」をうたい文句にしている製品が増えている。
こうしたモデルでは、指紋認証センサーを背面に移動、上部にノッチを採用し、スマホ前面を目一杯使ったディスプレイを採用している。そのため画面OFFの状態ではまるでガラス板を置いているかのようにしか見えない、そんな製品が増えているのだ。

とはいえ電源を入れればノッチの存在はいやでも目立ってしまう。

そこで最近、海外ではノッチを完全に廃止したスマホが立て続けに登場している。
ノッチを廃止するためにカメラを本体に隠すという、驚きのギミックで真のディスプレイ全画面化を実現しているのだ。

日本にもスマホを出しているOPPOの「FIND X」は、6.43インチの大型ディスプレイを搭載したスマホだ。前面は全画面がディスプレイであり、確かにノッチは無い。また背面を見るとこちらにもカメラが無い。

一見しただけでは、カメラレススマホなの? と思えてしまう。

実はカメラアプリを起動すると、本体上部が伸びてカメラが現れるのだ。
カメラユニットは本体内部に収納されており、カメラ起動時にモーターで飛び出てくるのである。
このFIND Xは、iPhone Xと類似の顔認証にも対応しており、画面OFFの時でも画面にタッチするとカメラがせりあがり、即座に顔認証できるのである。
カメラだけではなく本体上部全体を内部に隠す構造にしたからこそ、顔認証の多数のセンサーも配置することができたわけだ。


カメラ部分全体がせりあがる構造のFIND X


OPPOと共に東南アジアなどで人気のVivoの「NEX」も同様に全画面ディスプレイを実現したスマホだ。NEXはFIND Xよりもシンプルな構造で、本体上部の左側に内蔵式のフロントカメラを搭載している。

つまりセルフィーなどフロントカメラを使いたいときだけ、カメラがポップアップするというわけだ。

NEXのフロントカメラは指先よりも小さいモジュールだ。
これもモーターで上下に動作する。カメラ部分を動かすというギミックは故障などの心配もある。
しかしフロントカメラを隠せることからノッチの無い全画面ディスプレイを実現でるのだ。

とはいえこれらのギミックの搭載にはコストもかかるし、開発にも時間がかかる。
耐久テストも必要で、全てのメーカーが採用できるものではない。


Vivo NEXもフロントカメラをポップアップ式にしてベゼルレス、ノッチレスを実現


別の方法で全画面化を実現しているのは、シャープやシャオミが採用したベゼルレスディスプレイだろう。
前面を見ると左右と上はぎりぎりまでがディスプレイとなっており、ノッチは無い。
本体を握って画面操作をすればディスプレイの上まで無駄なくスペースを使うことができる。
SNSのタイムラインを見たり、縦サイズの動画を視聴したりするときもノッチが気になることはない。

しかしフロントの下部を見ると若干の幅があり、完全なベゼルレスにはなっていない。
しかもフロントカメラをこの位置に内蔵しているため、セルフィーするときはやや使いにくい。フロントカメラが存在する以上、どうしてもこうした構造になってしまうのだ。


シャオミのMi MIX2sもノッチレスだが、下部側に若干のスペースがある


現時点でフロントの全画面化を疑似的に見せているのはGalaxy Sシリーズがある。
本体の側面をカーブさせたエッジディスプレイを採用し、上部のフロントカメラ部分も幅を極限まで薄くしている。そのためぱっと見た感じは前面全体がディスプレイのようにも見えるからだ。

現在、各メーカーは真の全画面ディスプレイ搭載を実現すべく、本体デザインの研究と開発にとりくんでいるのである。


山根康宏