弁護士・柳原桑子先生が、堅実女子のお悩みに答える本連載。今回の相談者は池田佐緒理さん(仮名・35歳・飲料メーカー勤務)です。

「半年前に、外国人観光客に人気の下町エリアに引っ越してきました。住んでいるのは築12年の分譲賃貸マンションで、オートロックで防犯カメラも多く、セキュリティーもバッチリ。それにほとんどの住人が物件を購入しているので、住人の入れ替えが少ないところが決め手でした。賃貸として貸し出している部屋が数戸しかないところがよく、割高な家賃ではありましたが、決めました。

それまでは古い賃貸専用のマンションに住んでいて、住んでいる人の顔も知らず、不審者の敷地内侵入などが気になっていたので、安全を重視したのです。

しかし、3か月ほど前から私と同じマンションの人が、ヤミ民泊をやりはじめたようなのです。。ウチのマンションは12階建てで、60世帯が入っているので、どの部屋なのかは特定できません。ただ、分譲賃貸の場合、また貸しはできないので、経営している人は物件の持ち主なのでしょう。

どの部屋なのかを知りたくて、民泊プラットフォームアプリを調べたのですが、該当する物件がありませんでした。ですから、個人サイトやSNSで民泊の運営をしているのでしょう。

異変に気が付いてから、数か月、毎日のように外国人がエントランスを出入りし、大きなトランクが壁を傷つけており、エントランスの白い壁が黒い筋だらけになりました。朝、マンションから出るとコンビニ袋に詰まったゴミが捨ててあったりしてイライラするし、大きな声で外国人同士が話し合いながらエレベーターに乗っているところに居合わせると、ちょっと不安になります。

先日、あまりのことに耐えかねて、管理組合に相談したのですが、物件が古いので民泊にまつわる細則がないらしく「プライバシーの問題もあるので」と、なしのつぶてで……。

このように、管理組合に頼れない場合は、どこに相談に行けばいいのでしょうか。警察沙汰になるようなことはまだありませんが、そのうちに起こりそうでイヤなのです」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

民泊新法(住宅宿泊事業法)が2018年6月15日に施行されたばかりであり、民泊にまつわる法律の歴史が浅く、条例も各自治体ごとに異なる現状があります。私自身も民泊の専門家ではないことを踏まえたうえで、アドバイスをいたします。

現在、多くの分譲マンションの管理組合では、総会で民泊に関する規約をつくり、住民の合意を得るという動きをしているようです。管理組合の動きがそこまで迅速ではない場合は、いまは自治体も民泊に関してハードルを設定しているところもあるそうなので、まずはそちらに一度相談に行ってはいかがでしょうか。または、管理組合の補佐的な役割と実際の管理を遂行する管理会社に相談するというのも考えられます。

トランクが壁を傷つけるなどの物的損失は、過失だと器物損壊の要件に当たりません。

あなたのケースの場合、まずは、自治体に相談に行かれてはいかがでしょうか。

相談者・佐緒里さんの住むエリアは、違法民泊の温床と言われており、住民と民泊運営者のトラブルが絶えないそうです。



■賢人のまとめ
民泊にまつわる法律の歴史は浅く、自治体の条例によって判断はまちまち。まずは自治体の担当部署に、相談してみるのが解決の近道かもしれません。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/