お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指すこの連載。今回の相談は田町ゆき子さん(仮名・34歳 ・フリーランス)の相談です。

「34歳、独身、フリーランスでシステムエンジニアなどをしています。現在、年の収入でいうと500万円くらいになります。婚活疲れのさなか、自分は将来のお金のことが不安だから結婚に焦っているだけじゃないかと考えはじめ、まずはお金のことをちゃんとした上で改めて婚活しようと思うようになりました。それで、知人から話を聞いた確定拠出年金を始めるのはどうか、と考えています。その場合、マックスの6万8000円にしたほうが最終的にはお得でしょうか。今は、積み立てているお金や、将来用の貯金(200万円くらい)のほか、毎月10万円くらい、生活費に使わないで済んでいるお金がギャラ振込用の口座に溜まっている状態です。国民年金基金や小規模企業共済と組み合わせたほうがいいという人もいるのですが、よくわかりません。どういうポイントで考えたらいいか、教えてください」

仕事が辛いと、「もう働きたくない、結婚したい」となる女性は少なくありません。一方で、婚活がうまくいかないと「経済的不安から結婚したいだけなら、経済的に安心すればこんな焦りと戦わなくてもよくなるんじゃないか」と発想の切り替えも起こります。「精神的にも経済的にも自立した上で婚活に挑みたい」という前向きな気持ちになっている田町さん。堅実女子には、お金の知識は必須です。森井じゅんさんにアドバイスをいただきましょう。

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相談者さんのようなフリーランスなど自営業の方は、基本的に国民年金に加入しています。一般的に、「自営業の方は生涯現役で老後も収入の道が確保されている」と考えられ、会社員の加入する厚生年金よりも受け取ることのできる年金額は少なくなります。

また、自営業であれば会社からの退職金もありません。こうした中、上乗せ年金や退職金を準備するための方法として、確定拠出年金や国民年金基金、小規模企業共済などに加入する方が多いのです。そして政府としても、こうした個人の老後資金の準備を促進するため、税制面で優遇しているのです。

実際、将来のお金の準備、といってもその方法は多種多様です。定期預金などの貯蓄をはじめ、個人年金保険などもその種類は多岐にわたります。ここでは、相談者さんの検討している確定拠出年金と国民年金基金、そして小規模企業共済の3つについてお話していきます。

まず、この3つ。漢字ばかりで混乱しがちですが、確定拠出年金と国民年金基金は公的年金の上乗せ、小規模企業共済は個人事業主の退職金制度、と考えていただけると分かりやすいと思います。

確定拠出年金と国民年金基金のメリット・デメリット

まずは、確定拠出年金について。相談者さんはフリーランスとのことですので、この連載で何度かお話ししている個人型確定拠出年金、いわゆるiDeCoですね。

簡単な復習になりますが、iDeCoは公的年金に上乗せするための制度。あらかじめ決めた拠出金を自身で選んだ運用方法で運用する私的年金制度のひとつです。つまりiDeCoは、運用次第で将来受け取る金額が変わるものです。

では、国民年金基金はどうでしょう。国民年金基金もiDeCoと同様、公的年金に上乗せする制度です。しかしiDeCoとは異なり、国民年金基金は利回りが固定されています。つまり、加入時の利率がずっと続くため、掛金を拠出する段階で、基本的に将来受け取ることのできる金額がわかっています。

共通したメリットとしては、両者ともに拠出した掛金が全額所得控除となり、節税効果が比較的高いことが挙げられます。

デメリットとしては、受取期間・方法など設計により様々ではありますが、基本的に確定拠出年金は60歳、国民年金基金は65歳まで、拠出したお金は拘束され使う事はできないということがあげられるでしょう。

確定拠出年金と国民年金基金は併用も可能

相談者さんはフリーランスとのことですので、基本的に、確定拠出年金と国民年金基金、どちらにでも加入できます。また両方に加入することも可能です。

ただし、拠出額の枠はこの2制度合わせて月6万8000円、年間81万6000円となりますので注意が必要です。では、節税効果を見ていきましょう。

節税効果は?

相談者さんのような自営業の方は、ご指摘の通り、月6万8000円が最大拠出額になります。iDeCoも国民年金基金も拠出した全額が所得控除になります。つまり、どちらかまたは組み合わせて年間81万6000円が最大控除額です。

節税効果についてですが、相談者さんは税引前の年収が500万円程度とのことですので、収入から経費を差し引いた事業所得が500万円ということでよろしいでしょうか。ここでは、相談者さんが、扶養親族等がおらず、生命保険料などの控除がなく、青色申告もしていないという想定でお話します。

具体的な節税額ですが、ざっくり所得税等が約20%、住民税率10%となり、1年間で25万円弱の節税になります。これは確定拠出年金だけでも、国民年金基金だけでも、そして2制度を組み合わせても同じです。

相談者さんは、現在、「貯金が200万円ほどあり、毎月10万円くらい、生活費に使わないで済んでいるお金がギャラ振込用の口座に溜まっている状態」とのことですから、溜まっている10万円のうち、6万8000円を確定拠出年金や国民年金基金の掛け金とすれば、銀行口座にただ置いておくよりも年間25万も得になる、という考え方もできますね。

では、確定拠出年金と国民年金基金、どちらに加入するかというときの考え方です。

確定拠出年金は、将来受け取る金額がわからないから、国民年金基金のほうが安心できる、という考えもあるかもしれません。

一方、年間25万円の節税は魅力だけど65歳まで遣えないのは困るから、確定拠出年金だけにしよう、という考え方もできます。

では、利率が固定されている国民年金基金一択、という選択はどうでしょうか。次回は、国民年金基金のデメリットとリスクをご説明しましょう。

年間25万円の節税効果は大きい!60歳ないし65歳以降の生活費と思えばお得⁉



■賢人のまとめ
確定拠出年金と国民年金基金は併用も可能です。拠出額の枠はこの2制度合わせて月6万8000円、年間81万6000円となります。枠いっぱいの掛け金とするし、相談者さんの現状をさまざまな条件をつけて計算すると、1年間で25万円弱の節税になります。余剰資金を銀行口座に預けっぱなしにしておくくらいなら……という考え方もできるでしょう。しかし、確定拠出年金や国民年金基金に拠出しているせいで、万が一のお金が足りないとなれば、それは困りますね。しっかり考えて検討してみてください。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。