毒を持つオオヒキガエル(撮影日不明、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】オーストラリアに生息するトカゲやヘビなどの爬虫(はちゅう)類が侵略的外来種や気候変動による脅威の増大に直面しており、全体の7%が絶滅寸前の危機的状況にあるという。国際自然保護連合(IUCN)が5日、明らかにした。

 IUCNが5日に発表した世界の野生動植物の絶滅危機の度合いを示す「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」最新版によると、実質的にすべてのオーストラリア固有の爬虫類が現在、その生存が脅かされていると考えられ、14種に1種が絶滅の危機に陥っているという。

 IUCNによると、オーストラリアに生息する爬虫類で現在レッドリストに掲載されている種は全部で975種で、大半が同国の固有種だという。

 オーストラリアには非常に多様性に富んだ爬虫類の個体群が生息している。孤立した状態で進化した同国の爬虫類群は世界の爬虫類動物相の10%近くを構成する。

 IUCNは、危機的状況にあるオーストラリアの爬虫類の大半にとって、侵略的外来種がその主な脅威になっており、最近の研究では、年間約6億匹の爬虫類が、野生化した侵略的外来種のネコによって殺されていることも明らかになっていると指摘した。

 胴体が太く四肢が短い小型のトカゲ、グラスランドイヤレスドラゴンは、広範囲で野生ネコによる狩りの対象となっており、最新版のレッドリストでは、従来の「危急(Vulnerable)」から絶滅の危険性が一段階高い「危機(Endangered)」に分類された。

 また、オーストラリアの爬虫類を脅かしているもう一つの侵略的外来種は毒を持つオオヒキガエルだと、IUCNは指摘している。オオヒキガエルは中南米を原産とする世界最大のヒキガエルだ。

 捕食動物を死に至らしめる毒を皮膚から分泌するオオヒキガエルは、サトウキビ畑を荒らす害虫の甲虫類を抑える目的で1935年にオーストラリアに持ち込まれた。

 この試みの大半は不成功に終わったが、その一方で、オオヒキガエルが半水生のミッチェルオオトカゲなどの爬虫類に壊滅的な影響を与えることが判明した。ミッチェルオオトカゲは最新版のレッドリストで絶滅一歩手前の「深刻な危機 (Critically Endangered)」に分類されている。

「毒を持つオオヒキガエルを捕食することは、一部の地域で最大97%の個体数減少を引き起こした」と、IUCNは述べている。また、オーストラリアの爬虫類が特にオオヒキガエルの毒に弱いのは、豪州大陸には同じ毒を生成する在来種が存在しないからだと説明した。

■「脅威の猛襲」

 他方でIUCNは、気候変動も爬虫類に大きな打撃を与えているとして、豪クイーンズランド(Queensland)州の最高峰バートルフリア山(Mount Bartle Frere)の頂上部にのみ生息する低温に適応した、長い尾を持つトカゲのバートルフレア・クールスキンクを例に挙げている。

 このトカゲは現在、レッドリストの「危急」に分類されているが、平均気温の1度上昇が「30年以内にその生息数の50%減少を引き起こす可能性が高い」と、IUCNは警告している。

 このトカゲは現在、レッドリストの「危急」に分類されているが、平均気温の1度上昇によって「30年以内にその生息数が50%減少することも大いに考えられる」と、IUCNは警告している。

 危機に直面している生物種は、オーストラリアの爬虫類だけではない。レッドリストに掲載されている世界の動植物は現在9万3577種に上り、うち2万6197種が絶滅の危機に陥っている。

 インガー・アンダーセン(Inger Andersen)IUCN事務局長は、「5日発表のIUCNのレッドリスト最新版は、地球の生物多様性が直面している『脅威の猛襲』を浮き彫りにしている」と警鐘を鳴らした。

 IUCNは、日本のミミズ3種も現在絶滅の危機に直面していると指摘しており、第2次世界大戦(World War II)と2011年の福島原発の爆発事故による放射性降下物をその原因として挙げている。
【翻訳編集】AFPBB News